更新日:2022年7月11日
市役所職員採用試験においては、人物重視の傾向が強まる中、筆記試験の実施前に、エントリーシートの書面審査を通過しなければならないケースが増えてきています。つまり、エントリー時に、志望理由や公務員としてやりたい仕事、自己PRなどを入力させるところが増えてきているのです。その際に、受験自治体と自分がどのような関わりがあるか、また、やりたい仕事についても受験自治体の状況を踏また記述をしないと、書類審査が通らないケースが多く見受けられます。どこまで真剣にその市のことを考えて臨んでいるのかを示しましょう。
市役所(地方公務員)の志望動機を書くポイント
志望先が公務員である理由を明確にする
地元で働きたい、では志望動機になりません。なぜなら、地元にも就職先は市役所以外にもいくらでもあるからです。したがって、志望動機には、なぜ公務員を志望するのか、その理由を記入しなければ、書類審査を通過することは難しいでしょう。その場合、「ワイフワークバランスが実現できるから」など、自分の都合を書いてもだめです。かといって「広く人のためになる仕事がしたい」では抽象的すぎます。高齢者が安心して暮らせるには何が必要なのか、孤立しがちな方々をどのように地域とつなぐか、子どもが健やかに育つ環境をどのように整えるか、災害が起こった際にも被害を最小限にするためには何が必要なのか、など、地域の住民の方々のために自分は何をどのように実現したいのかを、今までの経験なども踏まえて、説得力をもった志望動機を考えましょう。
つまり、公務員として公に奉仕するという覚悟をもって、公務員として〇〇がしたい、〇〇は公務員でなければできない、ということを考えてください。〇〇という仕事を通じて地域に貢献できる、住民の方々が安心して暮らせる社会を実現できる、など、市役所の仕事をよく理解して、志望動機を考えることが大切です。
志望先がその地域である理由を明確にする
地元の場合
地元に貢献したい、という志望理由でもよいでしょう。しかし、なぜそう思ったのかをしっかり理由を示すことも必要です。また、地元の良さが意外と言語化できていない人も多くいます。地元の良さはどこにありますか?ホームページなどには書いていない、地元だからこそわかることをしっかり盛り込むとよいです。地元出身であるということは、多少のアドバンテージになりますが、地元出身だから採用されるわけではありません。自分が20年30年と働いていく中で、どのような市を実現したいのか、しっかりとビジョンをもって志望動機を考えましょう。
地元でない場合
近年では、一次試験の日程が分散してきたことで、多くの自治体を併願することが可能になった分、地元でない市を受験する場合には、受験先とどのような関わりがあるのか、どのくらい足を運んだことがあるのか、どれくらい好きなのかが以前よりも早い段階から重視されています。縁もゆかりもないところでも、エントリーする前から実際に足を運んで、よいところなどを複数発見するなどをして志望動機に反映させないと、書類審査が通りません。受験するからには、本当に真剣にその市のことを考え、市の現状を踏まえて、職員として何をしていきたいのかをしっかり考えて志望動機に反映させましょう。
志望先が自分の強みを生かせると考える理由を明確にする
採用する側は、それぞれの受験生がどのような強みをもっているのかに関心がありますが、それは、受験生がもっている強みを、市役所の仕事をしていう上で実際にどのように発揮してくれるか、もっと端的に言うと、〇〇という強みを生かしてどのように働いてくれるのか、みなさんを採用することに市にとってどんなメリットがあるのか、ということをみたいからです。
したがって、まず、自分の強みを考える際には、市役所の仕事をする上で必要となる力を挙げてみましょう。窓口で住民対応をする際には、住民の話を丁寧に聞く、そして市民の方々にとってわかりにくい法律や制度をわかりやすく説明する、行政が行うことに対して不満や反対意見をもつ住民の方々にも、丁寧に相手の立場にたって説明をする、根気強く説得をする、など、求められる力は他にももっとたくさんあります。志望先の現状を踏まえ、かつ、自分のやりたい仕事を関連して、自分の強みをどう発揮できるのか、面接官が「この人を採用したら、〇〇や▽▽でこんな仕事、あんな仕事をしてくれるだろう」という想像ができるように、強みをどのように志望先の仕事で生かせるのかを、書きましょう。
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市役所(地方公務員)の例文
- 良い例①
- 私は住民の皆さんが将来も安心して暮らせるように、長期的な視点でまちづくりをすることに魅力を感じています。○○市は市民協働を行政運営の柱とし、早くから取り組み、住民の参加意欲も高い市です。住民の皆さんが「住んでよかった」と思うように貢献したいと考えています。
基礎的自治体での仕事の魅力や○○市の志望理由が短い文章で上手くまとまられており、意欲も十分に感じられます。
- 悪い例①
- 私はこの市で生まれ育ち多くの友人に囲まれて毎日楽しく生活しています。子供のころは市の主催する書道展で銀賞をもらうなど楽しい思い出でいっぱいです。私の祖父母も両親も市にお世話になっており、○○手当をいただいております。○○市は私にとって命の恩人です。○○市に恩返しするつもりで志望しました。職員として採用してください。
細かな文字でぎっしりと書きすぎてあり、読みづらいです。
なぜ公務員なのか?なぜ○○市なのか?が理解できず、また職員でなくても恩返しはできると思われてしまいます。
- 良い例②
- 私は子どもの体力づくりや高齢者の健康維持に興味があります。地域での健康づくり運動を市レベルで推進し、その過程で、希薄化しているといわれている、地域コミュニティの再生にも取り組みたいと考えています。
スポーツを通した子ども達の体力向上だけでなく高齢者の健康づくりを考えていることは視野が広いことを感じさせます。
また、地域コミュニティにまで触れている点は評価されます。地域コミュニティは市政策のあらゆる分野にかかわるので重要です。
- 悪い例②
- 私は小学校のころからサッカーをしており、大学のサッカー部では副キャプテンを務め○○大会では準優勝できました。○○市でも私のサッカー技術を生かし子供たちを鍛え、スポーツの喜びを伝えたいと思います。
市の仕事はスポーツだけではありません。地域でサッカーを通じて子ども達の体力づくりをしたいのなら、住民団体の一員としてもできます。
まとめ
人柄重視の面接とはいえ、公務員受験生の多くは協調性やコミュニケーション能力をもっています。したがって、合否をわけるポイント、すなわち受験生の間で差がつくのは、市役所の仕事をどれくらい理解しているのか、どのくらい市のことを真剣に考えているのか、という点です。この部分が明確になるのが志望動機の欄ですから、志望動機は使いまわしをせず、それぞれの自治体と真剣に向き合って作成することが何よりも大事ですね。
- 監修者:LEC実力派の講師陣
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