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作為との「同価値性」をどこに書くのか!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第23回

作為との「同価値性」をどこに書くのか!?

総論

2022.05.23

不真正不作為犯の問題で規範定立するとき、「作為との同価値性」がキーワードとなる。問題は、作為との同価値性と作為義務はどのような関係に立つのかである。この点、かつては、「作為義務違反」と「同価値性」が共に実行行為の要件であるとする見解も有力であった。これは、作為義務に関する形式的三分説を基礎とする考え方であり、(刑法以外の)法令・契約等・条理によって定立された作為義務に違反しただけでは未だ不作為犯の実行行為とはいえず、作為と構成要件的に同価値といえる場合に限り実行行為性を肯定する立場である。しかし、その後、刑法上の作為義務を形式的な観点からではなく、法益との関連で実質的観点から基礎づける立場が一般化すると、同価値性は作為義務を基礎づける原理と位置づけられるようになった。すなわち、同価値性が認められない場合には作為義務自体が否定されるのである。作為義務は、排他的支配とか保護の引受けとか危険創出行為(先行行為)などを考慮要素とし、作為と同価値といえる場合に肯定することができるのである。そこで、答案において作為義務を認めるときは、問題文に示された様々な事実を示しつつ、作為と同価値といえることを指摘することを忘れてはならない。

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