更新日:2024年7月10日
- このページのまとめ
- 熊本県庁では、熊本県内の地域レベルの課題に取り組むと同時に、「くまもと半導体産業推進ビジョン」を策定するなど熊本県全域における県経済の成長を目指しており、企業、大学等と一丸となって大規模な社会課題に挑むことができます。
- 熊本県庁の行政職職員の平均年齢は43.2歳、平均給料月額は325,545円、平均給与月額は398,197円となっており、福利厚生も手厚いことが特徴です。
- 熊本県庁の採用試験は、出題範囲が広く計画的な対策が必要です。公務員試験の情報収集とスケジュール管理が成功の鍵となります。また、他の自治体や国家公務員試験と併願することも考慮し、幅広い選択肢を検討しましょう。
- 監修者:熊井 遊 LEC専任講師
- 関西LEC各本校および大学の非常勤講師・学内講座を担当。科目対策にとどまらず、公務員試験情報、ES・面接対策など、マンツーマンで徹底的に受講生に寄り添う指導スタイル。
熊井 遊 LEC専任講師
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熊本県庁で働くって?
熊本県はこんな自治体
熊本県は、九州本島の中央部に位置し、福岡、大分、宮崎、鹿児島の各県と境を接しています。海上で有明海を隔て長崎県とも接しています。東部の阿蘇地方に日本第2位の阿蘇カルデラを持つ阿蘇山や九州山地の山々がそびえ、西部は熊本平野が有明海に、八代平野および芦北地方のリアス式海岸が不知火海に面しています。そのため、阿蘇山から有明海へと地層を流れる地下水が豊富なことから「水の国」という両面を持ち合わせています。
中心部の熊本市にいたっては政令指定都市という規模でありながら、市域で使用される水道水の100%を地下水でまかなう非常に珍しい都市です。熊本県は九州内で最も多くの県と隣接していることから鉄道網の要所にもなっており、ビジネス・観光でも多くの人が訪れます。特に日本三名城のひとつに数えられる「熊本城」や、2011年に初代ゆるキャラグランプリを獲得した「くまもん」は全国的にも知名度が高く人気があります。
熊本県庁の仕事内容・魅力
熊本県庁職員は、さまざまな仕事を総合して行う「一般行政職」、道路や河川を担当する「土木職」、建築物の申請や検査などを行う「建築職」、社会福祉に携わる「福祉職」、他には、警察職の事務的な業務を行う「警察行政職」、「機械・電気職」、「環境職」、「農学職」、「農業工学職」、「林学職」などがあります。
国家公務員に比べると、熊本県内の地域レベルの課題に取り組み、地域住民に接する機会も多いのが特徴です。一方で、市区町村レベルでは対応が難しい総合的な都市開発計画や、義務教育・社会福祉の維持、条例の策定など、市区町村の枠を超えた大きな仕事に取り組むことができるのが、熊本県庁職員の大きな魅力の一つです。
熊本県庁は、TSMCの熊本進出を契機とし、今後、熊本県における半導体産業の更なる集積や新産業の創出等の波及効果を生み、熊本県下全域における県経済の成長に結びつけていくため、「くまもと半導体産業推進ビジョン」を策定しました。今後、目指す姿の実現に向けて、県、企業、大学等が一丸となった取組みを進めていきます。熊本県庁はこのような比較的規模の大きな課題に挑むことも多いため、長期的なプロジェクトに関わることも多く、結果を出すことを魅力に感じる人も多く在籍しています。
熊本県庁のキャリア
熊本県庁では、異なる職場で業務経験をすることで幅広い視野や能力を身につけるため、異動のサイクルは概ね3年から5年です。異動してすぐに前任者から業務の引継ぎを受けますし、マニュアルや業務引継書があるので、何の業務をいつ遂行すれば良いかが分かるようになっています。
行政職の場合、異動により様々な分野(観光や福祉、農政、土木等)を経験することができます。また、担当する業務によって求められる能力(対話力、法律解釈力、資料作成能力等)が異なるため、様々な部署を経験することで様々な能力を身に付け、人として成長することができます。行政職の異動ローテーションは、企業でいうと新たな企業に就職するようなものですが、「県民のため」という行政の一番大切な信念はどこの部局に移動しても変わりはありません。
熊本県では職員が働きやすい職場づくりに取り組んでいます。完全週休2日制であり、年間20日間の年次有給休暇や5日間の夏季休暇(6〜9月)があります。知事部局の場合、平成30年度の年次有給休暇の取得実績は平均12.1日、夏季休暇は原則5日間すべて取得しています。育児休業は子どもが3歳になるまで取得でき、1歳になるまでは共済組合から育児休業手当金の支給があります。熊本県庁の女性職員の育児休業取得率は100%であり、大変利用しやすい制度になっています。また、育児休業中は職場に代替職員が配置されますので、職場のことを心配する必要もなく、育児に集中できます。なお、職場復帰後も「育児短時間勤務」や「子の看護休暇」等の様々な制度により、仕事と育児を両立できる環境を整えています。職員のチャレンジ精神を尊重し、意欲、能力を直接職務に反映させることにより、職員の士気の高揚と自立的なキャリア形成の支援を図っています。働きやすい環境から、個人のスキルアップのみならず、部局が一緒になって向上していき、「熊本県民のため」に何ができるのかを考え、職務に従事できる環境が熊本県庁には用意されています。
熊本県庁の給料・年収
2023年(令和5年)4月1日現在の一般行政職における状況は以下の通りです。
初任給(大学卒) | 191,700円 |
---|---|
平均年齢 | 43.2歳 |
平均給料月額 | 325,545円 |
平均給与月額 | 398,197円 |
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熊本県庁の採用試験について
熊本県庁採用試験の採用区分と受験資格・年齢制限
試験区分について
大学卒業程度を想定した上級試験では行政の他に、警察行政、教育行政、心理判定員、総合土木、建築、機械、電気、化学、農学、林学、畜産、水産の区分があります。
その他に免許資格職試験、初級試験、経験者試験などの採用試験があります。
受験資格・年齢制限について
上級試験、行政の受験資格は以下の通りです。
- <2024年度の場合>
- 日本国籍を有する人
- 平成元(1989)年4月2日から平成15(2003)年4月1日までに生まれた人
- 平成15(2003)年4月2日以降に生まれた人で大学を卒業又は令和7(2025)年3月末までに卒業見込みの人(人事委員会が同等の資格があると認める人を含む。)
熊本県庁採用試験の倍率・難易度・合格者数推移
試験職種 | 採用予定者数 | 申込者数 | 1次試験 受験者数 |
1次試験 合格者数 |
最終合格者数 | 最終合格倍率 |
---|---|---|---|---|---|---|
行政 | 87人 | 408人 | 307人 | 233人 | 91人 | 3.4倍 |
熊本県庁採用試験の試験内容
試験科目 | 試験時間 | 内容 | 配点 | 第1次試験 | 教養試験 | 150分 |
|
200点 |
---|---|---|---|---|
専門試験 | 120分 |
|
240点 | |
論文試験 | 90分 | 記述式による筆記試験 | 50点 | |
資格加点 | ― | 一定水準以上の資格(語学及び情報処理)を有する人については、第1次試験において加点を実施 | 語学20点 情報処理10点 情報処理20点 |
|
第2次試験 | 論文試験 | 70分 | 記述式による筆記試験 (※論文試験は第1次試験日に実施するが、第1次試験合格者の論文のみ第2次試験で採点を行う。) |
50点 |
面接試験 | − | 個別面接による口述試験 | 200点 | |
第3次試験 | 面接試験 | − | 個別面接及び集団討論による口述試験 | 300点 |
熊本県庁の採用試験の日程について
第1次試験 | 6月16日(日) |
---|---|
第1次試験合格発表 | 6月21日(金) |
第2次試験 | 7月1日(月)〜9日(火)のうち指定する1日 |
第2次試験合格発表日 | 7月12日(金) |
第3次試験 | 7月22日(月)〜7月27日(土) |
最終合格発表日 | 8月2日(金) |
熊本県庁採用試験の試験対策
試験勉強のコツは?
熊本県庁の採用試験は、他の公務員試験と併願がしやすい自治体です。
第1次試験の筆記試験では、教養試験(択一式:題数50題出題30問必須解答、残りの20題のうち、10題を選択解答 時間:2時間30分)の必須解答は、主に知能分野(社会一般、文章理解(英語含む。)、判断推理、数的推理、資料解釈 等)、選択解答は、主に知識分野(社会一般、地理、日本史、世界史、数学、物理、化学、生物、地学 等)苦手意識が強い数的推理を中心に早い時期から対策を立てる必要があります。また、文章理解(現代文・英文)は平均得点率が高くなるため、安定して得点を得られるようになった時期から、いかに短時間で正解を得られるかを追求する学習に移行する事をおすすめします。
また、専門試験(択一式:題数80題出題10問必須解答、残りの70題のうち、30題を選択解答 時間:2時間)の必須解答は、民法(2)、憲法(3)、経済学(5)、選択解答は、民法(10)、行政法(12)、憲法(2)、労働法(3)、刑法(3)、経済学(6)、経営学(2)、財政学(4)、経済原論(7)、経済史(3)、統計学(2)、経済事情(3)、経済政策(3)、国際関係(3)、社会政策(3)、政治学(2)、行政学(2)となっています。法律及び経済分野は、理解するのに時間がかかりますが、問題演習を通して理解を定着させる勉強法も大切となってきます。
第1次試験合格者を対象に実施される第2次試験ですが、面接試験は、事前に自分の考えやエピソードをまとめ、面接試験の実践練習をできる環境を準備しておくことが大切です。自分自身がどのように見られているのか、第三者に客観的な評価をしてもらえる環境も必要となりますので、しっかりと対策を立てておきましょう。
試験勉強時間の目安
公務員試験合格に必要とされる試験勉強時間は、今までの学習量に大きく左右されますが、一般的には1,000〜1,200時間必要だとされています。
大学3年生の春ごろから勉強をスタートさせる方が多いです。大学生活において、ゼミや部活動、社会活動、アルバイトなど学生ならではの様々な経験を積むことは、面接試験対策やエントリーシート作成時のエピソードに不可欠となります。そのため、大学3年生の秋ごろまでは、学習ペースは週20〜30時間ほどの受験生が一般的です。概ね年明けから、面接試験対策も加わり、学習時間が週40時間を超えるように変化していきます。
ただ、これらの学習スケジュールはあくまでも一般的なものです。公務員試験勉強を開始するまでの今までの学習状況や置かれている学習環境などを踏まえ、勉強スケジュールを個別に調整する必要があります。また、近年、大学3年生の間に留学する学生も増え、十分な学習時間を確保できない事もありえます。そのため、個別に合った勉強カリキュラム及びスケジュールを作成し、必要であれば、大学2年生から勉強を前倒しする必要があります。なにか不明点があれば、一人で悩まずに気軽に相談してきてください。
併願について
熊本県庁職員の採用試験は、他の公務員試験や民間企業と併願がしやすい試験となっています。
地方公務員のA日程(6月第3週)で実施されるため、4月実施、及びB日程(7月第2週)の試験を受験できます。また、国家公務員総合職試験、国家公務員一般職試験、及び、裁判所職員や国税専門官、労働基準監督官をはじめとする国家専門職試験も併願が可能になります。C日程(9月第3週)、D日程(10月第3週)とは日程が重複しないため、受験が可能です。地方公務員の中には、A〜D日程以外に独自に日程を設ける自治体もありますので、スケジュールをしっかり調整して、数多くの併願先を検討することが公務員試験合格において大切です。
また、民間企業と併願を考えている受験生は、準(みなし)公務員として、国立大学法人など、仕事内容や採用試験において、公務員と概ね同じ内容ですので、併願先として検討するのも良いでしょう。公務員試験合格は、学習面はもちろん、それ以外にも情報戦となりますので、一人で悩まずに、是非一度、気軽に相談しに来てください。
よくある質問 ※2024年度の熊本県職員大学卒業程度行政
- Q.熊本県の試験科目は?
- A.第1次試験は教養試験、専門試験が課されます。また、資格加点が存在します。第2次試験は筆記試験で論文試験(第1次試験日に実施)と口述試験で人物についての個別面接が課されます。第3次試験は口述試験で人物についての個別面接と集団討論が課されます。
- Q.熊本県の試験日程は?
- A.第1次試験と第2次試験の筆記試験は6月中旬、口述試験は7月上旬の間で指定する1日、第3次試験は7月下旬の間で指定する1日、最終合格日は8月上旬です。
- Q.熊本県の受験資格(年齢)は?
- A.日本国籍を有する人で、平成元(1989)年4月2日から平成15(2003)年4月1日までに生まれた人、平成15(2003)年4月2日以降に生まれた人で大学を卒業又は令和7(2025)年3月末までに卒業見込みの人(人事委員会が同等の資格があると認める人を含む。)が受験できます。
まとめ
公務員試験は情報戦です。採用スケジュールは年度によって変化しますし、受験案内も丁寧に告示してくれません。受験案内の情報収集が公務員試験の第0次試験と言っても過言ではありません。また、熊本県庁職員を第一志望であっても、他の自治体や国家公務員などを併願するのが就職活動においては大切です。採用試験は既に働いている自治体の職員などが一緒に働きたいと思う人を採用します。したがって、筆記試験勉強のみに注力するのではなく、受験生の人柄を存分に発揮できるよう面接試験対策も早い段階から対策を立てていく必要があります。目指す自治体などや、受験生の置かれた環境がそれぞれに異なる事から、合格に効率的な戦略や日々の学習管理など相談してもらえる環境を確保することが大切になります。また、一緒に切磋琢磨できる仲間の存在が学習のモチベーション維持を大きく左右します。