弁理士の拡がる未来
知的財産は日本経済再生の鍵を握る新たな産業です。
知的財産の活用は、21世紀のビジネスモデル
知的創造サイクル―― あまり聞き慣れない言葉かもしれません。しかし、この知的創造サイクルの活性化が日本経済再生のカギを握っています。日本は従来から品質管理によって商品の優位性を保っており、プロパテント政策が遅れていました。しかし、品質という点では、労働力が安価な韓国・中国でも同等のものが作れるようになっていることから、その優位性は失われています。そのため、品質だけでなくパテントで製品の優位性を確保する必要が生じてきました。
今後は、知的財産を創造し、これを権利として保護し、かつ十分に活用することで、さらなる創造へとつなげてゆく循環が重要となります。なぜなら、知的財産は商品の開発につながり、商品の開発は新規産業を生み出し、新たな雇用を創出するからです。
21世紀のビジネスモデルは知的財産を中心に回っていくのです。
知的創造サイクルの実現が経済再生のカギ
※参考:知的財産戦略会議「知的財産戦略大編」資料より
知的財産戦略においては、左図のような知的創造サイクルの構築と活性化が目指されています。
「知的創造サイクルの構築と活性化」とは、一言で言えば、知的財産を創造し、これを権利として保護し、かつ十分に活用することで、さらなる創造へとつなげてゆく循環のことです。
近年、日本企業の競争力低下の要因として、知的創造サイクルの機能不全が指摘されています。特許出願をしても権利取得までに相当の期間を要し、その結果、権利を取得した頃にはその技術が陳腐化するといった問題、あるいは権利を取得した技術を有効に活用するための技術の移転・流通システムが不十分で特許権等が十分に活用されていないといった問題があります。
このような諸問題を解決し、正常な循環機能を取り戻す事が「知的創造サイクルの構築と活性化」なのです。
弁理士への期待・高まる需要
このような知的創造サイクルの構築と活性化においては「弁理士」が大きな役割を担うことになります。
従来、弁理士は特許などの出願の代理を中心に知的財産の保護を担ってきました。つまり、権利取得の段階が弁理士業務の大部分を占めていたのです。しかし、今後は、知的財産全般に関する専門家として、各種のコンサルティングや企業の知財戦略の立案など、知的創造サイクルのすべての局面での活躍が求められています。出願代理人から知的財産権全般のスペシャリストへと、弁理士の役割は大きくリプレイスされつつあるのです。
プロパテント政策の先進国であるアメリカと比較した場合、我が国は圧倒的に知的財産権の専門家の数が不足していると言われています。知的財産立国の実現を果たすためには、弁理士の量的・質的拡大が急務なのです。政府の知的財産戦略大綱においても、弁理士の量的・質的拡大が、知的財産戦略の本質的な要素のひとつと捉えられています。