法律の勉強経験がない地方の初学者でも一発合格できました
山下 諒子さん
年齢 | 30歳 |
---|---|
受験回数 | 1回 |
職業 | 元特許事務アルバイト |
出身校 | 大阪大学外国語学部外国語学科 |
受講講座 | 1年合格ベーシックコース インプット+アウトプット一括 |
選択科目 | 受験した 民法 |
弁理士を目指した理由・きっかけ
前職で商業施設の開発をしており、ファッションブランドについて調べる機会が多くありました。その中でファッションの模倣問題が想像以上に大きいことに気づき、目に付くようになりました。
また、当時勤務していた総合職は多数の部署を経験し、幅広く業務を行うことができる人材を育成することが目的とされており、一つのことを長く続け、極める方が向いている私は専門職の方が良いのではないかという気持ちもありました。
そこで、文系がなることができる専門職を探していたときに、弁理士を偶然見つけ、この資格であればやりたいことも自分の適性も活かせるかもしれないと思い、弁理士を志すようになりました。
LECを選んだ理由
一番の理由は合格実績です。弁理士試験は難関試験であるという認識があり、法律の勉強経験もなければ知財業務に携わったこともなかったため、弁理士を目指すにあたり働いていた企業を思い切って退職しました。アルバイトをしながら勉強することとなるため、不安定な生活となりどうしても一回で合格したく、「一発合格者の5人に4人がLEC出身」であることを謳っているLECを選びました。
講座については、右も左も分からないような状態からのスタートであったため、勉強スケジュールを1日単位で組んで下さり、何をどう勉強すべきか教えてくださる納冨先生のベーシック講座を受講することにしました。
LECで受講した初学者向けコースとその担当講師について
1つめは、3回転学習法を採用している点です。すぐに細かい知識を入れるのではなく、まずは全体構造をつかみ、2週目・3週目で徐々に細かい知識のインプットに移っていけるため、今どこの場面の話をしているのか分からないという状態に陥らず、常に場面をイメージしながら学習することができました。このイメージができなければ、理解を深めることができなかったと思います。
2つめは、3回転学習法の2回目で論文に触れられた点です。内容は2回転目であるため本試のレベルと比較すると基礎的なものですが、何をどう書いたら良いか分からない状態から論文の型を身に付けるのに非常に役に立ちました。この型が身に付いていたからこそ、短答後論文までの期間の答練で難しい内容でも本試レベルの論文を書くことができるようになったのだと思います。
3点あります。
1点目は、過去問重視ではなく、条文ベースでの勉強である点です。もちろん過去問を解くことも力になると思います。しかし、今年の短答試験では条文のタイトルの記載がなく、条文番号のみ記載された問題があったり、口述試験では条文に忠実に答えるよう言われたり、試験官の先生方が条文を大切にしていることを推察できるような問題が多く出ました。納冨先生は条文ベースで勉強することを推奨されており、それに従っていたため、このような場合でも焦らずに対処することができたと思います。
2点目は、日々のスケジュールを組んで下さる点です。何をどうしたら良いか分からないところからのスタートでしたが、どのように勉強すれば良いか分からずに無駄な勉強をしてしまうという事態に陥らず、必要なことを効率よく勉強することができました。また、「条文を読み込む」ということが何をすることなのか最初はよく分かっていなかったのですが、納冨先生の講義で配られるNプロシートの通りに条文を読んでいくことでしっかりと必要な内容を頭に入れて、条文の読み込みができたと思います。
3点目は、欲しいときに欲しい言葉をかけてくださる点です。地方在住なこともあり、通信しか選択肢がなく、勉強していく過程では不安になることも多くありました。「これで良いのだろうか」と考えているときに、講義の中で納冨先生が指針を示してくださるような言葉をかけてくださることが多くあり、その度にこれで良いのかと安心したり、軌道修正をすることができたりしました。
LECで受講した答練・摸試について
- [受講答練・模試]論文公開模試 論文直前答練 論文合格答練 短答公開模試 短答プレ模試 短答実戦答練
-
論文については、私はベーシックコースに含まれていた後期分の論文直前答練、論文公開模試に加え、前期分も別途申し込みをし、受講・受験しました。自分の答案を添削してもらうことができ、他の受講生の優秀答案も配布される点が良かったです。模範解答・優秀答案と自分の答案を比較して自分には何が足りないのか、何を書けば点数がつくのかということを常に意識することができました。
また、LECが驚異の的中率と謳っていることもあり、この答練と模試で学習したことが本試に直結することも多々あります。短答試験終了後論文試験までの間に、この答練と模試については全文書きと答案構成あわせて全問題3周ずつは解いて本番に臨みました。
これらを復習することで自分に足りない部分を補い、論文を突破することができたと思います。
LECで受講したスポット講座について
- [受講講座]納冨美和の短答特訓ゼミ 納冨美和の論文最終ヤマ当て道場
-
短答特訓ゼミは、納冨先生が問題を出題し、ゼミの中で受講生が問題に答えるという形式で進められます。そのため、その一問一答の音声データを隙間時間に活用することができる点が良かったです。
私は通信での受講であったため直接講義で答えることはできませんでしたが、受講の際には家で口に出して答えるようにし、更に家事やお風呂の時間、家を出るまでの準備時間などにも音声を流し、何度も繰り返して問答を行っていました。一発合格を目指すため、特に直前期には下三法はできるだけ机に向かう時間を減らしたいと思っていたため、この音声データがとても役に立ちました。通学での受講程の緊張感は通信では味わうことはできないと思いますが、それでも緊張感を持って問答に臨み、それを繰り返すことで記憶の定着に繋がっていたと思います。
また、論文ヤマ当て講座は、研究に研究を重ねた先生によるヤマ当てであるため、信頼感を持って受講しました。論文直前の一週間をそのヤマ当て講座で指摘された部分のインプットに費やした結果、本試では特許・実用新案、意匠のヤマが当たり、確実に得点に繋がりました。
LECの教材や学習システムについて
短答アドヴァンステキストは試験に必要な知識が凝縮されているため、口述試験までずっと使用していました。特に重要な事項は四法対照条文に書き込み、何か分からないことが出てきたらまず短答アドヴァンステキストを確認するようにしていました。ある程度のことはそれで解決できていたと思います。
また、オンライン学習システムでは期間中何度も講義の動画を見ることができるため、分からない部分は何度も繰り返して見たり、隙間時間で勉強をしたりするのに役立ちました。特に短答基礎力完成講座は全条文について解説があるため、短答アドヴァンスとあわせて口述試験まで条文知識の確認に視聴しました。
短答式試験対策でやって良かったこと
納冨先生のNプロシートに従ってとにかく条文を読み込みました。四法対照条文を用いて、納冨先生が常に意識するよう仰っていた、何がどこに準用されているか、各法域でどう異なっているのか等を各法域横断的に確認しながらインプットしました。
本試前の二週間は、Nプロシートを見ながら全条文を読んだ上で不安なところには付箋を貼り、付箋部を再度Nプロシートと共に読み、不安が消えれば付箋を取るという作業を繰り返していました。最終的には本試の問題を見たときにどの条文について問われているかを頭の中で把握し、更にその条文が四法対照条文のどのあたり(左側のページの真ん中あたりにある〇条等)に位置していたかまで思い浮かぶようにはしていたため、条文について条文番号のみで出題された場合にも対応することができました。
過去問も解きはしましたが、4月以降に解いたのは短答試験2週間前に自分の現状把握のために解いた前年試験問題(令和5年短答試験問題)のみです。過去問と同じ問題は出題されることがほとんどないため、条文の読み込みを最優先にしていました。直前期に解いた問題も、問題自体の復習をするというよりは、苦手な部分の条文を確認するようにしました。
論文式試験対策でやって良かったこと
一つ目は、論文直前答練、論文公開模試です。短答試験後は時間がないため、先に論文用のインプットをしようとはせず、アウトプットから入りました。各問題3回ずつ(提出用に一度全文書き、解説講義後3日以内に答案構成、添削された後にそれを確認した上で全文書き若しくは答案構成)行い、何度も同じ間違いをしないようにしていました。
二つ目は、自己分析です。論文試験の2週間前くらいまでは、上記答練や上記模試の結果は散々で、20点〜40点ばかりをマークしており、たまに50点が出るくらいしか取ることができませんでした。何が問題かを分析した結果、私は短答試験でも上三法が8割を超えており、知識は足りているのですが、答案構成に時間がかかるため焦ってしまい、一つのことについて考慮に入れたら別のことを一つ忘れてしまい、結果論点がずれてしまったり、大きな配点のある部分を落としたりしてしまっていることに気づきました。そのため、解いたことがなかった過去問を使い、時間の短縮と取りこぼしがないかを意識しながら5年分の問題構成を3周ずつ行いました。それを行った結果、論文試験2週間前を過ぎてからは、答練や模試で安定して50点代を超えることができるようになりました。
三つ目は、一発合格を意識した短答知識のインプットです。短答試験終了後も、四法対照条文の読み込みを2周はしたと思います。
また、一発合格のために短答試験の勉強のときから論文試験を意識して勉強配分を考えていました。具体的には、短答試験2週間前に解いた令和5年度の問題では47点をマークすることができたのですが、下三法が9割、商標が足切り寸前という結果だったため、下三法は試験3日前まで机に向かうことを一切やめ、隙間時間を活用してゼミの音声データのみでの学習に切り替え、逆に商標にはかなり時間を割き条文を読み込みました。結果短答試験では下三法は7割、商標は満点をマークすることができ、論文試験でも商標が得点源となりました。
口述試験対策でやって良かったこと
口述試験は口頭で解答を求められる試験であるため、筆記式とは異なる力が必要となります。そのため、とにかくアウトプットの機会を設けたことが力になったと思います。
具体的には、①予備校・会派・事務所による口述模試及び練習会への参加(オンラインにて3つ受講)、②受験生仲間とのオンラインでの練習会、③アルバイト先の特許事務所の同僚の方に出題をしてもらうということを行っていました。
①については、大都市のみで行われるオフラインの模試や練習会には参加することができませんでしたが、オンラインで受けられるものは全て受講しました。また、宮口先生の電話で1on1を申し込み、自分に足りていない部分や口述試験で答えられなかった場合の対象法等をマンツーマンで教えていただき、非常に有意義で贅沢な時間でした。
②③については、論文試験合格までは、口述試験は90%以上の合格率であるため余裕だろうと勝手に考えていたのですが、実際に勉強をすると全く受かる自信が湧いてこなかったため、受験生仲間と話すことで精神的にも支えられましたし、アウトプットの機会も多く設けることができたことが力になりました。
また、インプットについては、過去問13年分に加え、LECの口述模試でいただいた予想問題集、模試・練習会でいただいた問題を四法対照と照らし合わせながらインプットを行っていました。今年は過去問にないテーマや、しばらく出題されていなかったテーマが出たのですが、LECの予想問題集や練習会で触れたテーマだったため、落ち着いて解答することができました。
口述試験直前期も、アウトプット・インプットあわせて短答・論文試験と同じくらいの勉強時間は確保していました。
学習時間を捻出するために工夫したこと
私はアルバイトで仕事は平日15時半までであったため、時間はかなり取りやすかったと思います。しかし、法律勉強未経験の地方在住初学者であり、要領が良いわけでもなく、そのようなハンデをカバーするためには人以上に勉強する必要があると思っていたため、家事やお風呂の時間、通勤時間、外出の準備時間等にゼミの音声データを聴くなど隙間時間をとにかく活用していました。
また、受験のプレッシャーで不眠気味な部分もありましたが、眠れないときは割り切って布団から出て勉強していました。具体的には3月4月は150時間以上、5月6月は200時間以上勉強時間を確保していました。
通学、または通信での受講を選択して良かった点や反省点
通信での受講しか選択肢がなく、続けられるか不安ではありましたが、自分の都合に合わせて視聴することができた点と、通学時間が省ける点は通信ならではのメリットだと感じました。但し、通信で一番恐ろしいのは受講をサボってしまい、ついていけなくなることだと感じていたため、予定等で遅れが生じた場合でも1週間以内に調整をすることだけは自分との約束として必ず守っていました。
今、合格して思うこと
目標として掲げていた一発合格を達成することができ、素直にうれしく思いますし、ここまで頑張れた自分にもよく頑張ったと言ってあげたいです。
しかし、ここまで頑張れたのは家族の多方面からの支え、アルバイト先だった特許事務所の皆さんのご協力、友人たちの配慮や励ましの言葉等、周囲の助けがあったからこそだと心の底から感じ、本当に感謝しています。自分だけでは乗り越えることができなかったと思います。
これから受講する皆さんへ何かお伝えすることができるとすれば、とにかくLECを信頼し、自分がついていくと決めた先生についていくのが合格の近道ではないかということです。もちろん自己分析をして自分に足りない部分を補う勉強は必要なのですが、ベースの部分については、弁理士試験について研究を重ねた先生方やLECの教える勉強方法・テキストを用いることが、自分であれこれ考えた勉強方法よりも圧倒的に効率的です。私は先生に「これはしてください」と言われたことは必ずする、「これはしないでください」と言われたことは必ずしないことを意識していました。これが合格のコツなのではないかと感じています。
最後になりましたが、最後まで合格に導いてくださった納冨先生、通信にもかかわらず気にかけてくださっていたLEC福岡校のスタッフの皆さま、本当にありがとうございました。