条文を「理解して暗記する」ことと、通学クラスが合格の決め手に
太山 建さん
年齢 | 26歳 |
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受験回数 | 1回 |
職業 | 企業知財部員 |
出身校 | 東京理科大学大学院 理工学研究科 電気工学専攻 |
受講講座 | 1年合格ベーシックコース インプット+アウトプット一括 |
選択科目 | 免除あり:大学院卒業 |
弁理士を目指した理由・きっかけ
私が弁理士を目指したきっかけは、知財業務の勉強のためです。私は新卒で企業知財に入りましたが、もともと理系大学院卒で法律知識が皆無でした。これではやっていけないと思い、勉強が必要だと感じたため、どうせやるならと弁理士試験を受けようと思いました。
LECを選んだ理由
LECを選んだ理由は、①直接講義を受けられること、②家から近く通いやすかったこと、③会社の同僚の方からの紹介があったことの3つです。以下に詳細に記載します。
①リモートの講義よりも決まったペースでカリキュラムが進み、質問がしやすい方がやる気が持続すると思ったので直接講義を受けることができるのは魅力でした。
②直接講義を受けるにあたり、家から通いやすい京都駅前校があったことも決めての一つでした。
③同僚が何人かLECで一発合格されており、実績面でも安心して選ぶことができました。
LECで受講した初学者向けコースとその担当講師について
1年合格を目指すにあたり、論文対策と短答対策が結びつくようなカリキュラムになっていることが良かったと思いました。具体的には論文対策が短答対策よりも後に来るカリキュラムだったことです。私が、独学で勉強するなら、1次試験である短答試験の対策から始めていたと思います。しかし、弁理士試験は論文試験が全体の理解が重要な初学者向きの内容で、短答試験が全体の理解を前提とした細かい暗記が求められる内容となっています。短答試験から始めた場合、各条文の全体構造や役割が理解できないまま細かい内容を詰めていくことになります。LECは論文対策から行うカリキュラムとなっているため、範囲全体を大雑把に学び、全体を把握してから細かい部分を学ぶという効率的な勉強を自然と促すようになっています。そのおかげで暗記要素が強めな短答対策をしていても「この条文はこういうシチュエーションで使うんだ」「この条文は別のこの条文を補うものなんだ」といったようにただの暗記ではなく理解しながら学習することができました。
また、この1年合格ベーシックコースに含まれる「短答アドヴァンステキスト」は短答対策としてとても有用なテキストでした。一つ一つの条文の解説、審査基準、関連する規則がまとめられているだけでなく、過去の短答試験で出題された問題も記載されているため、対策用の問題集としても使いやすくなっています。短答対策だけでなく論文試験で聞かれる内容についてもしっかりと抑えられいたところも非常に助かりました。カリキュラム、テキストの質ともに高く、まさに合格への近道というコースでした。
渡辺先生は法律を暗記ではなく理解しようということを常に意識した講義をされていました。私は暗記が得意ではないので、法律の勉強ができるか不安でしたが、渡辺先生か条文のロジックや成り立ちを説明してくれるため、自分でも驚くくらいスッと内容がインプットできました。私のように理系中心の勉強しかしてこなかった方にとってはとても相性の良い先生だと思います。
渡辺先生の講義の他と異なる点は、口述問題集のレベル2というテキストです。入門、論文、短答と講義が進んでいくのですが、どの講義でも1日1時間(20分×3)程度、口述の時間が入ります。2人1組になり、本番の口述試験のように互いにレベル2の問題を出し合います。入門講座から入った知財初心者の私には初めは内容がさっぱり理解できませんでしたが、渡辺先生も範囲を指定してくれるので「とりあえずレベル2のこの範囲だけでもしっかり勉強して、問題にばっちり答えよう」と、小さな目標を立てながら勉強することができました。レベル2の内容はまばらで網羅的に勉強できるものではないのですが、「とりあえずレベル2をやっておこう」、「やる気が出ないからレベル2をやろう」、のように手軽に勉強できる教材として非常にモチベーション維持に役立ちました。
また、渡辺先生はLECの閉まる夜8時まで嫌な顔せずに質問に付き合ってくれたりと非常に生徒の面倒見のいい先生で、生徒として非常に接しやすかったです。渡辺先生無くして一発合格はできなかったと思います。
LECで受講した答練・摸試について
- [受講答練・模試]論文公開模試 論文直前答練 論文合格答練 短答公開模試 短答実戦答練
- 個別にどの答練、模試が良かったという印象はないですが、全体として答練、模試の頻度が高く、習熟度を確認する機会が多かったのはとても助かりました。過去問だけでは、自分が過去問に慣れているのか、実力が上がっているのかわからないので、頻繁に開催していただけるのは良かったと思いました。
LECの教材や学習システムについて
LECの最も良かった点は教材だと思います。特に「短答アドヴァンステキスト」は非常に有用でした。一つ一つの条文の解説、審査基準、関連する規則がまとめられているだけでなく、過去の短答試験で出題された問題も記載されているため、対策用の問題集としても使いやすくなっています。短答対策だけでなく論文試験で聞かれる内容についてもしっかりと抑えられていたところも非常に助かりました。他の教材もそうですが、LECの教材はとにかく1つの教材にすっきりとまとめられていて、見やすいことが特徴だと思います。内容の記載が不足している部分もあるとは思いますが、一度全体像を理解するというカリキュラムとマッチしていると思いました。足りない事項があれば自分で調べて追記すればよいので、自分に使いやすい形にしやすいことも魅力だと思います。
弁理士試験は予備校の講義も多いですが、圧倒的に多いのは1人の学習時間になります。教材は最も長く付き合っていくものなので、それが優れているのは非常に魅力的だと思います。
短答式試験対策でやって良かったこと
短答試験対策で一番良かったことは、条文を最初から最後まで何度も読んだことです。短答基礎力完成講座を受け終わり、過去問の正答率も上がってきたので、短答試験は大丈夫かなと1月ごろはうっすら思っていました。しかし、短答実戦答練を受けると、半分程度しか点数が取れず、自分が想像以上に条文を理解していないことに気づきました。渡辺先生から「条文を読もう」と口酸っぱく言われていたことを思い出し、条文を読むことにしました。具体的には条文を最初から一言一句丁寧に読み、それぞれの言葉の意味を解釈しました。わからないところは、テキストや青本を確認し、「理解して暗記する」ことに努めました。過去問のように問題を解いて成長する感覚がないため、本当に意味があるのかは不安でした。しかし、とりあえず1週すると今までなんとなくでというていた問題が明確な根拠をもって解けるようになっており、「条文読んで良かった」と思いました。2、3週と重ねていくと問題がどんどん解きやすくなってきて、1週後の答練、模試は全て合格点を取ることができ、自信になりました。
LECのテキストは優秀ですが、過去問の傾向対策に重点を置いている部分も強いです。最近(R3〜R6)の試験の傾向としてマイナーな範囲を出すことも増えてきているので、条文を使って網羅的に勉強することも重要だったと振り返って思います。今思うと、LEC短答実戦答練は本番と比較しても難易度が高く、細かい問題が多かったです。そこで細かく条文を読むきっかけになったのが、短答突破につながりました。
論文式試験対策でやって良かったこと
論文対策は渡辺クラスの教材(レベル3)をメインに対策しました。この教材で論文試験で出題される判例やその規範は9割方学べたと思います。これについては、短答対策を始める前の論文講座で大体覚えていたので、短答合格後は過去問演習を繰り返しつつ、疲れたら暗記カードにまとめた青本の趣旨を覚えていました。
短答合格後は、短答試験対策で条文を理解したおかげで、解き方がわからないということがなくなっていたので、どのように短文でまとめられるかというところに重点をおいて対策しました。40日しか時間がないので、解く、反省をまとめる、同じミスを繰り返していたらチェックシートにまとめる、論文試験直前にチェックシートを確認する、という進め方をしました。直前に確認できるようにしたことで本番のミスを減らせたのかなと思います。
正直に言うと、論文個別のテクニック的な対策は論文対策講座の時点である程度できていたと感じています。知識的な部分が短答試験対策で埋まったことが一番大きかったと思います。
口述試験対策でやって良かったこと
口述対策では「口述アドヴァンス」「LEC想定問題集(口述模試で配布)」「TAC想定問題集(口述模試で配布)」を用いました。運よく口述試験に挑む知り合いがいたので、問題を出し合いながら練習することができました。
本番は若干マイナーな条文を聞かれましたが、短答対策で条文を読みまくっていたので何とかなりました。短答、論文対策でも書いたのですが、条文を読むのが最終合格への一番の近道だったと感じました。
学習時間を捻出するために工夫したこと
私の場合は睡眠時間を削りました。2月ごろからは平日は朝5時に起き2時間程度、夜は仕事終わりに3時間程度勉強していました。ただ、睡眠時間を削った代償か、試験直前に体調を若干崩しました。ちゃんと寝ておくべきだったと反省しています。
工夫という点では自分で条文を読んだ音声を録音し、通勤中に聞いていたこと、暗記カードを作ったことが良かったです。机に向かわなくてもよいため、隙間時間で勉強することができました。
通学、または通信での受講を選択して良かった点や反省点
私は通学で講義を受講しました。通学の場合、毎週決まった時間に講義を受けるため、モチベーションの維持が容易でした。
また、一緒に受験する生徒と議論したり質問したりしながら勉強できるため内容をスムーズに理解することができました。何より先生に直接質問したり、勉強方法の相談をすることができるのは通学の大きなメリットだと思います。
今、合格して思うこと
今は合格したこと、1年半辛い勉強に耐えきったことの達成感でいっぱいです。最初は気軽な気持ちで始めた試験だったのですが、勉強していくうちに半端なことはしたくない、絶対に1年で合格したい、という気持ちが強くなっていきました。試験直前はプレッシャーに押しつぶされそうなこともありましたが、最後まで頑張れたのは渡辺クラスで同じように弁理士を志す方々がいたからだと思います。苦しい時でも同じように誰かが頑張っていると思うと、自分も負けてられないと思えました。本当に渡辺クラスで良かったと思いました。合格したことに満足せず、日々勉強することを忘れない弁理士を目指したいと思います。
これから弁理士を目指す方もとても大変だと思います。とても苦しい試験です。しかし、同じように弁理士を目指す方がいれば、とても心強いということを知ってほしいです。LECの通学クラスはそういった方々と知り合えるのが何よりもいいところだと思います。