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不法領得の意思の発現行為といえるためには!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第61回

不法領得の意思の発現行為といえるためには!?

刑法各論

2023.3.6

横領罪の実行行為の中核である「不法領得の意思の発現行為」といえるためには何が必要であろうか。第1に、行為者の内心において不法領得の意思を持っていることが前提となる。第2に、そのような不法領得の意思を外部に表す行為が必要である。多くの受験生は、ここまで認められれば横領行為があったと認定してしまう。しかし、第3に、所有権侵害の危険性が認められなければならない。なぜなら、不法領得の意思の発現行為は横領罪の実行行為であり、実行行為とは結果(法益侵害)発生の現実的危険性が認められなければならないからである。例えば、自己の土地をAに売却したが登記名義が自己に残っていることを奇貨としてその土地を担保にBから借金をしBに抵当権設定登記を完了させた場合、その行為が横領罪になるか背任罪になるか争いがあるが、そのカギを握るのが抵当権の設定に所有権侵害の危険性が認められるかである。抵当権を設定する行為は不法領得の意思を外部に表明する行為であるが所有権侵害の危険性がないと考えた場合は横領罪は成立しない。判例は横領罪の成立を認めるので、この見解に立つ場合、抵当権の設定がなぜ所有権侵害の危険性があるのかを説明することが重要である。この点を論じない答案は論点にきちんと答えたことにならないことに注意する必要がある。

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