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司法書士は独学でも合格可能?
勉強のポイントやメリット・デメリットを紹介

司法書士試験

更新日:2024年11月8日
作成者:森山 和正 LEC専任講師

合格率4%の司法書士試験の合格を目指すとき、まずどのような方法で学習すればいいのかということです。
独学でも合格できるのか気になる人もいらっしゃるでしょう。
本記事では、司法書士試験の合格を独学で目指す際のポイントや独学のメリット・デメリットを詳しく紹介します。ぜひ、学習方法を決める参考にしてみてください。

目次
1.独学合格ははたして可能なのか?
2.独学学習のメリット
3.独学学習のデメリット
4.独学で司法書士試験に合格するためのポイント
5.独学に向いているのはどんな人か?
6.独学以外の方法にはどのような方法があるか?
7.まとめ

1.独学合格ははたして可能なのか?

以前は、司法書士試験に独学で合格することは不可能だといわれてきました。以前は、SNSなどの情報発信ツールも限られており、情報は予備校が発信するものばかりでしたから、独学で合格したという情報が発信されることはなかったという事情もあるかもしれません。予備校が「独学で合格できる」なんて情報を積極的に出すとは思えませんからね。しかし、実際に、私も新人研修において独学で合格したという同期合格者に会ったことはありませんでした。実際に、独学で合格することはほとんどなかったというのは事実だと思います。

しかし、近年、司法書士試験に独学で合格したという方も、少数ですが目にするようになりました。独学で学習を進めることができるような参考書などが充実してきたことで、独学でも勉強をすることができる環境が整ってきたのが理由でしょう。

独学が1つの選択肢として考えられるようになったということです。そこで、このコラムでは、独学のメリット・デメリット、独学で学習する場合のポイント、独学に向いている人について考察していきます。

2.独学学習のメリット

ここでは、独学学習のメリットについて考えていきましょう

①費用があまりかからない
費用を安く済ませることができる。これが一番のメリットでしょう。市販のテキスト・問題集などを購入して学習を進めていけば、予備校に通うより安く済ませることができます。
司法書士試験の学習を始めてみようかなと迷っている人も、とりあえず最初に学習する科目である民法のテキストと過去問集を買ってきて始めてみるという方法であれば、初期費用も安く抑えられ、気楽に学習を始めることができますね。途中で学習を中止したときのリスクも最小限に抑えることができますから、やっぱり向いてないと考えて方針変更をするのも躊躇なく行うことができます。「費用を準備できない」「高額の費用を支払うにあたり、家族の了解を得られない」「気楽に始めたい」という方も、独学であれば、勉強を始めることができます。
予備校に高額の費用を払うには大きな決心が必要となってしまいます。ただ、それがデメリットかというとそうとばかりも言えず、その分、気合が入るので、予備校に通っている方のほうが挫折率は低い面はあるのは事実です。
②自分に合う勉強をすることができる
独学であれば、自分の好きなように学習をすることができます。あるテキストで学習していたけれど自分に合わないから、他のテキストに乗り換えるということも、独学であればすることができます。科目ごとにテキストを変えたり、記述の解法は違う先生の解法の本を読んだりといった自分オリジナルの学習をすることもできます。
いったん予備校に通ってしまうと、なかなか予備校を乗り換えることはできませんから、これは独学の大きなメリットといえるでしょう。なお、多くの予備校では、1人の講師が全科目を担当することが多いですが、これは、メリットも大きいです。すべての法律はつながっていますから、1人の講師が一貫指導をすることで、整合性をもって理解することができるようになります。だからこそ、予備校を使って学習をしようというときには、これから付き合うことになる講師をしっかり確認して慎重に選ぶ必要があるのです。
③自分のペースで学習を進めることができる
自分のペースで学習を進めることができるのも独学のメリットといえるでしょう。
たとえば、時間が取れる方は、どんどんインプットを進めていくことができます。予備校と違ってスケジュールが決まっていませんから、先へ先へと学習を進めることができるのです。それにより、インプット後の演習の時間をしっかり確保することができます。また、仕事・育児・介護など時間がとりにくい方は、2年間かけて勉強しようなど、ゆっくりマイペースで学習することもできます。
ペースを自由自在に変更することができることが独学の大きなメリットなのです。
また、司法書士試験は、仕事をしながら学習をしている兼業受験生の人が多いですが、仕事が忙しくなったり、急に予定が入ったりして、スケジュール調整が必要となることも多いでしょう。独学であれば、その調整も容易に行うことができます。「今日は残業だから、その分、次の日曜日に多めに学習しよう」などと自由にスケジュールの調整をすることができるのです。

3.独学学習のデメリット

司法書士試験の独学学習はメリットばかりではありません。デメリットもあります。独学で学習をする場合には、そのようなデメリットを常に意識しておく必要があります。ここでは、独学学習のデメリットについて考えていきましょう

①理解が難しい
独学で学習をするとなると、市販されている基本書を学習することになりますが、理解することが難しく進まないことがあります。初学者にとっては法律自体、抽象的でイメージを持つのが難しいからです。また、司法書士試験においては、不動産登記法・商業登記法・供託法など専門的・手続的な法律も多く学習しなければならず、さらにイメージを持つことが難しくなっています。
たとえば、不動産登記法においては、登記記録を読み取れるようにしなければなりません。予備校の講義であれば、講師が実際の登記記録などを示し、時間を共有しながら、その読み取りの方法を手取り足取り指導することになります。これに対して、独学ではテキストを読みながら1人で理解しなければならないのです。
独学においても、わかりやすい基本書を選ぶ、インターネットなどで司法書士の実務家の動画などを参考にするなどという方法で対処することができますが、時間がかかるうえ、限界があります。
②法改正・最新情報への対応が困難
司法書士試験で出題される法律は、毎年いくつもの改正があります。しかも、最近の試験では、法改正や最新情報がすぐに試験に出題されることも多くあります。
一度テキストを揃えても、その情報が古くなってしまうこともしばしばあるということです。さらに、市販の基本書の中には、法改正や最新情報に対応させずに、古い情報のままのものもあります。合格ラインに多くの受験生が密集し、0.5点の差で合否を分ける司法書士試験においては、これは致命傷になりかねません。
なお、予備校では、法改正や最新情報があれば、すぐに講義に反映します。常に最新情報が提供されるため、この点は安心です。
③スケジュール管理が難しい
独学のメリットとして、自分のペースで勉強できると言いましたが、逆を言えば、スケジュール管理が難しいということを意味します。
司法書士試験は11科目の法律を学習する必要があり、学習範囲が広範囲にわたっています。独学の場合、わからないところで立ち止まってしまい、気づいたら学習が大幅に遅れていた、学習を自分のペースで進めていたら、気づいたら本試験直前となっており、演習の時間が取れなかったなどということが多くあります。
予備校の場合には、長年の指導経験から、どの時期に何をやるべきかを把握して、それに従って最適なスケジュールを作成しているので、余計なことを考えず、そのスケジュールに乗ればよいことになります。
④モチベーションを保ちづらい
司法書士は、1年以上の長丁場の試験です。私は、よくマラソンに例えています。マラソンも1人で走るよりは、多くの人と走ったほうがペースを保ったり、良い記録が出たりするということを聞いたことがあります。 司法書士試験においても、独学では、1人で学習を進めなければなりません。他の受験生の様子もわからないので、これでよいのか不安となってしまうこともあります。また、モチベーションを保ちながら学習するのが難しいといえます。
予備校を利用する場合には、受験生の気持ちを分かっている講師が受験生に寄り添い、時には相談に乗ってくれて、先導・並走してくれます。学習の継続をしやすくペースよく学習を進めることができるのです。また、特に通学講座の場合には、周りに受験生がいるので、切磋琢磨しながら学習を進めることができます。また、難しくて不安となることがあっても、「周りの人も大変そうだな」と極度に不安に陥ることを防ぐこともできます。
⑤合格者が少ない
独学で合格することができるようになったとしても、やはり合格者のほとんどは予備校を利用しているのが現状です。合格できたとしても、上記のようなデメリットを乗り越えるのが困難であり、合格までに時間がかかってしまうことも多くみられます。
合格までに時間がかかってしまえば、費用が安く抑えられるというメリットも意味がなくなってしまいます。たとえ費用が掛かったとしても、短期に合格すれば、その分早くから司法書士として活躍することができるのですから。総合的に考えれば、予備校を利用することが費用的にデメリットであるとも一概には言えないことになります。

4.独学で司法書士試験に合格するためのポイント

司法書士試験に向けた学習を独学で行う場合のメリット・デメリットについて理解していただけたと思います。ここでは、独学で司法書士試験の合格を勝ち取るためのポイントをお話ししていきましょう。

①自分に合う教材を選ぶ
今は、たくさんの教材が市販されています。独学での合格が可能になったのはそのためです。その中から、自分の目で自分に合う教材を選びましょう。
評判が良くても、自分に合わなければ学習をペースよく進めることができなくなってしまいます。インターネットなどで受験生や合格者の評判を聞くことも容易になっていますが、自分の目でしっかり選ぶことが重要です。独学は、自分の好きな教材で学習することがメリットですから、そのメリットを活かすためにも、しっかり見て選択するようにしてください。
②最新情報・法改正にアンテナを張る
独学のデメリットでお話ししたように、学習中においても、最新情報・法改正が次々と出てきます。そのため、独学で学習する場合には、常に最新情報にアンテナを張っておく必要があります。最近は、予備校や講師も積極的に情報発信をしています。私もXを使って最新情報を提供するようにしています。そのような情報をしっかり拾っていく必要があります。独学を選択する場合には、この手間暇を覚悟して始める必要があるというわけです。
③スケジュールを立てる
独学の場合はスケジュールを自由に立てることがメリットでもあり、デメリットでもありました。そのため、独学で合格を勝ち取るためには、綿密にスケジュールを立て、それをしっかり守っていくことが必要になります。
ただ、どの科目にどれだけの時間がかかるかわからないので、予定を立てること自体が難しいのも事実です。その場合は、予備校の基礎講座の講義スケジュールを参考にするといいでしょう。
④記憶・演習の時間をしっかり確保する
独学の場合、基本書を進めることだけに集中しがちですが、記憶・演習もバランスよく組み込まなければなりません。基本書を読んで理解するだけでは、覚えること、問題を解くことができるようにならないのです。
要点を整理した本や、過去問集・問題集を使って、基本書で学習した範囲の記憶・問題演習を並行して行っていくようにしましょう。
⑤模試を受けよう
独学で学習をすすめていく場合、これでいいのだろうか、実力がついているのだろうかと不安になることがありますが、予備校の実施する模試を受験することをお勧めします。
模試を受験することで、今の自分に足りないものが明確になります。理解が足りないのか、知識が足りないのか、解法を身につけていないのかなどの弱点が明確となるのです。それが明確になれば、あとはそれを埋めるように学習を進めていけばよいのです。
また、本試験の雰囲気や出題形式などは実際に模試を受けてみないと体験できませんし、時間配分などの練習も模試を受験しないと身に付きません。本試験の雰囲気の中で実力を出せるようにしていくことも合格に必要なことなのです。
このことから、独学で学習する場合でも、予備校の実施する模試は必須といってよいでしょう。実際に独学で合格した方に話を聞くと、ほぼ全員が模試は受験したと答えてくれます。

5.独学に向いているのはどんな人か?

ここでは、どのような人が独学に向いているのか考えていきましょう

①スケジュールを守れる人
独学にはスケジュール管理が難しいということをお話ししました。独学が成功するか失敗するかは、まさにスケジュール管理にかかっているといっても過言ではありません。学習計画を立てることができ、かつ、その計画を実行する力ある人が独学に向いています。たとえば、小学生・中学生のときに通信添削教材を使用していた方もいると思いますが、そのような教材を毎回きちんと提出できたような方です。また、健康のために運動しようと決意したときに、計画を立て継続できるような方です。
②重要ポイントを見抜く力のある人
独学の場合、基本書から重要ポイントを自力で見抜いて覚えていかなければなりません。もちろん、最近の基本書はそのような点は工夫されており、重要ポイントが分かるようになっていますが、それをどの深さで覚えればよいのか、どのように理解すればよいのか、見抜くことができる方は独学に向いています。大学受験や他資格の試験の経験があり、試験に慣れている方はこの力を身に着けていることがあります。そのような方は、初めてみる分野でも、「こういうところはこんな問題が作られがちだな」「この数字は聞かれそうだな」と自分で判断することができるようになっていることがあるのです。
予備校を利用する場合、講師が「ここが重要ですよ」「こうやって覚えておいてください」「ここは見るだけでいいです」といちいちアドバイスをしてくれます。そのようなアドバイスがなくても、そのようなことを見抜くことができる方は、独学でも学習を進めることができるでしょう。

6.独学以外の方法にはどのような方法があるか?

独学に向いている方について説明をしました。ただ、実際には独学で合格する人が多くいるわけではありません。また、自分は独学に向いていないなと考えた人もいるでしょう。そこで、ここでは、独学以外の学習方法についてお話していきましょう
独学以外の方法としては、予備校を利用するという方法があります。ただ、予備校といっても、多種多様です。自分に合う予備校を利用する必要があります。

①通学講座
大手予備校には、教室で講師の生の講義を受講する通学講座があります。
通学講座のメリットは、スケジュール管理が容易であることです。毎回講義に出席して講義についていけば、自動的に計画的な学習をすることができます。
また、周りに他の受講生もおり、孤独感を抱かずに済みます。司法書士試験の学習を始めても、周りの人から理解されず、孤独を感じる方も多くいます。周りに同じ試験を目指している受験生がいるということは、教室に通うメリットとして想像以上に大きいものがあるのです。
さらに、講師に直接質問をすることができますから、疑問点をすぐに解消することができます。学習相談にも乗ってもらえますから、間違った方向に向かってしまうこともなくなります。
教室に通うのは大変ですが、通える範囲に通学講座がある場合には、受講を検討してみてもいいでしょう。
②通信講座
予備校では、通信講座も行っています。通信講座でも、質問制度が充実している予備校も多く、疑問点の解消をすることができ、スムーズな学習をすることができます。
また、通信講座は、通学講座と異なり、自分のペースで学習することができるメリットがあります。教室での講義と異なり、いつ講義をきくのかという制約がありませんから、自分の好きな時間帯、好きな曜日に講義を聴くことができるのです。その分、自分でスケジュール管理をしなければならない点に注意が必要です。ただ、独学の場合と異なり、講師がいつまでにこれをやってくださいなど適切な指示を出しますから、スケジュール管理の大変さは軽減されています。
さらに、通信講座であれば、自分の通える範囲の教室に限定されませんので、受講することができる講座の選択肢が増えます。多くの講座の中から相性の合う講座を選ぶことができるのです。教材や講師を比べて、しっかり自分にあう講座を選ぶようにしましょう。
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7.まとめ

この記事では、司法書士試験の独学についてお話してきました。独学で学習するのか、予備校を利用するのかの参考にしてください。自分にぴったりの方法が見つかれば、それが合格への近道です
LECでも、多くの種類の通学講座・通信講座を用意しています。最高の教材、最適なスケジュール、最大規模の答練・模試で最短合格を目指すことができます。自分に最適な講座を選んでご利用ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんが最適な学習方法に出会い、司法書士試験に合格できることを祈っています。

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この記事の監修者

森山 和正 LEC専任講師
森山 和正 LEC専任講師
早稲田大学法学部卒。大学3年生の11月に司法書士受験を思い立ち、LEC15ヵ月合格コースを受講し、8か月の学習で大学在学中に司法書士試験に合格。司法書士事務所・司法書士法人勤務を経て、2004年より受験指導を開始。科学的・合理的な学習法により多くの一発・短期合格者を輩出している。「ケータイ司法書士Ⅰ〜Ⅵ」「森山和正の司法書士Vマジック」(以上、三省堂)、「司法書士試験 暗記の力技100」「司法書士試験すぐに結果が出る勉強メソッド55(共著)」(中央経済社)をはじめ著書多数。「ケータイ司法書士」は累計23万部を突破し、受験生の必読書となっている。
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