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大塚裕史の刑法通信

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刑法コラム第127回

抽象的事実の錯誤の論証例について!?

刑法総論

2024.08.30

抽象的事実の錯誤の論証の仕方について、多くの受験生が参考にしていると思われる市販の論証本によると、「法定的符合説について規範定立した後、2つの構成要件の重なり合いを検討する」というスタイルになっている。しかし、この論証が通用するのは重い罪の故意で軽い罪を実現した場合であり、軽い罪で重い罪を実現した事例について法定的符合説を論ずるのは不適切である。例えば、占有離脱物横領罪の故意で窃盗罪を実現した場合については、刑法38条2項が「重い罪によって処断することができない」と規定していることから、まずそれを解釈し適用する必要がある。その結果、窃盗罪が成立しないことを明らかにした後、軽い罪である占有離脱物横領罪が成立するか否かを検討する。ここでは、占有離脱物横領罪の故意があることは明らかであるから、その故意に対応する客観的犯罪事実が認められるか否かが問題となる。そこで占有離脱物横領罪と窃盗罪の構成要件の重なり合いを検討し、窃盗罪の犯罪事実の中に規範的にみれば占有離脱物横領罪の犯罪事実が包摂されていると評価できた場合には、故意に対応して占有離脱物横領罪が成立することになる。このように、軽い罪の故意で重い罪を実現した場合、法定的符合説を論ずる余地は全くない。論点において何を論ずべきかをきちんと考えないまま論証パターンを丸暗記する学習は極めてリスクが高いことに注意しなければならない。

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