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大塚裕史の刑法通信

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刑法コラム第111回

新判例④:犯人による103条・104条の罪の教唆犯の成否!?

判例情報

2024.04.26

最高裁令和3年6月9日決定は、「犯人が他人を教唆して自己を蔵匿又は隠避させたときは、刑法103条の罪の教唆犯が成立する」と判示した。また、最高裁令和5年9月13日決定も、「犯人が他人を教唆して自己の刑事事件に関する証拠を隠滅したときは、刑法104条の証拠隠滅罪の教唆犯が成立する」と判示した。これは、防御権の濫用を理由に犯人にこれらの罪の教唆犯の成立を認める従来の判例の考え方を、最高裁として再確認したものである。なお、両決定には山口厚裁判官の反対意見が付されており注目に値する。判例の考え方は、犯人による自己隠避等が構成要件に該当しないのは、犯人における刑事手続における当事者性を考慮して政策的に処罰を限定したものであるから、教唆者としてであれば犯人を処罰の対象とできるとするものである。これに対し、山口反対意見は、正犯としては処罰できないが教唆犯としては処罰できるという理解は、正犯と教唆犯とで犯罪としての性格に重要な差異を認めるものであって妥当でないと批判し、正犯も教唆犯も、犯罪結果と因果性を持つがゆえに処罰されるという意味では同質の犯罪であると解すべきであるから、犯人自身には103条や104条の罪の教唆犯は成立しないと主張する。このように、教唆犯の成立を肯定する判例と否定する通説が対立しているので、本論点はいわゆる見解対立問題で出題される可能性もあり注意が必要である。

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