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消防官になるには?採用試験の内容や必要なスキル、対策法を解説

更新日:2023年10月27日

消防官になるには?

災害や火災の現場、救急現場で働いている消防官になるためにはどうしたらよいのでしょうか?
みなさんが憧れる消防官は、自治体ごとに採用される地方公務員です。基本は市町村ごとに実施される採用試験に合格することが必要になりますが、消防行政も広域化が進んできているので、必ずしも一つの市町村のみが勤務地であるとは限りません。また仕事の内容から、一般的な事務職員として働く公務員とは異なる受験資格が設けられています。筆記試験に合格することはもちろん、体力や適性、強い使命感など、求められる力も多岐にわたります。いくつかの関門を経て、晴れて消防官として働くことができます。
それでは具体的に必要なことを見ていきましょう。

目次
消防官になるには?
1.消防官の採用試験を受ける
2.試験合格後、消防学校に入学
消防官採用試験の内容
筆記試験
面接と体力検査
消防士採用試験の受験資格と合格率
消防官になるために必要なスキル
その1:チームの一員として業務を遂行するための力
その2:過酷な現場で「命をあきらめない」ための知識・技術・体力
その3:常に冷静沈着に行動できる精神力"
消防官採用試験に合格するコツは?
試験内容を確認
教養択一試験を重点的に対策する
諦めない
消防官を目指すなら資格の予備校 LEC東京リーガルマインド
志望ごとの対策講座
充実した担任制度
まとめ

消防官になるには?

消防官になるためには、それぞれの市町村(広域の消防本部の場合もある)で実施されている採用試験を受験し、合格することが必要です。合格した後に、晴れて採用となりますが、いきなり現場に出るのではなく、消防官として働くための知識や技能、体力を身に付けるために消防学校にて教育を受けます。

1. 消防官の採用試験を受ける

消防官の採用試験はそれぞれの自治体ごとに実施されています。したがって、試験の内容や日程などは自治体ごとに異なっています。
基本的な採用試験の形式は、1次試験に筆記試験や適性試験、作文試験などが課せられ、1次試験に合格すると体力試験や面接試験が課せられるというものです。ご自身の志望する自治体では、どのような採用試験をいつ実施しているのかを確認してみましょう。
そして、一人でも多くの命を救いたい!という強い気持ちのある方は、日程が異なる自治体の試験を併願していきます。現在考えている志望先以外にも、いろいろ調べてみましょう。

2.試験合格後、消防学校に入学

消防官として採用されると、消防学校に入校し、消防学校の学生として寮生活を通じて、これから消防官として働いていくために必要となる規律や使命感、知識や技術などを身に付けていきます。法学の基礎や消防規定、防災、危険物、消防機械などの知識をはじめ、消火や救急といった実科もあります。筋力・体力トレーニングや消防官として必要な礼儀や節度、敬礼などの礼式も実科の内容になっています。
先輩たちの多くも、最初は不安に感じていたようですが、消防官になる!という同じ志をもった仲間として、すぐに打ち解けることができ、不安は解消できたと話しています。

消防官採用試験の内容

筆記試験

自治体ごとに筆記試験の内容が異なることがあるので、まずは、志望先の募集要項で出題科目等を確認しましょう。ご自身が受験する年度の募集要項が発表されていない場合には、過年度の募集要項が参考としてWEBアップされています。以下は、一般的な自治体の類型を紹介します。

教養試験

文章理解(国語や英文の読解)と数的処理(速さや確率の問題や位置関係、資料の読み取りなど)と選挙制度や国会や内閣、日銀の金融政策など、現代社会や公民で習った分野が社会科学として出題されます。また、人文科学(日本史、世界史、地理)、自然科学(生物、化学、物理)、社会事情・時事の出題もあります。文章理解や数的処理は比較的出題数が多いですが、そのほかの科目は2問から3問程度の出題になるので、たくさんの科目を勉強しなくてはなりません。

論作文

高齢化が進む中で消防がすべきことや、消防官としての決意を示すものなど、課題はいろいろですが、消防の仕事、使命を理解して、わかりやすい文章を記述することが必要です。

面接と体力検査

1次の筆記試験の合格すると、次は面接と体力検査です。

体力検査は消防官として働くにあたって必要となる基礎的な体力があるかどうかを検査します。握力や腕立て、シャトルランなど、今まで運動をしてきたみなさんでしたら、それほど苦労はしないでしょう。ただ、体力試験はあくまで一定の基準を満たせばよいので、体力試験でアドバンテージがとれるわけではありません。

面接試験は、個別の面接のほか、集団討論や集団面接を実施するところも増えてきています。その際には、消防官としての決意や適性が見られていますが、同時に、なぜその自治体で働きたいのか、という点についてもしっかりとした答えが求められています。
面接では、Aという質問に対してBと答えれば必ず合格する、という答えがあるわけではありません。自分の言葉で、奉仕者としての覚悟、命をつなぐという覚悟、それをお腹の底からしっかりと伝えることができるのか否かです。また、どのような現場でも動揺しない精神力なども面接時のみなさんの態度から見られています。何が必要なのかを理解して、しっかり対策をしていきましょう。

消防士採用試験の受験資格と合格率

消防官の採用試験を受けるには、それぞれ自治体が作成している募集要項で受験資格を確認しましょう。
例えば、2023年(令和5年)度の採用試験について、札幌市では、「大学を卒業又は令和6年3月までに卒業見込みの方で平成6年4月2日以降に生まれた方」を受験資格としていますが、東京消防庁のⅠ類消防官は、「1994年4月2日から2002年4月1日までに生まれた人」となっています。

2023年(令和5年)度 受験資格
札幌市(大学の部)
大学を卒業又は令和6年3月までに卒業見込みの方で平成6年4月2日以降に生まれた方
東京消防庁(Ⅰ類)
1994年4月2日から2002年4月1日までに生まれた人

★2024年(令和6年)度より東京消防庁消防官採用試験の受験年齢が変更されます。
東京消防庁消防官採用試験の試験変更について

合格率についても、令和4年(2022年)度の札幌市の消防吏員は6.3倍、東京消防庁Ⅰ類消防官は1回目が9.2倍、2回目が6.7倍となっています。

2022年(令和4年度) 実施状況
札幌市(大学の部)
  申込者 受験者 一次合格 二次受験 最終合格 倍率
消防吏員 207人 170人 84人 72人 27人 6.3倍
東京消防庁(Ⅰ類)
  応募者数 一次受験 一次合格 二次受験 最終合格 倍率
1回目 4,158人 3,356人 1,067人 916人 364人 9.2倍
2回目 2,326人 1,252人 379人 333人 187人 6.7倍

受験資格があるかどうかは、非常に大事なことですから、ご自身で必ず確認をしましょう。なお、調べるときには、「〇〇市 採用」「東京消防庁 採用」など、後ろに「採用」とつけることがポイントです。

消防官になるために必要なスキル

消防官となるためには、過酷な現場であっても決して命をあきらめず、組織の一員としてしっかりと責任を果たすなど、必要なスキルがあります。作文や面接時に、以下のスキルがあることをしっかりとアピールできるようにしましょう。

その1:チームの一員として業務を遂行するための力

消防の業務は常にチームで行われます。チームの中で一人ひとりが他のメンバーを信頼し、信頼されつつ、その責任を果たすことが求められます。何よりも一人でも多くの命を救うためには、「自分のため」ではなく「チーム(組織)のため」に働くことが必要です。また自分自身が信頼されるためには、知識や技術はもちろん、チームのメンバーを敬い、自らコミュニケーションをとる姿勢も大事ですね。さらに、ささいなことでも報告、連絡、相談を欠かさず、上司や先輩、同僚の指摘に対し自分の改善すべき点を改められる素直さも成長していくために必要なスキルです。

チームの一員として

その2:過酷な現場で「命をあきらめない」ための知識・技術・体力

あたり前のようですが、どんなに強い思いがあっても、それに伴う知識や技術、まして体力がなくては救える命も救えません。昨今、災害が多発していますが、そうした災害現場はもちろん、火災や救急の現場であっても、一つとして同じ現場はありません。どのような現場であっても、命をつなげるように、知識・技術・体力を日々、蓄えていくことが求められています。もちろん、直接的な知識・技術・体力は消防官となってから日々の訓練等で身に付けていくものですが、常に向上心をもって新たな知識や技術を吸収し、体力向上を図ってきたという姿勢は、面接時にも評価されるでしょう。

その3:常に冷静沈着に行動できる精神力

消防官として働く現場は、時として非常に過酷です。どのような現場であっても、「命をつなぐ」ためには、消防官として冷静沈着に現場の状況を判断し、行動できなくてはなりません。仮に、現場に駆けつけたときに動揺したとしても、すぐに気持ちを切り替え、落ち着いた行動ができるような精神力が必要です。落ち着いて行動することができるようになるには、幾多の努力の積み重ねが必要となるでしょう。緊張が強いられる場面で、みなさんがいかに自分の気持ちをコントロールして力を発揮することができてきたのか、ということも面接時にアピールできます。

消防官採用試験に合格するコツは?

試験内容を確認

消防官試験に合格するためには、自分自身が何をするべきなのか、どのようなことに時間を割くべきなのかを知ることが大切です。一生懸命勉強した科目が出題されなかった、というのでは、時間と労力がもったいないです。
実際、一部の自治体では筆記試験を取りやめているところもあります。また、先ほど紹介した筆記試験の科目のうち、人文科学や自然科学を出題しない自治体もあります。集団討論があるのか、ないのか、実際に「さあ、エントリーだ」という時になって募集要項を見て、びっくり、などということがないようにしたいですね。
確認すべきは、筆記試験の内容、二次試験の内容、の二つになります。その上で、ご自身の志望先に合わせた対策を効率よく行っていくことが合格するために必要です。

教養択一試験を重点的に対策する

みなさんが、どんなに強い気持ちをもっていて、消防官としての適性があったとしても、1次試験の筆記試験に合格しなければ、みなさんの良いところを知っていただけるチャンスはありません。これは本当にもったいないこと。したがって、まずは、教養択一試験の突破に向けて、重点的に対策をしていきましょう。特に出題数の多い数的処理の攻略が重要です。数的処理の問題は筋トレと同じです。繰り返し基本となる典型問題を解くことで、本番に同じような問題が出題された場合に正答できるのです。筋トレなしにいきなりヒットは打てません。コツコツと演習をしていきましょう。

諦めない

志望先の筆記試験の内容によっては、たくさんの勉強をしなくてはならず、最初は途方に暮れる人もいるかもしれません。一生懸命であればあるほど、勉強期間中は不安になるものです。しかし、みなさんには強い気持ちがありますよね?勉強が辛い、不安だ、と思った時には初心を思い出しましょう。また、そうした時には消防官となって働いている先輩職員からのコメントなどを見て、勇気をもらうと良いです。何よりも大事なのは、諦めない気持ちです。

消防官を目指すなら資格の予備校 LEC東京リーガルマインド

志望ごとの対策講座

消防官になるためには、志望に合わせた対策が必要です。もちろん、筆記試験の内容として共通しているものはありますが、東京消防庁では自然科学の出題が多い、自治体消防では社会事情が多いなどの傾向をしっかり把握して勉強を進められます。特に論作文は消防官と他の公務員試験では課題や書く内容も異なりますから、LECの消防官コースで筆記から面接まで、消防に合わせた対策をしていきましょう。講義は忙しい方でも好きな時間にWEBで視聴できます。

充実した担任制度

部活動が忙しい、働いているなど、それぞれの事情に合わせて優先順位やスケジュールを立てることが必要です。LECの担任制度はみなさん一人一人に寄り添ってサポートします。来校せずとも担任相談が電話やオンラインで受けられるのもLECならではです。

まとめ

消防官に憧れているけど、どのようになるのかわからなかった、という方の疑問を解消できたでしょうか?LECでは、無料公開講座なども実施しておりますし、LEC各本校窓口でも、いつでもみなさまからのご相談にのらせていただいています。お気軽にアクセスしてみてください。

森葉子LEC専任講師
監修者:森葉子LEC専任講師
LEC講師歴15年以上。
世界史を主に担当し論文・面接など公務員試験対策全般を指導している。
森葉子LEC専任講師

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