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過失の認定の仕方!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第80回

過失の認定の仕方!?

刑法総論

2023.08.21

事例問題で過失犯の成否が問われた場合どのような手順で検討したらよいのであろうか。過失犯の実行行為は結果回避義務違反行為であるから、行為者に結果回避義務がありそれに違反したといえるかが問題となる。まず、当該事案において何をすれば結果が回避できたかを検討し、そのような結果回避措置を法的に義務づけることができるかが問題となる。そのためには、第1に、行為者が結果回避義務を負うべき立場(義務主体性)にあるかをまず検討する。行為が作為であれば義務主体性が肯定されるが、不作為の場合は作為義務が認められる者だけが義務の主体となりうる。第2に、結果が予見できない者や結果を回避することができない者に結果回避措置をとるよう法的に義務づけることはできないから、予見可能性と結果回避可能性が認められる必要がある。その両者が認められれば結果回避措置をとることが法的に義務づけられる。その上で、行為者がそのような結果回避義務に違反したと認定できて、初めて実行行為性を肯定することができる。最後に、実行行為と結果との因果関係が認められることが必要である。なぜなら、過失結果犯では未遂犯の処罰規定がないからである。以上から明らかなように、過失犯の成否は、義務主体性、予見可能性、結果回避可能性の検討を経て結果回避義務違反を認定し、義務違反行為と結果との間の因果関係を検討するという手順をとることになる。

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