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大塚裕史の刑法通信 - 刑法の答案において「結論」の妥当性は要求されるか?!

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第1回

刑法の答案において「結論」の妥当性は要求されるか?!

総論

2021.12.6

司法試験や予備試験の刑法の論文試験では、事例問題が出題され行為者の罪責が問われる。その際、規範定立と当てはめがきちんとできていて論理矛盾さえなければ罪責の結論自体はどうであっても構わないと考えている受験生が少なくない。
しかし、問題提起が的確で規範定立・当てはめに問題がなくても、結論の妥当性に欠ける場合は合格答案にはならない。なぜなら、法曹実務家には刑法の条文解釈・適用を通して妥当な結論を導く能力が求められているからである。
それでは、結論が妥当か否かの判断基準はどこにあるのであろうか。司法試験や予備試験は法曹実務家の採用試験であり、実務家が拠り所とするのは「判例」である。そこで、結論が妥当性かどうかは「判例・裁判例」を基準として判断される。裁判所の判断から大きくずれるような結論は妥当ではないと評価される。例えば、実務的にみておよそ正当防衛が成立する余地のない事案において正当防衛が成立するとする答案が高く評価されることはない。
したがって、司法試験刑法の学習では、(学説よりも)判例・裁判例の考え方を理解することに重点を置く必要がある。

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