更新日:2024年7月5日
- このページのまとめ
- 奈良県庁では、「県内大学生が創る奈良の未来事業」として県内の大学生からの政策提案を募るなどユニークな取り組みを実施しており、幅広い層と連携して県民の豊かで安心な暮らしを支える業務を担っています。
- 奈良県庁の行政職職員は、平均給与月額412,700円、平均賞与1,598,000円、平均年収5,936,457円、平均退職金(60歳定年)21,732,000円となっています。地方公務員の平均給与月額360,949円と比較しても、平均より高めの給与です。
- 奈良県庁の採用試験は、出題範囲が広く計画的な対策が必要です。公務員試験の情報収集とスケジュール管理が成功の鍵となります。また、他の自治体や国家公務員試験と併願することも考慮し、幅広い選択肢を検討しましょう。
- 監修者:熊井 遊 LEC専任講師
- 関西LEC各本校および大学の非常勤講師・学内講座を担当。科目対策にとどまらず、公務員試験情報、ES・面接対策など、マンツーマンで徹底的に受講生に寄り添う指導スタイル。
熊井 遊 LEC専任講師
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奈良県庁で働くって?
奈良県はこんな自治体
奈良県は、日本のほぼ中央部、紀伊半島の真ん中にあり、大阪府・京都府・和歌山県・三重県に囲まれて海のない内陸県です。奈良市や生駒市などの北部に人口が集中していて、十津川村や天川村などの南部は人口が少なく、自然が豊かな地域なのが特徴です。交通網も北部は充実していて、他県にも簡単に行きやすいのですが、南部は列車の路線数も運行本数も少なくなっています。
県庁所在地は奈良市で、奈良県内では最も人口が多く、35万5350人で、奈良県全体では、約134万人です。奈良県は森林が多いため、県内総生産に占める農林水産業の割合は0.6%と高くありません。しかし柿は全国2位、ダリア球根や二輪菊の産出額は全国1位を誇っています。漁業はアユなどの河川漁業のほか、金魚などの養殖業も盛んな自治体です。
奈良県庁の仕事内容・魅力
奈良県庁職員は、さまざまな仕事を総合して行う「一般行政職」、道路や河川を担当する「土木職」、建築物の申請や検査などを行う「建築職」、社会福祉に携わる「福祉職」、他には、警察職の事務的な業務を行う「警察行政職」、「機械・電気職」、「環境職」、「農学職」、「農業工学職」、「林学職」などがあります。
国家公務員に比べると、奈良県内の地域レベルの課題に取り組み、地域住民に接する機会も多いのが特徴です。一方で、市区町村レベルでは対応が難しい総合的な都市開発計画や、義務教育・社会福祉の維持、条例の策定など、市区町村の枠を超えた大きな仕事に取り組むことができるのが、奈良県庁職員の大きな魅力の一つです。
また、奈良県庁のユニークな取り組みとして、平成24年度から「県内大学生が創る奈良の未来事業」を実施しています。多様化・複雑化する県政の様々な課題を解決するため、県内の大学等に在籍する学生の皆さんから政策提案を募集し、皆さんから応募いただいた政策提案のうち、公開コンペ方式により選ばれた提案を事業化し、学生の皆さんにも参加いただいて事業を実施しています。このように、奈良県庁の業務は多岐にわたっており、事業規模の大きさに関わらず、長期的なプロジェクトに関わることも多く、結果を出すことを魅力に感じる人も多くなっています。
奈良県庁のキャリア
奈良県庁では、採用後の一定期間、質の異なった職務をいくつか経験することで職員の能力・適性を発見するとともに、その後、専門的な能力を伸ばし活用することができる職務の経験を通じて、職員の育成と組織の効率的な運営を目指そうとする、「ジョブ(異動)ローテーション」を実施します。奈良県庁の多岐にわたる業務を行う上で、職員として様々な事業に関わることが求められています。行政職の異動ローテーションは、企業でいうと新たな企業に就職するようなものですが、「県民のため」という行政の一番大切な信念はどこの部局に移動しても変わりはありません。
また、新しい部署にスムーズに業務が行えるように、研修も充実しています。例えば、新規採用職員研修では、職務遂行・職務適応に必要な基礎的知識の習得及びコミュニケーション力の向上を図るため、充実した研修を実施しています。また、職場内で新規採用職員に対して、身近な存在である先輩職員が、業務内容や社会人としてのマナー、仕事に対する姿勢などについて助言・指導するOJT研修もあります。働きやすい環境から、個人のスキルアップのみならず、部局が一緒になって向上していき、「奈良県民のため」に何ができるのかを考え職務に従事できる環境が奈良県庁には用意されています。
奈良県庁の給料・年収
奈良県庁職員の初任給(令和4年4月1日現在)については、以下の通りです。
一般行政職区分で大学卒程度: 176,118円となっていますが、条例などの改正により変更されることがあります。なお職務の経歴(資格免許職は、資格免許取得後の職務の経歴)などにより加算される場合があります。状況により扶養手当、通勤手当、住居手当等が支給されます。奈良県庁職員の行政職職員の平均年齢42.4歳、平均給与月額412,700円、平均賞与1,598,000円、平均年収5,936,457円、平均退職金(60歳定年)21,732,000円となっています。地方公務員の平均年齢42.1歳、平均給与月額360,949円ということを考えると平均より高めの給与です。
休暇制度の一つに年次有給休暇があり、年度で最大20日付与され、使用しなかった日数は翌年度に20日を限度として繰り越すことができます。また、休暇制度を利用しやすい職場環境づくりや男性の育児休業取得促進を推進しています。あわせて、定年の段階的引上げに伴い、定年が65歳になるまでの間、引き続き再任用制度が設置されています。このように、奈良県庁職員の福利厚生は職員に手厚く支援されています。
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奈良県庁の採用試験について
奈良県庁採用試験の採用区分と受験資格・年齢制限
試験区分について
大学卒業程度を想定したT種試験総合職では行政の他に、総合土木、造園、建築、総合電機、農学、林学の区分があります。
その他に警察行政職、免許資格職試験、経験者試験の採用試験があります。
受験資格・年齢制限について
上級試験、総合職行政の受験資格は以下の通りです。
- <2024年度の場合>
- 平成6年4月2日から平成15年4月1日までに生まれた人
- 平成15年4月2日以降に生まれた人で、大学を卒業した人又は令和7年3月末日までに卒業見込みの人
- ※日本国籍を有しない人については、在留中の活動に制限のない在留資格を有する人に限る
奈良県庁採用試験の倍率・難易度・合格者数推移
試験職種 | 採用予定者数 | 申込者数 | 1次試験 受験者数 |
1次試験 合格者数 |
最終合格者数 | 最終合格倍率 | 一般行政 | 118人 | 301人 | 222人 | 175人 | 118人 | 1.9倍 |
---|
奈良県庁採用試験の試験内容
試験科目 | 試験時間 | 内容 | 配点 | 第1次試験 | 教養試験 | 105分 |
|
100点 |
---|---|---|---|---|
専門試験 | 90分 |
|
100点 | |
論文試験 | 75分 | 800字の記述式による筆記試験(採点は2次試験時) | 100点 | |
口述試験 | - | 集団面接による試験(対象者が少ない場合は個別面接) | 300点 | |
適性検査 | - | 公務員として必要な適性について検査を行う | - | |
第2次試験 | 口述試験 | − | グループワーク及び個別面接による試験 | 400点 |
奈良県庁の採用試験の日程について
第1次試験(筆記試験/適性検査) | 6月16日(日) |
---|---|
第1次試験(口述試験) | 7月2日(火)〜4日(木)のうち指定する1日 |
第1次試験合格発表 | 7月17日(水) |
第2次試験 | 7月26日(金)〜8月4日(日)のうち指定する1日 |
最終合格発表 | 8月16日(金) |
奈良県庁採用試験の試験対策
試験勉強のコツは?
奈良県庁の採用試験は、他の公務員試験と併願がしやすい自治体です。
第1次試験の筆記試験の教養試験では苦手意識が強い数的推理を中心に早い時期から対策を立てる必要があります。また、文章理解(現代文・英文)は平均得点率が高くなるため、安定して得点を得られるようになった時期から、いかに短時間で正解を得られるかを追求する学習に移行する事をおすすめします。専門試験での法律及び経済分野は、理解するのに時間がかかりますが、問題演習を通して理解を定着させる勉強法も大切となってきます。
第1次試験合格者を対象に実施される第2次試験ですが、面接試験は、事前に自分の考えやエピソードをまとめ、面接試験の実践練習ができる環境を準備しておくことが大切です。自分自身が、どのように見られているのか、第三者に客観的な評価をしてもらえる環境も必要となりますので、しっかりと対策を立てておきましょう。
試験勉強時間の目安
公務員試験合格に必要とされる試験勉強時間は、今までの学習量に大きく左右されますが、一般的には1,000〜1,200時間必要だとされています。大学3年生の春ごろから勉強をスタートさせる方が多いです。大学生活において、ゼミや部活動、社会活動、アルバイトなど学生ならではの様々な経験を積むことは、面接試験対策やエントリーシート作成時のエピソードに不可欠となります。そのため、大学3年生の秋ごろまでは、学習ペースは週20〜30時間ほどの受験生が一般的です。概ね年明けから面接試験対策も加わり、学習時間が週40時間を超えるように変化していきます。
ただ、これらの学習スケジュールはあくまでも一般的なものです。公務員試験勉強を開始するまでの今までの学習状況や置かれている学習環境などを踏まえ、勉強スケジュールを個別に調整する必要があります。また、近年、大学3年生の間に留学する学生も増え、十分な学習時間を確保できない事もありえます。そのため、個別に合った勉強カリキュラム及びスケジュールを作成し、必要であれば、大学2年生から勉強を前倒しする必要があります。なにか不明点があれば、一人で悩まずに気軽に相談しにきてください。
併願について
奈良県庁職員の採用試験は、他の公務員試験や民間企業と併願がしやすい試験となっています。
地方公務員のA日程で実施されるため、4月実施、及びB日程の試験を受験できます。また、国家公務員総合職試験、国家公務員一般職試験、及び、裁判所職員や国税専門官、労働基準監督官をはじめとする国家専門職試験も併願が可能になります。奈良県内の市町村自治体に多い、C日程、D日程とは日程が重複しないため、受験が可能です。
地方公務員の中には、A〜D日程以外に独自に日程を設ける自治体もありますので、スケジュールをしっかり調整して、数多くの併願先を検討することが公務員試験合格において大切です。また、民間企業と併願を考えている受験生は、仕事内容や採用試験において公務員と概ね同じ内容の準(みなし)公務員として、国立大学法人などを併願先として検討するのも良いでしょう。公務員試験合格は、学習面はもちろん、それ以外にも情報戦となりますので、是非一度気軽に相談しに来てください。
よくある質問 ※2024年度の奈良県職員T種総合職行政
- Q.奈良県の試験科目は?
- A.第1次試験は筆記試験で教養試験、論文試験、専門試験、口述試験で集団面接、適性検査が課されます。第2次試験は口述試験でグループワークおよび人物についての個別面接が課されます。
- Q.奈良県の試験日程は?
- A.第1次試験の筆記試験と適性検査は6月中旬、口述試験は7月上旬で指定する1日、第2次試験は7月下旬から8月上旬の間で指定する1日、最終合格日は8月中旬です。
- Q.奈良県の受験資格(年齢)は?
- A.平成6年4月2日から平成15年4月1日までに生まれた人、平成15年4月2日以降に生まれた人で大学を卒業した人又は令和7年3月末日までに卒業見込みの人が受験できます。※日本国籍を有しない人については、在留中の活動に制限のない在留資格を有する人に限ります。
まとめ
公務員試験は情報戦です。採用スケジュールは年度によって変化しますし、受験案内も丁寧に告示してくれません。受験案内の情報収集が公務員試験の第0次試験と言っても過言ではありません。また、奈良県庁職員を第一志望であっても、他の自治体や国家公務員などを併願するのが就職活動においては大切です。採用試験は既に働いている自治体の職員などが一緒に働きたいと思う人を採用します。したがって、筆記試験勉強のみに注力するのではなく、受験生の人柄を存分に発揮できるよう面接試験対策も早い段階から対策を立てていく必要があります。目指す自治体などや、受験生の置かれた環境がそれぞれに異なる事から、合格に効率的な戦略や日々の学習管理など相談できる環境を確保することが大切になります。また、一緒に切磋琢磨できる仲間の存在が学習のモチベーション維持を大きく左右します。