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大塚裕史の刑法通信

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刑法コラム第120回

故意があるのに故意がない!?

刑法総論

2024.07.05

Aを殺そうと思って発砲したところ弾丸が外れ予想外のBに当たって死亡させた場合、具体的事実の錯誤における具体的符合説(通説)によれば、Bに対する過失致死罪が成立する。そこで、実行行為時に殺人の故意があるのに最終的には故意がなかったとされるのは矛盾ではないかという質問を受けることがある。しかし、故意がないという言葉は、犯罪事実の認識・認容がないという意味と故意責任(故意犯としての責任)が認められないという2つの意味があることに注意する必要がある。故意責任が認められるためには、まず行為時に行為者が犯罪事実を認識し認容していることが必要である。そして、発生結果が認識通りであれば結果に対して当然に故意責任が生ずる。これに対し、発生結果が認識通りではなかった場合は、それでも故意責任が認められるかが問題となり、その判断基準を提供するのが錯誤論である。前述の例の場合、具体的符合説は認識と現実とで客体が異なるので故意責任は認められないと解する。そこで、殺人罪は成立せず過失致死罪が成立するにとどまる。この故意責任が認められないことを故意がないと表現することがある。「故意があるのに故意がない」とするのは矛盾ではないかという疑問は、「行為時に故意があっても結果に対して故意責任はないことがある」と考えれば矛盾はないことが理解できる。

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