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不真正不作為犯の問題提起の仕方!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第22回

不真正不作為犯の問題提起の仕方!?

総論

2022.05.16

不真正不作為犯の答案の書き方がよくわからないという質問が少なくない。その中で、「作為で規定された構成要件を不作為で実現することは可能であろうか」という問題提起の仕方でよいかという質問がよくある。この点、不真正不作為犯を「作為で規定された犯罪を不作為で実現するもの」と定義するのは誤りである。例えば、もし199条が「作為による殺人」だけを規定している条文だとすると、その条文で不作為による殺人を処罰することは、類推解釈の禁止の原則に抵触し、罪刑法定主義違反ということになってしまう。不真正不作為犯は、「作為で規定された犯罪」ではなく、「通常は作為によって実現されることの多い犯罪」を不作為で実現する場合である。
問題提起はあくまでも「条文」から出発するのがよい。例えば、不作為による殺人罪の問題であれば、当該不作為が199条の「人を殺した」に当たるといえるかという形で問題提起をするとよい。その上で、199条は、作為による殺人と不作為による殺人の双方を規定しているところ、不作為による殺人についてどのような内容の作為義務がいつ発生するのかを明文の形で明らかに示していない(この点が真正不作為犯と異なる)ので解釈によって明らかにする必要があることを述べるとよいであろう。

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