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「共謀の射程」と「共同正犯関係の解消」の関係て!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第69回

「共謀の射程」と「共同正犯関係の解消」の関係て!?

刑法総論

2023.05.22

「共謀の射程」も「共同正犯関係の解消」も結果に対する因果性の問題であるから、「解消」が問題となるときは「共謀の射程」を検討する必要はないのではないかという質問をよく受ける。しかし、共同正犯関係の解消はいわば一身的な帰責否定事由であり、複数人の間で共同正犯関係が成立している際、ある者がそこから離脱しようとした場合にその者だけ共同正犯としての帰責を否定するかという問題である。したがって、「解消」を問題にするときは「共同正犯が成立していること」が前提となる。共謀の射程は、共謀に基づく実行が認められるかという共同正犯の成立要件の問題であるから、「射程」が問題になるときは「解消」の有無よりも先に検討しなければならない。例えば、「A、B、CがVから窃盗を行うことを共謀した後、Aが残り2名を説得して犯行を断念させたが、Vに恨みを持っていたBがVを殺害した」という事例の場合、Bの殺人は窃盗の共謀の射程の範囲外であるから、Aの行為が共同正犯関係を解消させたか否かを論ずるまでもなく、Aには殺人罪の共同正犯は成立しない。これに対し、前述の事例で「財物奪取を諦めきれないBがVに対して強盗を行った」のであれば、Bの強盗が窃盗の共謀の射程の範囲内かどうかを検討し、それが肯定された場合にAに共同正犯関係の解消が認められるかを検討することになる。解消の対象となるのは「共同正犯関係」であることに注意してほしい。

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