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大塚裕史の刑法通信

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刑法コラム第128回

抽象的事実の錯誤の論証例について・再論(その1)

刑法総論

2024.09.06

コラム(127)で「軽い罪の故意で重い罪を実現した場合は法定的符合説を論ずる余地はない」としたことについて読者から質問が寄せられた。そこで、今回と次回のコラムでは、占有離脱物横領罪の故意で窃盗罪を実現したという事例を用いてこの点について詳しく説明することにしたい。まず、第1に、38条2項を解釈・適用すると重い罪である窃盗罪は成立しない。そこで、第2に、軽い罪である占有離脱物横領罪の成否を検討するに、同罪の故意はもともとあるので、故意に対応する同罪の犯罪事実が存在するか否かが問題となる。もちろん現実に存在しているのは窃盗罪の犯罪事実であるから、ここでは規範的にみてその中に占有離脱物横領罪の犯罪事実が包摂されているといえるかが問われている。そこで、両罪の構成要件に重なり合いがあるかどうかを判断することになるが、2つの構成要件の客観的な符合を検討するために法定的符合説を持ち出す必要はないし、答案で法定的符合説について規範定立するのは誤りである。なぜなら、法定的符合説は構成要件の重なりあいを検討することによって「発生結果についての故意責任」を肯定する理論であるところ、軽い罪の故意で重い罪を実現した場合は故意責任の有無がそもそも問題となっていないからである。構成要件の重なり合いを検討するためには法定的符合説をとらなければならないなどと誤解してはならない。(つづく)

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