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司法書士実務家インタビュー 大野 高志 先生

全国司法書士実務家インタビュー

LEC合格講座出身の司法書士実務家の方々にインタビューしました。
合格後の進路は法人事務所勤め、独立開業、海外出向と選択肢に幅があり、また登記・裁判・成年後見・相続業務、企業法務など業務内容も多岐に渡ります。
司法書士を目指す方にとって、合格後の就職やビジョンを考える上で参考になれば幸いです。

地域の人との
つながりを大切に法律知識を
社会に役立てる

大野 高志 先生

大野 高志 先生

合格年度 平成17年度(受験2回)
事務所 大野司法書士事務所

司法書士を選択した理由

私が通っていた大学にLECの宅建講師が出張して講義をしてくれました。宅建取得後、次のステップとして司法書士の資格があることを知り、大学2年生の頃からLECの15ヵ月コースを受講し始めました。大学での宅建講座がなければLECも知らなかったし、司法書士の勉強をするにもどうしたらよいのか分からなかったと思いますので、とてもありがたかったです。
私は組織とか縦社会になじめない人間だと考えていましたから、社会的に認知された資格を取って、自分で何かをやりたいという気持ちが強くありました。

主に行っている業務は

私は成年後見をメインにしています。以前は債務整理が多かったのですが、社会の需要から自然と成年後見が多くなりました。
成年後見は「営業」の必要がなく、成り手が足りない状況です。地元地域で事務所を開き、後見もできることを掲げると、自然と依頼が入ってくるようになりました。現在10数件の担当をさせていただいていますが、独り事務所で10件以上は結構多い方だと思います。
また、そこから派生して、近年業界内で推進されている財産管理などの業務も行っています。預貯金の名義変更をするにもご高齢の方には大変です。必要な書類を整理して代理人として手続きを行うことで大変喜ばれます。入口は成年後見ですが、不動産業者との付き合いもでき、別件で不動産登記の仕事が入ってきます。後見をやっているとご本人のご自宅を売却するという業務が出てきますが、そこで不動産業者との「対等な」お付き合いができるようになります。従来型の下請けのような関係にはなりません。また、成年後見は金融機関にもよく行きますから、自然と顔を覚えて頂けます。ご高齢の方とのやりとりで窓口の方が当惑してしまう場面も多く、そんなときに司法書士につなげられると金融機関も助かるようです。

苦労話とやりがい

人との繋がりができて、いろいろな仕事ができるっていうのがおもしろいですよね。
後見業務でいうと、やはり人の人生に大きく関わる部分なので責任が重大です。しかし、だからといってあまり重々しく考えたり、ご本人やその家族に感情移入し過ぎたりすると、仕事ができなくなってしまいます。だから心の中ではいつも「楽しいな」ぐらいの気持ちでいるようにしています。
成年後見はご本人の財産を守る仕事と言われますが、他方ご本人の意思も尊重しなければなりません。ではそれが相反する場面はどうしたらよいか。本人の意向を汲んだら散財につながるような場面です。どちらを尊重すべきか判断に迷います。結局正解がないんです。その中で最善の答えを出さなければいけない。やはりそこは苦労します。どうしたらよいか、先輩に聞いたり家庭裁判所に聞いたり。そして、実際に決断して進めても本当にこれでよかったのかと悩むこともよくあります。そうしたすっきりしない気持ちが付いて回るのは苦労に入るんだと思います。
また、司法書士は財産管理は得意ですが、介護や医療のことって専門ではないですよね。私も勉強はしていますが、やっぱり介護・医療の方々との会話の中でわからない専門用語が飛び交う場面とかも苦労します。

法教育の活動について

借金や悪質商法の相談を受けていたとき、契約や法律の知識のない大人がどれだけ多いかと感じていました。社会に出る前にちょっとでも知識に触れる機会があれば、被害にあったり、トラブルに巻き込まれずに済んだのではないか、そんな思いから高校生向けに出張授業などをしています。彼らが大人になったときに、「あ、司法書士さんに相談しよう」ってなってくれれば、業界的にもマイナスじゃないでしょう(笑)。

収入面は

最近の業界の傾向として、圧倒的に登記業務は減少しています。パイの取り合いで価格競争みたいな感じになっています。報酬って目に見えて判断できますから、ここに新規で立ち向かうのは大変ですし疲弊するだけだと思います。
私は成年後見を中心に置くことで、無理なくマイペースに仕事をしています。正直この仕事量でこれだけの収入があれば充分だよねというレベルだと思います。営業をせずに、ここまでできるのはやはり資格があるからでしょうね。

勉強をはじめる方へのメッセージ

社会が司法書士を求めています。インターネットで耳にするような業界のマイナス面は、昔ながらに同じことしかやっていない司法書士の場合です。司法書士にはまだまだ新しい可能性がたくさん秘められていて、様々な分野で活躍の場面が広がっています。
大きく稼ごうと思ったらいくらでも稼げるし、私のようにマイペースにやろうと思えばそれもまたできてしまいます。司法書士は環境にあまり左右されない一生続けられる職業だと思います。

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