

子育てしながら一発合格!
須藤 恵さん
年齢 | 32歳 |
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受験回数 | 1回 |
職業 | 会社員 |
出身校 | 東京工業大学大学院 総合理工学研究科 物質電子化学専攻 |
受講講座 | スマート攻略コース インプット+アウトプット一括 |
選択科目 | 免除あり:理工Ⅲ(化学) |
弁理士を目指した理由・きっかけ
ひとつは、産休に入ったことをきっかけに、家族を守るためにどうするのがよいか、今後のキャリアを考えるようになったことです。子どもにとって自慢できる母親になるために自分には何ができるか考えた結果、弁理士試験の受験を決めました。
もう一つは、職場の弁理士の方々の背中を見て、私も社内外の方が安心して相談できるような知財の専門家になりたいと思ったことです。当時は研究職から知財部に異動して2年ほど経った頃でしたが、まだまだ知識が十分ではないことを課題に感じていました。弁理士になってより信頼して仕事を任せてもらえるようになりたい、と漠然と思うようになりました。
LECを選んだ理由
情報収集のためにX(Twitter)を見ていたところ、多くの弁理士受験生がLECを選んでいることに気づきました。同じ予備校の仲間が多いことは心強いと感じ、LECを選びました。
また、各予備校のHPや資料を見て、LECがとても実績があると感じたことも理由の一つです。
LECで受講した初学者向けコースとその担当講師について
スマート攻略コースの良かった点、一つ目は、講座の開始が早かった点です。個人的な理由ですが、受験を決めたのが2023年3月でした。そのタイミングで初学者向けのコースが既に始まっていたのがスマート攻略コースのみだったので、すぐに本格的な勉強に取り組めたことが良かったです。
二つ目は、1コマが短いことです。スマート攻略コースは講義の時間が1コマ60分なので、長時間の講義に苦手意識を持っていた私でも、無理なく学習を進めることができました。
三つ目は、通信専用の講座であることです。育児で忙しいため、通学は厳しい状況でした。そのため、通信専用の本コースを受講しました。一通り受けてみて思ったことは、スマート攻略コースは「通信じゃないとできない人向け」というネガティブなものではなく、むしろ「通信のメリットを活かした講座」であることです。通信専用の講座なので、通信用に収録された講義動画で先生とのマンツーマンのような感覚で講義を受けることができました。
馬場先生の良かった点は、何よりも「講義が面白すぎる」点です。毎回次の講義が楽しみになるレベルで面白いです。身振り手振りはもちろん、たとえ話などもわかりやすく、夢中になって聴いてしまいます。特に、学習のペースメーカーとなる月1回配信の「学習コンパス講座」での先生のフリートークが楽しみで仕方なかったです。
また、馬場先生の受験指導は「先生の指導に従っていれば、最短ルートで合格できる」と思うほどに最適化されています。そのくらい、先生の指導、教材は工夫が詰まっています。先生オリジナルテキストである「短答これ問」がとても良い教材で、これポン(短答の頻出論点)ごとに整理されており使いやすいので、ボロボロになるまで使い倒しました。
また、「年内までにこれポンを完璧にする」「四法対照に落とし込みをする」といった指導・ゴールが明確で、馬場先生と直接やり取りすることが難しい通信の受講生でも、合格のための学習の進め方が明確にわかるように工夫されている点がありがたかったです。
また、質問も大変丁寧に答えてくださいます。主にXやメールを使って質問させていただきました。通信でも質問の機会が与えられていることは大変ありがたいことで、むしろ質問したいときにできる点や質問の行列に並ばなくてよい点は「通学よりよいのでは?」と思うほどです。
LECで受講した答練・摸試について
- [受講答練・模試]論文直前答練 論文合格答練 短答公開模試 短答実戦答練
- 短答実戦答練は科目ごとに60問ずつの答練に加え、さらに本番と同じ形式の総合問題が2回とボリューム満点で、やりごたえがありました。理解できている部分とそうでない部分の色分けが十分にできたと思います。また、総合問題により本番さながらの形式に慣れることができました。
LECで受講したスポット講座について
- [受講講座]馬場信幸の短答これだけゼミ
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短答これだけゼミはZoomで受講しましたが、他の受験生と一緒に勉強している実感が得られ、「みんな頑張っているんだな」と思いながら勉強を進められました。特に、毎回「ゼミ通信」という学習報告や感想を紹介する時間があり、他の受講生も同じような悩みや不安を抱えながらも頑張っていることを知ることができ、とても勇気づけられました。
また、試験直前のペースメーカーとしても大変役立ちました。毎回100枝+帰れませんという問題を解く時間があり、必要な知識の確認や新作問題に対応する力をつけることができました。
LECの教材や学習システムについて
特教材については、上述の通り、馬場先生の「短答これ問」が素晴らしかったです。また、論文の過去問集である「論文過去ポン」も、答案構成を何周もするために使い倒しました。
講義音声のダウンロード機能も大変ありがたかったです。育児で手が空かないときに大活躍しました。授乳中、家事をしているとき、犬の散歩中など、いつでも講義を倍速で聞き返していました。
短答式試験対策でやって良かったこと
まずは頻出論点である「これポン」を完璧にすることです。年内にはこれポンとその理由付けを完璧にすることを最優先に取り組みました。条文を読み、四法対照法文集にこれポンとその理由付けを書いていく「落とし込み」により、知識の定着と情報の一元化を図りました。理解が不十分なところは、「四法パノラマテキスト」を確認し、理由付けなどを四法対照に書き込んでいきました。結局、これポンが完璧になったと感じたのは1月ごろでしたが、短答には間に合いました。なお、四法対照は短答だけでなく、論文・口述にも大変役立ちました。自分の四法対照は繰り返し読みすぎて、最終的には開かなくても頭の中でなんとなく読めるくらいになっていた気がします。
「レア問」については、これポンが概ね理解できていた(と思い込んでいた)秋ごろに取り組んでみましたが、これは正直無駄でした。これポンをしっかり潰せていれば、おのずとレア問もできるようになるので、まずはこれポンを完璧にすることが最重要です。レア問は先生のおっしゃる通り、年明けからで十分でした。レア問や体系別過去問集は1月から取り組み、短答当日までには完璧にしていました。講義のながら聞きで一番聞いたのは、11月から開講していた短答ポイント攻略講座です。とてもコンパクトな講座にもかかわらず、短答の論点がすべて網羅できるため、知識の総まとめの講座として有効でした。この講座は何周したかわからないくらい聞いています。「次に先生が言いそうなこと」を考えながら聞くことで、知識を定着させていきました。
また、下三法については先生の指示に従い、2月から講座を見始めました。「本当に2月からで間に合うのかな」「間に合うのなんて一部の天才だけでは?」という不安がありましたが、とにかく先生を信じてみようと思いました。結果、四法が概ね頭に入っているので、その知識を有効活用しながら学習でき、短答に十分間に合いました。学習方法としては、直観と異なる点などを落とし込みしたり、これ問や体系別過去問集を解いたりしていました。また、先生から頂けるPCTのフロー図については、2月以前に暗記していました。
論文式試験対策でやって良かったこと
秋ごろに「マッチング」という、問題文と答案を読み比べて問題文の言葉や条文の言葉を色分けしていく作業を過去問1周分終わらせました。問題文にあるトリガーと、それに対応する答案のブロックを紐づけることで、論文の答案の構成とその作り方がわかっていきました。
マッチングが終わってからは、時間が取れる限り、論文過去ポンを使って過去問の答案構成に取り組みました。また、1月ごろまでは、論文これ問というブロック学習用教材をスマホに入れてスキマ時間に読んだり、子どもに読み聞かせたりして、論じ方や判例などの理解に努めました。何回も読むと、よくわかっていなかった判例なども怖くなくなり、むしろ試験に出てくれないかなと思うほどになりました。論文試験への心理的ハードルを下げるのに大いに役立ちました。
短答突破後の5〜6月は、ひたすら過去問の答案構成(通称、地獄の論文マラソン)をやりました。これが明らかに合格に直結していたことは間違いありません。極限まで無駄な時間を減らし答案構成を繰り返すために、通勤にはグリーン車を利用しました。結果、過去問3周分くらいは答案構成ができたかと思います。これにより、答案に必要な項目と記載量のバランスを身につけることができました。また、自分なりの時間配分やマーカーの使い方を試行錯誤でき、本番の新作問題にも対応しやすくなりました。
なお、無理にやらなくてよかったと思うことは、趣旨の暗記です。数が膨大で、全部覚えるのは不可能、コスパが悪すぎると判断しました。過去問で出題されたことのあるものの周辺で基本的なもの、覚えやすいものを優先的に覚えるだけに留めました。本番では、商標で補正の趣旨を問う問題が出ましたが、知らなかったので、とりあえず訂正の趣旨を少し変えたものを書きました。結局商標は65点だったので、趣旨を知らなくてもあまり影響がなかったです。
口述試験対策でやって良かったこと
8月に口述の勉強に着手し、過去問集である「口述アドヴァンステキスト」を完璧にすることを目標にしました。私は論文の結果に自信がなかったので、口述の勉強に身が入らないことが多かったのですが、今思うと、論文が終わって少し休んだらしっかり進めておくべきだったと感じます。
また、子どもが寝たあとに夫に出題してもらったり、SNSで知り合った受験生の仲間たちとDiscordという通話アプリで練習会を開催したりして、「声に出して回答すること」に慣れるための練習を続けました。また、馬場先生に誘っていただき、馬場先生のゼミ生に混ざって口述の練習会に参加させていただいたことも大変ありがたかったです。
論文の合格発表後は、現地での口述模試や会派の練習会に参加し、実際の試験員とのやりとりに慣れることを重視しました。オンラインの練習会も引き続き参加し、練習会の問題や予想問題集などを使って、ひたすら声に出して回答する練習をしました。
また、趣旨の勉強では論文これ問を使うことも有効でした。口述を受験できるレベルまで行くと、論文勉強中には諦めていた趣旨も案外覚えやすくなっています。わからない趣旨は論文これ問の索引を見て確認するようにしました。
学習時間を捻出するために工夫したこと
とにかくスキマ時間を有効活用することです。スマホにテキストや問題を入れてすぐに参照できるようにしたり、忘れやすいことを書いた紙を家中の壁に貼って、歯磨き中や授乳中、家を出る瞬間に繰り返し見たりしました。復職後も、お昼ご飯を食べながら講義を聴き、さっさと食べて勉強するなど、仕事と育児以外の時間を極限まで減らし、受かりたい一心で勉強に全振りしました。
また、工夫ではないですが、子どもが泣き止まないときは抱っこして泣き止ませながらも机に向かい、タブレットで講義を聞いたり、過去問に取り組んだりといった力業も使いました。夫に協力してもらえたことも大きいです。何時間か子どもを連れて遊びに行ってくれている間にガッツリ集中して勉強しました。
また、育児に少しずつ慣れてきたころは、夜間の授乳も夫にお願いし、私はしっかり睡眠をとって産後の身体を回復させつつ、勉強中眠くならないようにしました。家族の協力がなければ、合格できなかったと思います。
通学、または通信での受講を選択して良かった点や反省点
何よりも好きなタイミングで講義を聴けたことがよかったです。初めての育児で、想定外のことが何度も起こるので、事前に予定を決めてその通りに勉強するのは無理でした。時間の融通が利かせやすい通信での受講が私にはぴったりでした。
反省点としては、とにかく先生の言うとおりにやるべきだったことです。概ね先生の指導通りに進めましたが、上述したようにレア問を焦って早く進めてしまった時間が無駄でした。とにかく先生を信じることが合格への近道です。
今、合格して思うこと
合格までにくじけそうになった瞬間が3回ありました。1回目は1月ごろ、終わりが見えない中で勉強と育児のみをひたすら続ける日々に心が折れそうになったとき。2回目は短答直前の4月、復職や保育園入園が重なった結果、多忙で1か月ほど体調を崩し勉強ができなくなったとき。3回目は論文直前の6月、夫が1週間ほど体調を崩してしまい、その間ワンオペで育児しつつ、地獄の論文マラソンもこなさなければならなかったときです。
こういった中でも私が立ち上がれたのは、その時々で「家族のために頑張りたい」「弁理士になって家族を支えたい」という勉強を始めたきっかけに立ち返り、やる気を奮い立たせたからです。これから受験されるみなさんも、私のようにくじけそうになったら、「なぜ勉強を頑張っているのか」「なぜ弁理士になりたいか」を思い出してみてください。そうすればきっと、どんなに苦しくても、何度でも立ち上がれると思います。