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「強盗の機会」と因果関係!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第32回

「強盗の機会」と因果関係!?

各論

2022.07.25

240条において、死傷結果がどのような行為によって惹起されたものでなければならないかが論点となる。この点、判例によれば、死傷結果発生の原因となった行為が「強盗の機会」に行われたものでなければ240条は適用できない。ここで注意すべきは、「強盗の機会性」を論じなければならないのは、死傷の原因が「実行行為以外の行為」から発生した場合であるということである。死傷結果が実行行為から生じた場合は、端的に因果関係だけを検討すればよい。
強盗の機会に存在しなければならないのは、死傷結果ではなく、「死傷結果の原因となった行為」である。受験生の答案にありがちなのは、原因行為が強盗の機会に行われたということだけを論じて因果関係を検討しない答案である。しかし、原因行為と結果との因果関係が認められなければ強盗致死傷罪は成立しないのである。そこで、死傷結果の「原因となりそうな行為」を特定し、それが強盗の機会に行われたことを確認し、その行為と死傷結果との因果関係を検討することになる。あるいは、死傷結果と因果関係の認められる行為を「原因行為」として特定し、その行為が強盗の機会に行われたといえるかを確認する。いずれにせよ、強盗の機会性と因果関係の双方を検討しなければならないことに注意する必要がある。

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