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大塚裕史の刑法通信

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刑法コラム第84回

「強取した」といえるためには!?!?

刑法各論

2023.09.25

「甲がVに対して反抗を抑圧するに足りる程度の脅迫を加えたところ、Vが甲を哀れに思って金品を交付した」という事例において、甲に強盗罪(236条1項)は成立する。同罪が成立するためには「強取した」ことが必要である。「強取した」といえるために、通説は暴行・脅迫により被害者の反抗が現に抑圧されたことが必要であるとするが、判例はこれを不要としている。なぜなら、強盗罪は反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を手段として財物を奪取する点に本質があり、実際に反抗を抑圧されたか否かは偶然の事情によるからである。この事例では、Vは反抗を抑圧されていないので通説の立場からは強盗未遂罪が成立するが、判例の立場からも強盗未遂罪が成立することに注意しなければならない。「暴行・脅迫を手段として財物を奪取した」といえるためには、実行行為と財物奪取という結果の間に因果関係があることが必要である。甲の脅迫行為と金品の取得との間にはVの金品交付という介在事情が存在している。たしかに、甲の脅迫行為はVの金品交付を「誘発」したといえる。しかし、脅迫された者が憐みの気持ちで金品を交付するのは異常性が高い。そこで、実行行為と介在事情が両者相まって結果を惹起したとはいえないので、危険の現実化は否定される。したがって、判例の立場からも、甲には強盗未遂罪が成立するにとどまる。

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