「迷わず」LECで一発合格
安達 琢真さん
年齢 | 33歳 |
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受験回数 | 1回 |
職業 | 会社員 |
出身校 | 大阪大学大学院 理学研究科 高分子科学専攻博士後期課程修了 |
受講講座 | 1年合格ベーシックコース インプット+アウトプット一括 Lゼミ |
選択科目 | 免除あり:博士 |
弁理士を目指した理由・きっかけ
私は、2024年の弁理士試験に合格すると決めました。2022年10月のことです。
2019年に博士号を取得後、企業で研究職を務めていましたが、2022年10月に知財部に異動になりました。この時点では知財の知識や経験はほとんどなく、業務に必要な知識を体系的に学ぶための手段として、2024年の弁理士試験に合格すると決めました。基礎的な知識を早く習得したかったので、一発合格を目標にしました。一発合格するためには、途中で迷ったり、遠回りをしたりする余裕はありません。これがタイトルの「迷わず」に込めた1つ目の意味です。一発合格を実現できたのは、LECの「1年合格ベーシックコース」のおかげでした。弁理士試験合格のためには「迷わず」LECを選ぶべきだと考えており、これがタイトルの「迷わず」に込めた2つ目の意味です。以降、詳細に説明します。
LECを選んだ理由
私は、他の資格予備校も検討した上で、最終的に「迷わず」LECを選びました。
LECを選んだ理由は、合格実績です。「初回合格者の5人に4人がLEC初学者向けコース出身」という広告を目にしたとき、弁理士試験合格のための最適な方法は、LECの「1年合格ベーシックコース」を受講することだと直感しました。資格予備校の選定において、重視したのは、合格という結果です。結果をもたらすのは確かな実績です。そのため、費用などの細かい条件は重視せず、迷うことなくLECを選びました。
LECで受講した初学者向けコースとその担当講師について
以下の3点が挙げられます。
①前年の「入門講座」の一部を無料でWeb視聴できる「先取りWeb受講」は、非常に有効でした。2023年4月の講座開始前に各法域をおおまかに把握することができたおかげで、「入門講座」での学習をスムーズに開始できたと思います。これは、迷わずに早期に申し込みをすることの利点といえます。
②「1年合格ベーシックコース」は、「入門講座」、「論文基礎力完成講座」、「短答基礎力完成講座」の順で、各法域を3回学習する設計になっています。私は、一発合格の最大の難所は、論文試験であったと考えており、「論文基礎力完成講座」およびその答練編を通じて、論文の書き方および勉強法の基礎を早期に固められたことが一発合格の大きな要因だったと考えています。
③「論文基礎力完成講座」の答練編で初めて書いた答案が職務発明に関するものでした。2024年の論文試験の最初の問題も職務発明に関するものでした。「論文基礎力完成講座」は、基礎を固めることを主眼にしているものと思いますが、その内容は基礎的でありながら本試験にも十分通用するものであるといえます。
江口先生は、効率的な勉強方法を教えてくださるだけでなく、「避けるべき勉強方法」についても繰り返し注意してくださいました。このおかげで迷うことなく、効率的に勉強を進めることができました。一例として江口先生から学んだ短答対策の要点を以下に記載します。
①短答対策では、各法域の各テーマを「理解、記憶、表現」の3段階で確実に得点ができるレベル (=到達点) まで習得することが重要です。具体的には、条文の趣旨、要件および効果を「理解」し、それを「記憶」した上で正しく「表現」できるか、すなわち、正解枝を条文上の根拠とともに選択できるかを過去問で「確認」する流れを徹底することです。
②短答の過去問は、各法域のすべての講義が終わった後にまとめて解くのではなく、各テーマの講義が完了するごとにそのテーマの過去問を解くことが推奨されます。短答の出題範囲は、ボリュームが膨大なので、後回しにしないことが重要です。また、理解の精度が要求されるので、1つずつ確実に終わらせていくことが重要です。
LECで受講した学習経験者向けコース・講座とその担当講師について
「Lゼミ」がなければ一発合格は難しかったと考えています。
一発合格の最大の難所は、論文試験だったと考えています。短答試験が終わるまでは、短答対策に専念し、短答試験後の約40日間のみで論文試験を突破するという策も考えられます。しかし、論文の書き方および論文試験で求められる知識量を、この短期間で初学者である私が合格レベルまで高めるのは確実性が低いと考えました。そうすると、短答対策と論文対策を並行して進める必要が生じますが、短答対策と論文対策の両立が求められるため、短答・論文共倒れのリスクが伴います。私は、このリスクを取りました。
理由は2つあります。
①「論文基礎力完成講座」における江口先生のご指導のおかげで、「規範、あてはめ、結論」という法律論文の基本的な書き方および勉強法の基礎を既に習得しており、「Lゼミ」という学習経験者向けの論文対策講座で、さらに実力を高められると判断したから。
②「Lゼミ」で重要条文の要件および効果を、正確かつ迅速に書けるレベルまでインプットすることは、論文対策だけでなく、同時に短答試験の合格確率を高めことにも役立つと考えたから。こうした当時の私なりの勝算を現実のものにしてくれたのがLゼミ江口クラスでした。
論文試験は相対評価であるため、多くの受験生が正確に書いてくる論点を正確に書くことが重要です。難問を解く必要はありません。「Lゼミ」では、1人の講師による一貫した採点を受けながら、各法域の重要論点を網羅することができます。特に、Lゼミ江口クラスの場合、江口先生の緻密な採点表によるフィードバックが受けられるので、対策すべき事項を正確に把握し、効果的に実力を高めていくことができます。
振り返ってみると、2024年5月までの「Lゼミ」で論文対策はほぼ完結しており、短答試験後の約40日間は、それまでの学習内容を復習し、仕上げる期間だったと思います。
「Lゼミ」で江口先生から学んだ論文対策の要点は、以下の2点です。
①「基本説明パターン」を一瞬で書けるように準備しておくことです。論文試験には繰り返し出題されている論点があります。毎年、問題こそ異なりますが、書くべき内容の骨格は、大きく変わりません。また、特に特許法は、時間との勝負になるため、「基本説明パターン」をただ読むのではなく、書き込むにより体得することが重要です。
②「規範、あてはめ、結論」という法律論文の基本構造を徹底することです。何を書くかも重要ですが、どのように書くかによっても点数が変わってきます。論文試験は、相対評価であり、採点基準も公表されていないため、自分の論文の書き方および勉強法が正しいのか迷いが生じやすいと考えます。しかし、私は、LECと江口先生の長年の論文指導実績を信じ、途中で迷うことなく、上記の論文対策の要点を徹底しました。この迷いのなさが以下の論文試験の結果につながったと確信しています。
特実:127点、意匠:64点、商標:67点、得点の平均:64.5点
LECで受講した答練・摸試について
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以下の3点が挙げられます。
①各法域の理解度を定期的かつ定量的にチェックできるため、弱点の把握や論文対策と短答対策の時間配分の検討材料として有効です。反面、思うような点数が取れなった場合など、自分の勉強法が正しいのか迷いが生じやすい時期であると思います。私自身、答練で思うような点数が取れず、この時期が一番苦しい時期でした。参考になればと思い、私の答練および模試の点数を以下に記載します。
短答実戦答練 総合①:34点、短答実戦答練 総合②:44点
短答公開模試①:33点、短答公開模試②:39点
②LECの答練は、業界最大規模であり、本試験の受験者に近い集団であるといえます。論文試験が相対評価であることを考えると、こうした集団の中で自分の相対的な位置を把握できる点は大きな利点です。
③論文試験の受験生の多くがLECの答練などを受験しているため、ここで出題された論点が本試験で出題された場合、受験者全体の正解率が高くなると考えられます。相対評価である論文試験において、多くの受験生が正確に書いてくる論点を落としてしまうのはリスクが高いといえます。このようなリスクを回避できる点がLECの答練や模試の最大の利点であると考えます。
LECで受講したスポット講座について
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以下の2点が挙げられます。
①条約のうち、特にPCTは特に細かい内容が出題されます。「1年合格ベーシックコース」は、体系的な学習に優れていますが、細かい部分まですべてを消化しきることには限界があります。その点を補える点が条約系の道場の利点です。
②論文試験において、試験直前に書き込みをした論点が出題されると、スムーズに解答でき、非常に有利です。ヤマ当て系の道場は、講師の先生の長年の経験や実績に基づいて出題予想がされます。2024年の論文試験では、道場で扱った論点がいくつも出題され、その的中率の高さに驚くとともに、本番での安心感と得点につながったと思います。
LECの教材や学習システムについて
以下の3点が挙げられます。
①私は、通学で受講しました。毎週決まった時間に決まった場所に通学することは、生活習慣に勉強のリズムを組み込むことに役立ちます。
②講義の録画を後で見返すことができるシステムは、非常に便利でした。講義の数日後には視聴可能になる点、再生速度を変更できる点およびスマホアプリを使ってどこでも簡単に視聴できる点は、復習や通勤時間の活用に役立ちました。
③LECの教材はもとより、講師の先生のオリジナルの教材がどれも非常に優れています。これらの教材には、長年の指導実績から得られたエッセンスが詰まっており、ぜひ活用すべきです。
短答式試験対策でやって良かったこと
以下の3点が挙げられます。
①情報の一元化
短答試験の出題範囲の膨大なボリュームを短期間に仕上げるためには「情報の一元化」が重要です。この点、江口先生のオリジナルレジュメには、条文、青本および主要判例などに散らばりがちな情報が一元化されているため、必要な情報を探す手間が省け、知識の習得のみに集中することができます。私は、短答の過去問を解く過程で気づいた不理解事項などを江口先生のLゼミのオリジナルレジュメである「パーツブック」に集約しました。このようにすることで、自分の理解/不理解事項の管理が容易になり、最も学習効果の出る事項、すなわち不理解事項のみにリソースを集中し、勉強の時間対効果を最大化することができました。
②精度の追求
短答対策は、とにかく条文理解の精度が重要です。理系科目の勉強では、内容を7割理解できれば7割程度の得点が期待できます。しかし、法律の勉強では、各条文を7割しか理解していないと、1点も得点できない可能性が高いです。そのため、各条文の要件および効果を10割の精度で理解することが重要です。
③効率の追求
短答試験の合格点を獲得するためには、正解率が50%〜60%の問題をすべて正解すれば十分です。足切りを回避するという観点では、7法域をバランスよく、効率的に勉強することこそが重要であり、難問を解く必要はありません。あまり細かいところまで手を広げすぎず、出題頻度が高いテーマから順に1つずつ、確実に終わらせていくことが重要です。過去問を解く際には、条文上の根拠に基づいて正解できたものは青色で塗り、不必要に繰り返し解くことを避けました。習得済みの事項に時間を費やす無駄を排除するためです。
正しい方法を地道にコツコツ継続できれば、あとは時間の問題になってきます。無駄を徹底排除し、効果の出るところに時間と労力を集中投下したことがやってよかったことです。勉強量で解決できる問題は、勉強量で解決すればよいです。重要なのは、スマートさではなく、最終的に結果を出すことだからです。「1年合格ベーシックコース」の江口先生の講義のおかげで、短答試験で以下の点数を取ることができました。
特実:13点、意匠:7点、商標:9点、条約:6点、著不:9点、合計:44点
論文式試験対策でやって良かったこと
以下の4点が挙げられます。
①私は、理系であり、法律論文の書き方以前に勉強の方法を知らなかったため、いわば「前処理」として勉強法を勉強したことが有効でした。具体的には以下の2点です。
・「1年合格ベーシックコース」の講義が始まる2023年4月以前に弁理士試験や論文試験の勉強法に関する書籍を片っ端から読んだ点
・「Lゼミ」の開始前に「論文基礎力完成講座」で論文の勉強法及び書き方の基礎を習得した点
これらの「前処理」を経て「Lゼミ」の受講および「基本説明パターン」の書き込みをしたことが論文試験合格に大きく貢献したと考えます。
②論文対策においては、自分の答案が最も重要な教材です。Lゼミ江口クラスでは、出題論点を事前に知らせてもらえるので、平日の間に「基本説明パターン」を書き込んで、確実に書ける状態まで仕上げます。週末の「Lゼミ」では実際に問題を解きますが、平日に準備したにもかかわらず、上手く書けない箇所が出てきます。このように対策すべき事項は、自分の答案に表れてきます。江口先生のコメントを参考にしながら「Lゼミ」後に再度問題を解き、全文を書きました。つまり、最低3回は「基本説明パターン」を書くことになります。書き込みは論文試験合格に不可欠であり、やってよかったと思います。実際、論文試験当日に書いた答案の多くの部分を「基本説明パターン」が占めており、これを一瞬で書けるように準備しておいたおかげで、その場で考えるべき事項に集中できました。
③論文試験では条文を参照することができます。本番で迅速に目的の条文を探すため、前年の論文試験で配布された条文集を入手し、これを用いて勉強することを勧めます。レイアウトが異なると、それだけで条文を探すのが難しくなるので、試験本番で戸惑うことがないように本番と同じ条文集に慣れておいたことは有効でした。
④細かい点ですが、試験当日の机が狭く、問題冊子、答案用紙および条文を広げると結構窮屈でした。このようなことも想定し、可能ならば情報を得ておくことが望ましいです。試験当日は、どんな環境でも準備してきた実力を発揮できるよう、想定外のことで焦らないような心構えが重要です。
口述試験対策でやって良かったこと
以下の3点が挙げられます。
①口述試験対策に早期に着手することが重要です。私は、論文試験後、論文合格発表前の時期に勉強の習慣を維持することが困難でした。この時期にいわば外部からの強制力として「口述対策講座[傾向と対策編]」を受講したことは有効でした。
②口述試験では、時間内にすべての問題に正解することが必要です。時間制限を考慮すると、コンパクトに解答できる準備が重要です。また、沈黙してしまうことが最も危険なので、何を聞かれても何かしらの解答ができるように準備しておくべきです。これらのためには、条文や青本、レジュメなどからキーワードを拾っておくことが有効です。ボキャブラリーが多いと有利です。
③短答試験や論文試験と共通する点として、口述試験でも条文上の根拠に基づいて解答することが求められます。2024年の口述試験では、条文上の根拠が繰り返し問われました。時間制限を考慮すると、できるだけ条文を見ずに解答することが望ましいですが、少なくとも速やかに条文を引けるように準備しておいたことが役立ちました。
学習時間を捻出するために工夫したこと
「確固たる意志」を持つべきです。弁理士試験は、働きながら受験することが一般的ですが、「仕事があるから」という言い訳は通用しません。弁理士試験の合格率は、6%であり、仮に落ちた場合の言い訳を作ることは簡単です。しかし、私は、仕事や試験の難易度に逃げることなく、2100時間の勉強をやり切りました(LECの講義・答練など込み。勉強法の勉強は除く)。これができたのは、冒頭に書いたとおり、2024年の弁理士試験に合格すると決め、途中で迷わず、確固たる意志を持ち続けたからです。
時間対効果を最大化するために、まず勉強法を勉強しました。「1年合格ベーシックコース」の講義が始まる2023年4月以前にLECの合格体験記の冊子を入手し、一発合格者と長期合格者の思考および行動を比較し、早期合格の要因を分析しました。その分析から、早期合格者に共通する要因として、むやみに学習範囲を広げない合理的思考および講師の指示に素直に従う行動を抽出しました。私は、この思考および行動を実践することで、限られた学習時間から得られる効果を最大化しました。
通学、または通信での受講を選択して良かった点や反省点
通学での受講には、3つの利点があります。
①短答試験は3時間半、論文試験は計5時間の長丁場です。長時間、集中力を維持するためのトレーニングとして、他人の目がある通学で受講することは有効だと考えます。実際、答練や模試をより本試験に近い状況である通学で受講することが、試験当日に周囲の環境に惑わされることなく、実力を発揮することに役立ったと考えます。
②長い受験期間の途中で、ときには挫けそうになるときがありますが、通学クラスの利点はそこにあります。特に、1日に3時間の講義を3コマ受講するのは疲れますが、江口先生は喋り続けており、もっと疲れるはずです。江口先生からエネルギーをもらえる点が通学クラスの利点です。
③江口先生は、余談として実務の話題に言及されることがあり、これが非常に興味深く、知的財産法の世界に対する好奇心を刺激されました。知的財産法の面白さを知ったからこそ約1年半、2100時間の勉強をやり切れたのだと思います。
今、合格して思うこと
冒頭で「私は、2024年の弁理士試験に合格すると決めました」と書きました。先に決め、後で迷わない覚悟の大切さを伝えたかったからです。この覚悟は、知的財産法という未知の道を歩むうえでのコンパスとなりました。勉強を通して得た知識は、頼りになる地図となりました。江口先生のご指導は、迷わず効率的に進むための道しるべそのものであり、このおかげで一発合格というゴールに到達できました。これからは、このゴールが新たなスタートラインになります。江口先生をはじめ、支えてくださった皆様に改めて感謝申し上げます。
振り返ってみると、偶然訪れた知財部への異動をきっかけに弁理士試験に挑戦し、それを乗り越えたことで、それ以前には想像もしなかった経験と成長を得ることができました。難しそうとか、面白くなさそうと決めつけずにまずは始めてみることで、やがて興味が湧き、知識がつき、自信にもつながるということを実感しました。今、合格して思うことは、自分の興味の枠にとらわれることなく、挑戦してみることで視野を広げることの重要性です。
あなたもLECの「1年合格ベーシックコース」で知的財産法の世界に一歩を踏み出してみませんか。