更新日:2024年5月15日
- このページのまとめ
- 理系の公務員(技術職)の仕事は多岐にわたり、土木職、建築職、電気・情報職、機械職、化学職、農学職などの職種があり、それぞれ異なる業務を担当しています。
- 国家公務員は中央省庁や地方機関で国の政策や業務を担当し、地方公務員は自治体で地域に密着した業務を担当します。具体的には、国土づくり、建築物の安全確保、情報通信社会の構築、自動車の安全・環境基準の検討、化学物質の安全利用や環境保全、食の安全確保など様々です。
- 職種によって、国家公務員と地方公務員の違いや仕事内容が異なるため、志望する職種や進路を選ぶ際には、それぞれの業務内容を具体的に把握することが重要です。
理系公務員(技術職)はどんな仕事をするんだろう?
理系公務員と一言で言っても、土木職、化学職、農学職など、その種類は様々です。
自分は農学を勉強していたけれども、農学職はどんな仕事をするんだろうか。
専門は複数領域にまたがるものであったが、どの職種の受験をすればいいのか、どの職種に自分のやりたい仕事があるのか。など、仕事内容がある程度具体的に分からなければ自分の進路の決めようがありません。
どの職種がどのような仕事をしているかを概観していきましょう。
理系公務員における国家公務員と地方公務員の違い
国家公務員は、中央省庁や地方機関に所属し、採用区分に関する知識を活かして国の政策や業務を担当します。国家規模の仕事に携わることが出来るので、責任も生じますが、やりがいのある仕事です。国家総合職・一般職(技術各区分)採用試験に合格すると、各省庁で行われる官庁訪問の参加資格が得られ、自分の希望する官庁・地方機関を選択して訪問することが出来ます。
地方公務員は、地方自治体に所属し、基本的には自治体の管轄する地域内で勤務します。自治体内で様々な分野について、採用区分の知識を活用しながら地域に密着した業務を担当します。地域住民との距離が近く、まちづくりに直接貢献できる仕事です。採用試験は地方自治体によって内容が異なり、職種によっては早期選考を実施していることもあります。理系公務員の場合、自治体によっては採用のない分野もあるので、自治体の採用案内をしっかり確認しましょう。
土木職
安全で安心の国土づくりの中心となる公務員
各地方におかれた国土交通省・地方整備局では、河川、道路、港湾、空港、公園などの社会資本の整備と管理を行います。
広域的な視野で事業の役割をとらえ、企画調整、調査計画、設計・清算、施工管理、管理保全などが業務になります。
会計監査院では、技術系行政官として公共事業費などの検査において中心的な役割を果たすことが求められています。
一方、自治体では、道路や公園などの設計・施工において、コンサルタントから上がってきた図面を整えて、見積もりを算出し、民間の業者に委託するという一連の調整業務や、道路や公園などの維持・管理、再開発の指導など、まちづくりに関するさまざまな業務を行います。
土木職を目指すならこのコース!
合格者に学ぶ
こんな公務員になりたい!こんな仕事がしてみたい!
- 山口 赳史さん
- 合格先:
-
- 神戸市役所(土木)
- 受講した講座:
- 2023年合格目標 土木職合格コース
地元に貢献したい
私は土木工学を専攻しており、学んでいく中で広く多くの人の役に立てる仕事を意識するようになりました。特に学部時代に学んだことを幅広く活かしたいと考え、その場として最も適していると思ったのが神戸市の土木職です。神戸は港湾や都心部だけでなく、山間部、住宅街、農村地域と様々な顔を持ち、そのため土木工学が幅広く活躍できる場だと思います。そして、生まれ育った町への恩返しの意味も込めて、神戸市への就職を希望しました。
建築職
建築物の安全を守り、まちづくりの中心となる公務員
国土交通省では、耐震性能、環境対策、ユニバーサルデザインなどの技術基準類を策定したり、こうした基準を地方へ普及させる業務を行います。
また、文部科学省では、科学技術に関する業務の中でより現場に近く、かつ技術的な知識を多く必要とする業務に配属されます。
自治体では公共の建築物から都市という集合体までトータルでチェック、整備を行います。
コミュニティー館などを新築する際には、基本計画から見積り、設計、工事監理等までトータルで携わります。まちづくりのマスタープランや条例づくりなども自治体職員でしかできない仕事です。
建築職を目指すならこのコース!
合格者に学ぶ
こんな公務員になりたい!こんな仕事がしてみたい!
- 栗原 慶さん
- 合格先:
-
- 東京都Ⅰ類A(建築)2位合格 / 東京都Ⅰ類B(建築)3位合格
- 受講した講座:
- 2023年合格目標 建築職合格コース
「みんな」に繋がる仕事を
私が公務員を目指した理由は、社会へ貢献することを生きがいに働きたいと思っていたからです。就職活動で民間企業を見たところ、民間企業ではどうしても予算を考える必要があるため、全ての人のニーズに答えられないのではと感じました。しかし、公務員のインターンシップに参加した際、公務員は住民の暮らしを豊かにすることを第一に、すべての人のニーズに対する事業を幅広く行っていると知り、社会への貢献度が高いのではと感じ、公務員を目指すことにしました。
電気・情報職
これからの情報通信社会を構築し、それを支える公務員
国土交通省では、交通機関の安全性を守るために、自動車、鉄道、航空機、船舶などの技術基準を作成するとともに、基準適合性の確認などを行っています。 経済産業省では、論理的な問題解決能力と専門知識をバックグラウンドに国際交渉や法律の改正、技術支援など、多様な仕事に携わることができます。
総務省では情報通信社会の構築に向けて制度の構築や技術開発などの施策に取り組みます。
電気・情報職を目指すならこのコース!
合格者に学ぶ
こんな公務員になりたい!こんな仕事がしてみたい!
- 平野 周吾さん
- 合格先:
-
- 国家総合職(工学) / 東京都Ⅰ類A(電気)
- 受講した講座:
- 2023年合格目標 電気・情報職合格コース
途切れることのない安定した通信の実現
災害などで通信が途切れることによってもたらされる社会への影響は大きいです。安定した通信の実現は企業と国の協力が不可欠で、周波数の割り当てや自動運転の実現など多くの点で国が関与する部分は多く、公務員として関わりたいと考えるようになりました。企業ではできないスケールの大きな事業や国でなければできない仕事に携わることで、多くの困っている人の役に立てるのであれば、それが人生の大半を占めることになってもそれもありだと感じました。
機械職
日本のメカニック!
国土交通省の運輸支局や車検場、地方運輸局などで、車検の更新窓口業務や原動機付自動車などの型式認定審査などに携わるほか、これからの自動車の安全・環境基準を検討していく部署などへの異動もあります。
また、警察庁では材料工学や制御工学など、さまざまな知識を大型通信施設の整備や警察情報通信システムの開発に生かすことができます。
自治体では、機械設備の計画・設計・見積・施工・工事管理・維持管理などの業務に携わります。
機械職を目指すならこのコース!
合格者に学ぶ
こんな公務員になりたい!こんな仕事がしてみたい!
- I・Hさん
- 合格先:
-
- 千葉県(機械)1位合格 / 特別区Ⅰ類(機械)1位合格
- 国家一般職(機械)/ 労働基準監督官B
- 受講した講座:
- 2023年合格目標 機械職合格コース
公務員だからできること
大学で製造業の様々な企業の方の話を伺いましたが、その企業の製品を買った人だけでなく、より幅広く社会貢献できるのは公務員であると思い志望しました。大学で学んだ機械系の知識を活用できる職に就きたいと思いながらも、企業で特定の分野にだけ関わることに抵抗がありました。その点、公務員には様々な業務があり、転勤や他省庁への出向など多くの経験ができることに魅力を感じました。
化学職
化学物質の安全利用進め、水質や大気環境を守る公務員
全国9ヵ所にある財務省税関では、輸出入貨物の化学的分析や不正薬物の鑑定等を行います。
また、経済産業省の化学物質管理課では新規に開発された化学物質のリスク評価なども行います。
自治体では環境保全関係部署や上下水道関係の部署において、地球温暖化の防止や資源循環型社会の構築をはじめ、環境保全に向けた企画立案や、大気汚染、水質汚濁、廃棄物問題などに対する監視や調査・指導、試験研究など、主に環境問題に関する幅広い業務の最前線で働くことになります。
化学職を目指すならこのコース!
合格者に学ぶ
こんな公務員になりたい!こんな仕事がしてみたい!
- H・Kさん
- 合格先:
-
- 愛知県(化学)2位合格
- 受講した講座:
- 2023年合格目標 化学職合格コース
化学の知識を生かし、地元愛知のために働きたい
私が志望した化学職では大きく二つの仕事があり、「出先機関での分析業務」「本庁での行政事務」の二つが挙げられます。私は昔から環境問題に関わる仕事がしたいという気持ちが強くあったため、出先機関の環境調査センターにおいて分析業務に関心がありました。さらに、本庁の環境局にて民間企業と連携しながら様々な企画立案を行いたいという気持ちもありました。このように技術・行政二つの観点から環境問題に関われるのが公務員だったため目指しました。
農学職
日本の食と里山を守る公務員
農林水産省では食の安全の確保、食育の推進や農家の経営サポートなどの業務に従事します。地方農政局では地方への先進性の高い農業を普及させる施策や、農山漁村の活性化の中心的な役割を担います。
自治体では、地元の農作物を全国にアピールする企画等に携わったり、実際にイベントを運営したりします。
また、農業試験場で施肥技術の研究などを行い、農業技術の推進と環境保全の両立を技術面で補佐します。
農学職を目指すならこのコース!
合格者に学ぶ
こんな公務員になりたい!こんな仕事がしてみたい!
- N・Tさん
- 合格先:
-
- 山梨県(農業)3位合格 / 国家一般職(農学)
- 受講した講座:
- 2023年合格目標 農学職合格コース
広い面から県の農業の発展に携わりたい
食は生きる上で欠かせないものです。農業は食物をつくり出すという欠かせない職業です。農業職は農家の支援だけでなく農業技術の研究・普及、安全性を保証するための取り組み、企業と連携した活動など、幅広い面で県の農業を支えています。様々な企業や官公庁の説明会に参加した中で、公務員の業務は農協や植物工場、食品会社などの民間企業と比較して幅広いと感じました。私は県内の作物の安全性を確保する仕事に魅力を感じ、県職員を目指しました。
技術系公務員試験を受験しよう!
試験制度を知っておこう!
国家公務員や地方公務員の試験は同じ日程で全国一斉に実施されるわけではありません。
国家公務員総合職、国家公務員一般職、東京都や道府県庁および政令指定都市(一般的に、これらを総じて地方上級と呼ぶ)は、表1のように実施日程がずれているのが通常であり、別日程であれば併願することができます。
公務員試験日程(2024年度実施の例 ※横浜市のみ2023年度を記載)