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司法試験 合格発表を受けて

1.受験者数・合格者数について

受験者数は減少の一途をたどっています。令和元年から令和2年にかけては、コロナ禍という状況もあいまって、受験者数が763人減少し、その減少率も約17%と大幅に上昇しました。令和3年の受験者数は、令和2年比で279人の減少、その減少率も約7.6%にとどまりましたが、今年の受験者数は、令和3年比で342人の減少、約10%という減少率となっており、受験者数の減少傾向には依然として歯止めがかかっていない状態です。
2016年以降、合格者数は約1,500人ベースを維持していました。これは、2015年6月に法曹養成制度改革推進会議が打ち出した「合格者は年間1,500人程度」という方針を重視していたためと考えられます。しかし、今年の合格者数は1,403人であり、3年連続で1,500人を割るかたちとなりました。受験者数が著しく減少している現在の状況下で「合格者は年間1,500人程度」という方針を維持するのは事実上困難であると考えられます。そのため、受験者数の大幅な増加が見込まれない現在の状況を踏まえると、来年以降の合格者数はおおよそ約1,400人前後となることが予想されます。

2.合格点について

令和4年の合格点は、総合評価の総合点750点以上(令和3年:755点以上、令和2年:780点以上、令和元年:810点以上)となりました。
令和元年から令和2年にかけて一気に30点も下がり、令和3年も令和2年比で25点も下がりましたが、今年は令和3年比で5点のみ下がり、ほぼ昨年と同水準となりました。
データ上では、今年の試験の難易度は、令和の時代になってから相対的に最も高いものとなりましたが、昨年とほぼ同じ程度の難易度ではないかと思われます。

3.合格者の構成

合格者の平均年齢は28.3歳(令和3年:28.3歳、令和2年:28.4歳、令和元年:28.9歳)となりました。法科大学院等別合格者数構成でみると、まず、予備試験合格者が405人受験し、395人が合格しました(合格率97.5% 昨年比↑4.0%)。

また、上位の法科大学院別の合格者数構成は、以下のとおりです。
京都大学法科大学院:受験者数175人、合格者数119人(合格率68.0% 昨年比↑6.4%)
東京大学法科大学院:受験者数192人、合格者数117人(合格率60.9% 昨年比↑12.7%)
一橋大学法科大学院:受験者数110人、合格者数66人(合格率60.0% 昨年比↑1.9%)
慶應義塾大学法科大学院:受験者数181人、合格者数104人(合格率57.4% 昨年比↑2.4%)
早稲田大学法科大学院:受験者数232人、合格者数104人(合格率44.8% 昨年比↓4.9%)

このように、上位の法科大学院の合格率に比して、予備試験合格者の合格率の高さは圧倒的です。予備試験合格の事実が大手法律事務所、外資系法律事務所等の就職活動において極めて大きな威力を発揮することも併せて考えると、大学在学中の皆さんに限らず、法科大学院在学中の皆さんも、予備試験合格を目指し、これを突破して司法試験に最終合格することができれば、将来の選択肢も大いに増えるのではないかと思います。

4.総評

司法試験の最終合格率は、短答式試験合格者数ベースでみたとき、令和2年から今年にかけて3年連続で50%台という高水準を維持しています。来年度以降も受験者数に大きな変動がない限り、司法試験は、受験者数ベースでは約3人に1人が突破でき、短答式試験に合格できるだけの実力を持っていれば、そのうち約2人に1人が突破できることになります。
このように、司法試験の合格率だけに着目すれば、司法試験はもはや「難関試験」ではないと錯覚してしまいそうですが、司法試験(特に論文式試験)は紛れもなく「難関試験」です。気が遠くなるほどの学習を日々積み重ねてインプットの量・質を確保しつつ、アウトプットの訓練を何度も繰り返し、第三者による客観的なフィードバックを受けるというプロセスを経なければ、合格することは困難でしょう。たとえば、漫然とインプットだけを重ねる学習や、客観的なフィードバックを受けないアウトプットの訓練を繰り返すだけでは、合格することは難しいといえます。
そこで、合格に直結する効率的な学習が必要不可欠です。予備校を上手に活用し、効果的な受験対策を行うことで、合格できる確率を大幅に上昇させることができるでしょう。司法試験に最終合格し、皆さんの日々の努力が結ばれることを心からお祈り申し上げます。

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