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大塚裕史の刑法通信 - 共同正犯の成立要件は?!

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第2回

共同正犯の成立要件は?!

総論

2021.12.13

共同正犯の成立要件については様々な説明方法がある。受験生からしばしば質問されるのは、参考答案によく登場する「共謀+(共謀に基づく)実行+正犯性」という三分説の当否である。結論から先に言うと、三分説は判例実務の考え方とは全く異なるものといえる。なぜなら、「共謀」と「正犯性」を別要件と考えると、正犯意思のない者にも共謀を認めることになるからである。加えて、故意も共謀の成否とは無関係となってしまう。つまり、三分説は、共同正犯の本質に関する行為共同説を前提にした考え方なのである。ところが多くの受験生はそれに気づかず、三分説を採用しながら、共謀の内容を○○罪を共同遂行することの合意として答案に書いてしまう。これは部分的犯罪共同説を前提にした論証であり、論理矛盾の答案と評価されてしまう。判例実務の考え方を重視するのであれば、やはり共同正犯の成立要件は「共謀+(共謀に基づく)実行」という二分説をとるのが適切である。学説の基本的な考えを深く理解しないまま、答案の書きやすさだけで三分説を選択するのはリスキーであることを認識すべきである。

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