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結果的加重犯の共同正犯は頻出論点である!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第33回

結果的加重犯の共同正犯は頻出論点である!?

各論

2022.08.01

結果的加重犯の共同正犯が頻出論点であることを自覚していない受験生が多い。しかし、結果的加重犯という犯罪類型についても刑法60条の適用を認めるか否かについては学説の対立がある以上、これも論点の1つである。しかも、司法試験の共同正犯分野からの出題傾向をみると、共謀共同正犯と共に「頻出」の論点である。共謀共同正犯が出れば誰でも規範定立してから当てはめを書くのだから、結果的加重犯の共同正犯についても同様でなければならない。もっとも、判例も通説も結果的加重犯の共同正犯肯定説に立っているので、大々的に論ずることは不要で、「簡潔」に論ずることがポイントである。例えば、甲と乙がVに対する傷害を共謀し、両名で暴行を加えたところ甲の暴行が原因でVが死亡したとしよう。この場合、甲には傷害致死罪が成立する。これに対し、乙には傷害致死罪の単独正犯は成立しないが、傷害致死罪の共同正犯が成立するかが問題となる。甲と乙の共謀の内容は傷害であるから、傷害罪の共同正犯が成立することは明らかであるが、傷害致死罪の共同正犯まで成立するか否かは、結果的加重犯の共同正犯を肯定するか否定するかにかかっている。肯定説をとって初めて乙に(そしても甲にも)傷害致死罪の共同正犯が成立することに注意する必要がある。

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