開発者の発明のサポートができる専門家として。
-龍華明裕- RYUKA国際特許事務所所長/弁理士/米国弁護士
弁理士を目指したきっかけ
特許事務所に勤める前、私はキヤノン株式会社で研究開発をしていました。キャノンは特許出願に積極的で、開発者が特許明細書をほぼ完成させます。しかし特許性や特許の価値が低ければ特許明細書は無駄になります。プロである弁理士にサポートをしてもらいながら発明を提案できれば、より効率良く適切な特許出願をできると思いました。弁理士に相談する機会が少なかったので、しっかり発明者をサポートできる弁理士になろうと思ったのがきっかけです。
弁理士を取得して良かったこと
RYUKA国際特許事務所エントランスにて
開発者は弁理士に発明について話すことを喜んでくれます。 製品は複雑な構成を有しているので、その中のどの構成によって発明の効果が得られているのかを、開発者も正しく理解できていない場合が多々あります。そこでヒアリングをすることでまず開発者の理解を整理していきます。
そして複雑な構成から選び抜いた単純な構成と、その効果との関係を発明として権利化します。ヒアリングによって開発者の理解が整理されるので開発も促進されます。また他の製品にも使うことのできる基本的な幅広い権利を得ることができます。
開発者との会話によって開発者に喜んでもらえる点が、弁理士の仕事の最も面白い点だと思います。
弁理士として大切なこと
Be Free for Creating Future Vision
大切なことはフェーズによって変わります。最初は自分で良い特許明細書を書けるようになること、次に後輩に良い特許明細書を書いてもらえるようにトレーニングすること、そして徐々に人数が多くなると、所員の意識を高めることが大切な仕事になりました。いずれのフェーズでも、品質が高い特許明細書を提供することを目標にしてきました。
採用においては、技術力や語学力などの基本的なスキルも大切ですが、むしろ「学ぶことに対する決意」を重視しています。この決意がないと成長し続けることができません。私も、弁理士としてスタートしたときも今も「学び続けること」を大切にしています。
所長として心掛けていること
「説明を諦めない」ことを大切にしています。例えば、好ましい特許明細書を書くためには、所員に特許明細書の書き方の意義を説明して同意を得る必要があります。「説明を諦めない」ことは難しいですが大切なことです。お客様に対しても、必要な事をきちんと説明して理解していただき、それによりお客様に正しい選択をしていただかなければ士業の仕事としては不十分です。
そのため所内ではディスカッションを大切にしています。良い点・悪い点を1つずつお互いが納得するまで説明することにより、相手の実務能力が向上するだけでなく、自分の説明スキルが向上するからです。これは仕事のクオリティの維持にもつながります。英語でも、米国弁護士や米国弁理士と積極的にディスカッションを行い「説明力」の向上を図っています。
どのような方が弁理士に向いていると思いますか?
特許出願では、発明や技術が好きであることが重要です。
また外国出願では、英語によるコミュニケーションが好きであること、特に英語による説明力を高めることに関心を有することが大切です。商標の場合は、色々な商品に関心があることが大切です。いずれの分野でも、好奇心が強く、新しいことを知ることに喜びを感じる方が向いています。
これから弁理士を目指す方へ
弁理士業界では競争が厳しくなると聞いていると思います。
しかしこれは比較の問題です。確かに過去と比較すると、これからは競争が厳しくなります。しかしどの業界にも競争は存在しており、多くの新興企業が潰れ一部の企業が成長するのはごく正常な事です。むしろ今まで、潰れる特許事務所が少なかったことが異常なのです。競争があることにより、お客様に満足をしていただけるように企業は努力を続けます。弁理士の業界は、他の業界と比較するとまだ甘いと思います。もっと競争が厳しくなることで正常な状態に近づくのだと思います。向上意欲が高く、生涯を通じて学び続ける意欲のある人にとって弁理士はとても魅力のある世界です。是非頑張ってください。