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大塚裕史の刑法通信

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刑法コラム第129回

抽象的事実の錯誤の論証例について・再論(その2)

刑法総論

2024.09.13

抽象的事実の錯誤には、軽い罪の故意で重い罪を実現した場合(第1類型)、重い罪の故意で軽い罪を実現した場合(第2類型)、法定刑が同一の甲罪の故意で乙罪を実現した場合(第3類型)がある。このうち、法定的符合説が必要なのは故意責任が問題となる第2類型及び第3類型のみである。第1類型が故意責任の問題ではないことを従来の学説は自覚してこなかった。そのため、どの教科書も構成要件の重なり合いを検討する際、従来の説明方法に依拠して「法定的符合説によれば…」式の説明をしてきた。しかし、近時は、学説においてもこの問題が自覚されるようになっている(橋爪・悩みどころ158頁、松原・総論266頁)。占有離脱物横領罪の故意で窃盗罪を実現したという事例について、受験生の答案には、「軽い罪(占有離脱物横領罪)の故意の有無が問題となる。この点、構成要件の重なり合いが認められる場合、その限度で反対動機の形成が可能であるから、軽い罪の限度で故意責任を肯定することができる。本問の場合、窃盗罪と占有離脱物横領罪の構成要件は…であるから重なり合うので、占有離脱物横領罪の限度で故意を認めることができる」といった論述が少なくない。しかし、軽い罪の故意はもともと存在しており、故意に対応する客観的犯罪事実の存在だけが問題となっているので、発生結果に対して故意責任を認めるための理論(法定的符合説)を持ち出すのは不適切な答案ということになる。

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