更新日:2024年4月19日
地方公務員の試験概要(日程・受験資格・試験内容・難易度)を分かりやすく解説します。地方公務員になるために必要なことを把握して対策を始めましょう。
- 目次
- 地方公務員とは
- 地方公務員の試験概要【種類別】
- ①都道府県・政令指定都市職員
- ②市町村職員
- ③地方上級 技術職、心理・福祉職、専門職(資格職)
- ④民間企業経験者採用試験
- ⑤高卒程度の地方公務員試験
- 地方公務員試験の難易度
- 地方公務員試験の対策・勉強方法
- 公務員試験対策ならLEC東京リーガルマインド
- まとめ
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地方公務員とは
地方公務員とは、都道府県・政令指定都市・市町村などの地方自治体で働く公務員を指します。
地方公務員でも、都道府県で働くか市区町村で働くかによってその仕事内容は大きく異なり、都道府県では市区町村を包括する地方自治体として「広域的な行政サービス」を提供します。その一方で市区町村では住民に1番身近な公務員として「住民生活に密着した行政サービス」を提供しています。
地方公務員の試験概要【種類別】
これから地方公務員の試験概要について詳しく解説します。
①都道府県・政令指定都市職員
仕事内容
都道府県職員は、都道府県の行政を支え、地域社会の発展に寄与しています。主な仕事内容は多岐にわたっており、行政業務の中核を担っています。政令指定都市職員は、都道府県職員とは異なり、特に政令指定都市における行政の特殊性や規模の大きさに対応するため、独自の業務内容を担当しています。政令指定都市は大都市圏に位置しているため都市の規模や複雑性が都道府県よりも大きいことが特徴です。
試験概要
地方公務員試験は、地方上級(大卒程度)・中級(短卒程度)・初級(高卒程度)と試験を分けて実施されています。これは、求められるレベルに分けて設定されています。名称は自治体ごとに異なるため採用試験概要を確認する必要があります。ここでは、地方上級(大卒程度)について解説していきます。
スケジュール
地方上級試験で、道府県庁は6月中下旬に統一日程で実施されています。それ以外に例年、東京都庁・特別区は4月下旬に独自日程で実施しています。最近では、愛知県が5月中旬、堺市が5月下旬と統一日程以外で実施する自治体も増えています。更に、早期採用枠を別途実施するなど地方公務員試験が、ここ数年で大きく変わってきています。
1次試験 | 6月中下旬 |
---|---|
2次試験 | 7月中旬〜8月上旬 |
最終合格発表 | 8月下旬〜9月上旬 |
1次試験 | 4月21日(日) |
---|---|
2次試験 | 6月14日(金)〜6月27日(木) |
最終合格発表 | 7月10日(水) |
1次試験 | 5月19日(日) |
---|---|
2次試験 | 1日目:6月16日(日) 2日目:7月1日(月)〜7月19日(金) |
最終合格発表 | 8月1日(木) |
受験資格
地方上級の受験資格は学歴制限を設けず年齢制限のみという場合が多く、一部自治体で学歴要件を課しています。22歳以上であれば大学を卒業もしくは卒業見込でなくても受験は可能です。
受験科目・試験の特徴
多くの自治体では、1次試験(筆記試験)は教養試験と専門試験が課されます。教養試験では数的処理・文章理解・社会科学・人文科学・自然科学・時事等が出題されます。専門試験では行政職(事務)の場合、法律系・経済系・政治系・行政系科目などが出題されます。専門試験では多肢選択式に加え記述式が出題されることもあります。その他、論文試験を課す自治体が多くあります。
2次試験は、主に面接試験(人物試験)が実施されます。特に地方公務員では人物重視傾向があり、個別面接・集団面接・グループワーク・集団討論など様々な形式で実施されています。
②市町村職員
仕事内容
市町村職員は、みなさんがよくご存知なのは住民票に関する業務であると思いますが、そのほかに公園・緑地の保護や管理、一般廃棄物処理やリサイクルなど、住民密着で地域の生活をよりよくしていく仕事をしています。
例えば、子育て支援や介護については、市町村が実施主体となって実施することが法律によって決められているため、妊娠から出産、子育てと切れ目のない支援や、医療や介護が必要な状態になっても、住み慣れた地域・家で生活を続けることができるような地域包括ケアシステムの構築の取り組みも市町村職員の仕事です。
試験概要
市役所採用試験は大きくわけて1年で4回にわけて実施されており、A日程(6月中下旬)、B日程(7月)、C日程(9月)、D日程(10月)となっています。
A日程 | 6月中下旬 | 道府県庁、政令指定都市、県庁所在地などの市役所 |
---|---|---|
B日程 | 7月中旬 | 最近実施が増えている |
C日程 | 9月中旬 | 全国の多くの市役所が実施 |
D日程 | 10月 | - |
これまでは、C日程で全国の多くの市役所が実施していましたが、最近ではB日程で実施する市役所が増加傾向にあります。早期採用を意識しているようです。
スケジュール
1次試験 | 小論文試験・教養試験 | 6月18日(日) |
---|---|---|
2次試験 | 人物試験(集団面接) | 7月中旬 |
3次試験 | 人物試験 | 8月中旬 |
4次試験 | 人物試験 | 9月下旬 |
最終合格発表 | - | 10月上旬 |
1次試験 | 適性試験・学科試験 | 7月9日(日) |
---|---|---|
2次試験 | 人物試験 | 7月28日・29日・31日 |
3次試験 | 人物試験 | 8月16日・17日・18日・21日 |
最終合格発表 | - | 9月下旬 |
1次試験 | 教養試験・作文試験 | 9月17日(日) |
---|---|---|
2次試験 | 人物試験・適性検査 | 10月15日(日) |
3次試験 | 人物試験 | 11月19日(日) |
最終合格発表 | - | 12月上旬 |
受験資格
市役所の受験資格も地方上級のように学歴制限を設けず年齢制限のみという場合が多く、一部自治体で学歴要件を課しています。
受験科目・試験の特徴
試験内容は1次試験(筆記)で教養試験・論文試験を課す自治体がほとんどですが、一部では専門試験を課す場合もありますので、過去の試験内容を確認しましょう。
最近のトレンドでは、民間就職試験で導入されている、基礎能力検査(SPIやSCOA)を実施する自治体も増加傾向です。ある程度高い点数が必要となり民間就職試験と併願している人たちとの競争となるため、競争が激しくなっている自治体もあります。
市役所職員の公務員試験倍率
区分 | 採用予定数 | 受験者数 | 最終合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|---|
一般事務(大卒) | 15名 | 133名 | 16名 | 8.31倍 |
区分 | 1次試験受験者 | 1次試験合格者 | 2次試験合格者 | 最終合格者 | 倍率 |
---|---|---|---|---|---|
事務A(大卒程度) | 210名 | 164名 | 83名 | 42名 | 5倍 |
一部の自治体例を表記していますが、倍率が高い傾向にあります。例に上記の県庁と比較しても
市役所人気が高く県庁よりも倍率が高いため、筆記・面接試験など万全な対策が必要です。
<2023年度>
- 群馬県(行政事務A) 最終倍率:3.9倍
- 群馬県(行政事務B/SPI方式) 最終倍率:8.0倍
- 静岡県(行政Ⅰ) 最終倍率:3.0倍
③地方上級 技術職、心理・福祉職、専門職(資格職)
仕事内容
地方公務員には、行政職(事務)以外にも技術職、心理・福祉職、専門職(資格職)など多くあります。それぞれの仕事内容について解説します。
技術職は、理系の専門知識を生かして働く公務員全般を指していますが、具体的には土木職、農学職、化学職、建築職、機械職、電気電子職、情報職、畜産職など、多くの区分があります。自治体のハード面での基盤整備にあたる土木職や建築職のほか、化学職は水質検査や環境に関する規制の監視、研究業務などが仕事になります。
次に、心理職は住民からの相談に応じ、ケースワークに従事するほか、心理検査などを通して、相談者に一番適した支援方法を提案するなど、心理学の専門知識を生かして業務にあたります。福祉職は、市町村ごとに設置される福祉事務所で、生活保護などのケースワーカーとして働くことが多くあります。
その他に専門職(資格職)では、管理栄養士、保健師、薬剤師、栄養士、獣医、保育士、司書など免許資格を持った方の採用試験が実施され、それぞれの資格を活かした業務に携わっています。
試験概要
スケジュール
試験日程は、自治体によって異なりますが、上記で述べた実施日と同日に実施されることがほとんどです。
受験資格
専門職(資格職)の受験資格に地方上級のように学歴制限を設けていることと、専門職となるため、ある特定の資格を有していること、または指定された学科などで所定の科目を履修していることを挙げていることがほとんどであるため、学習を始めるために、ご自身に受験資格があるか確認してから始めることをおすすめします。
受験科目・試験の特徴
試験内容は、1次試験は教養試験・専門試験、そのほか論文試験が課される場合があります。通常、教養試験は行政職(事務)と同じ問題が出題され、専門試験ではそれぞれの試験区分に関連する科目が出題されます。 最近では、専門試験のみを課す自治体も増えており、択一式ではなく口述試験など様々な形式で実施されています。ご自身の志望先の試験概要を確認するようにしましょう。
④民間企業経験者採用試験
注目されている背景
民間企業等での職務経験のある人を対象とした採用試験が増えています。「民間企業等経験者採用試験」「経験者採用試験」として試験を実施しており通常の試験とは異なります。多様化する行政や地方自治の業務や課題に対し、民間企業等で得た経験や能力を活かし、より良い行政サービスを行うことが求められていることが背景としてあります。
試験概要
経験者採用試験は民間企業などでの職務経験がある人を対象としています。そのため上限年齢が高く設定されていることが多い傾向です。
即戦力になる人材採用目的としているため、民間企業などで1年〜10年程度の職務経験が必要な場合が多く、その経験をどのように活かすことができるかが重要となります。
民間経験者採用試験は一般枠に比べて採用人数が少ないため、倍率が高くなる傾向にあります。論文・面接の対策に比重を置いて行いましょう。
スケジュール/試験内容
試験 | 試験種目(配点) | スケジュール |
---|---|---|
1次試験 | 教養試験(50点) | 9/24(日) |
論文試験(150点) | ||
2次試験 | 人物試験(500点) | 10月28日(土)〜11月5日(土) |
最終合格発表 | - | 11月24日(金) |
受験資格
次の2つの要件を満たす人が受験できます。
- (1) 昭和38年4月2日以降に生まれた人
- (2) 以下のア、イ、ウのいずれかの要件を満たす人
ア 学校教育法に基づく大学を卒業(人事委員会が同等の資格があると認める人を含む。)後、民間企業等における職務経験を5年以上(令和5年7月末日現在)有する人
イ 学校教育法に基づく短期大学又は専修学校(2年制以上の専門課程で年間授業時間数が680時間以上のものに限る。)を卒業(人事委員会が同等の資格があると認める人を含む。)後、民間企業等における職務経験を7年以上(令和5年7月末日現在)有する人
ウ 民間企業等における職務経験を9年以上(令和5年7月末日現在)有する人
注1「民間企業等における職務経験」は以下のとおりとします。
(1)「一般行政」及び「一般行政(DX)」
民間企業の従業員等として、常勤で6か月以上継続して就業していた期間が該当し、公務員及び非常勤のアルバイト、パートタイマーとしての職務経験は含みません。
注2 複数の企業等での職務経験期間を通算することができます。ただし、同一期間内に複数の職務に従事した場合は、いずれか一つの職歴に限ります。
注3 在職中に連続して3か月を超えて職務に従事していない期間(産前産後休暇を除く)は、職務経験期間から除きます。
倍率
職種 | 採用予定数 | 1次試験受験者 | 1次試験合格者 | 最終合格者 | 倍率 |
---|---|---|---|---|---|
一般行政 | 5名 | 123名 | 19名 | 10名 | 12.3倍 |
⑤高卒程度の地方公務員試験
高卒程度は、高校卒業レベルが求められる試験です。
試験内容としては、1次試験で「教養試験」と「作文試験」が行われることが多く、2次試験で人物試験(面接)が行われています。
高卒程度試験を受験する際には年齢制限に注意する必要があります。高校を卒業後に一度民間企業に就職した後、公務員へ転職を考える場合など、卒業後一定の期間を過ぎると資格がなくなる可能性があるため注意が必要です。
地方公務員試験の難易度
地方上級の試験内容は自治体ごとに異なります。さらに受験する区分によっても異なります。1次試験は大きく分けると「教養科目(基礎能力試験ともいいます)」と「専門科目」に分類できます。さらには、民間就職試験で活用されている、基礎能力検査(SPIやSCOA)などを導入する自治体も出てきており、多様化が進んでいます。 一般的な公務員試験の場合、教養試験の難易度は科目ごとによって異なるものの、学習範囲が広いため、しっかりと対策することが必要です。専門試験についても、各科目が全部出題されるところもあれば、選択式の自治体、一部の科目だけ指定されている自治体など様々です。また、問題数も自治体によって異なります。効率よく勉強するためにも、各自治体の出題科目や問題数をきっちり調べておくことが必要です。
地方公務員試験の対策・勉強方法
公務員試験の合格に必要とされる時間は一般的に1000〜1200時間と言われています。
これだけの勉強時間が必要なのは、公務員試験の科目数にあります。教養科目のみでも15科目程度、教養科目と専門科目を合わせると30科目程度の勉強が必要になります。また、公務員試験は択一試験(マークシート方式の試験)に加え、論作文や面接試験がほとんどの試験で行われます。
一般的に1000時間前後の学習時間が必要とされています。このため、多くの受験生は試験の3年生(1年前)の春くらいから勉強を開始する方が大多数です。9月に実施される教養試験のみの試験であれば4年生になってからのスタートでも間に合う可能性がありますが、勉強する量はいつ始めても変わらないため、早期スタートをお勧めします。
公務員試験対策ならLEC東京リーガルマインド
LECでは大卒程度・高卒程度・経験者採用の試験対策講座をご用意しています。
その他、大卒程度の技術職、心理・福祉職専用講座もございますので、公務員試験受験を検討されている方はご自身にあった講座があるか、ご確認ください。
まとめ
公務員になるためには様々な方法があります。ご自身が公務員になるためにはどの試験なのかを確認し、それに対応した試験対策を行うことが必要です。まずは正確な情報を得ることが大切です。どの試験を受験すべきか、公務員試験は種類が多く、正確な情報を得ることが難しい状況になっており不安を抱えている場合にはLEC公務員受験相談をご活用ください。