佐藤先生、広瀬先生、幸谷先生のおかげです
M・Uさん
年齢 | 31歳 |
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受験回数 | 2回 |
職業 | 特許事務員 |
出身校 | 慶応義塾大学文学部 |
受講講座 | 1年合格ベーシックコースWIDE インプット+アウトプット一括 |
選択科目 | 受験した:民法 |
弁理士を目指した理由・きっかけ
特許事務所に事務員として勤務しており、海外代理人とのミーティングに参加する機会があります。相手は理系大学院卒でもちろん弁理士で経験も豊富なのに、自分は文学部卒だし資格も持っていないしなにもないと思い、海外代理人と対等に渡り合えるようになるために弁理士資格を取ることを決めました。また、せっかく勤めているのだから資格として形にしたいという思いもありました。
LECを選んだ理由
ネットで検索した際にLECは評判がよかったので、LECに申し込むことを決めました。そこでどの先生に習おうかと複数のガイダンスに参加しました。
佐藤先生のガイダンスに参加した際、先生は会社員時代には月に商標の中間処理を50件、サーチを500件こなしていたというお話を伺い、尋常ではない数に圧倒されました。また、講義後には受講生からの質問に1時間ほど答えているとも伺い、先生の面倒見のよさを感じました。
この先生についていけば文系弁理士として大成できるかもしれないと思い、佐藤先生の講座を受講することに決めました。
LECで受講した初学者向けコースとその担当講師について
佐藤先生は、条文の背景を細かく紐解き場面想定をして肉づけをしてくださいます。先生は大変な勉強家で、受講生のために予習を念入りにされているからこそ可能なことです。自分では絶対に知ることができない背景まで学ぶことで、ストーリーのように流れが入ってきます。また、場面想定ができれば知識は生きたもの、使えるものとなり、暗記事項は最低限で済み、理屈から考えて答えを導き出すことができるようになります。
四法、下三法は時に複雑で、授業中に私も含め受講生がわからないという顔をすることがあります。そうすると先生はすぐ気がついて、「言ってることわかるかな」と説明をつけ足してくださるので、ありがたかったです。
また、先生は、授業にからめて様々なことを教えてくださいます。条約の授業だったと思いますが、税関で侵害物品を止めるというお話をされており、それにちなんで弁理士でも税関関係の仕事があるということを教えてくださいました。今学んでいることがこれからの将来につながっていくことが感じられたこと、また、弁理士という資格の可能性を感じられたことは、先生の講義ならではのことだと思います。
佐藤クラスは、他のクラスよりも受講料が高いですが、佐藤先生は通常授業とは別にさらにソクラテスゼミを無料で開講しており、佐藤クラスの卒業生の方も参加できます。また、質問すれば何時間でも付き合ってくれます。進路相談にも乗ってくれます。先生は面倒見のよい方ですので、佐藤クラスに入れば、卒業後も先生と一生のお付き合いができます。
そのため、2年目は佐藤先生の1年目の講義の聞き直しと、ソクラテスゼミと、答練のみで2年目に合格することができました。佐藤先生のクラスは結果的にいちばんお得です。
佐藤先生は儲けなどは考えておらず、本物の弁理士を育てることに注力されていることがよくわかります。
LECで受講した学習経験者向けコース・講座とその担当講師について
幸谷先生の民法対策講座を受講しました。
幸谷先生は誰にでもわかりやすいように、生の請求から考えてどのような請求権を選ぶか選択するという説明をしてくださいます。具体的には「金払え」なのか「物よこせ」なのか、請求権は「ある」のか「ない」のか、といった感じです。
このようにシンプルに場合分けをして考えていくことで、条文数が四法とはくらべものにならないほど多くて判例の暗記事項も山ほどある民法も、難しくはないと思えました。先生のような頭のよい人ほどシンプルに思考するというのは本当ですね。幸谷流思考方法は、弁理士試験に限らず今後の勉強や仕事に際しても応用が利きます。
テキストについても、幸谷先生は試験当日のことまで考えて、イラストを多用しながらかつ持ち運びができる厚さのテキストを作成してくださっているので、民法の試験の際には荷物が多くならずに大変助かりました。
また、幸谷先生は授業中に佐藤先生と同じ比喩を使われていたりして(弁理士試験に合格するのは条件なのか期限なのか)、なんとなく親近感をもって勉強できました。
LECで受講した答練・摸試について
答練は予想問題なので、よく復習することを勧めます。論文実戦答練で出た建築物の定義が、論文本試験で出ました。答練の解説冊子にも、必ずといってよいほど「復習を念入りにしてください」と書いてあります。
とはいっても、定義趣旨といった暗記ものの学習が私は苦手でした。答練で配られた模範解答を読んでも頭に入らないので、定義趣旨や論証パターンなどの暗記事項のところだけを声に出して読んで録音して、通勤時間などに繰り返し繰り返し聴いて覚えるようにしました。
また、速く解く訓練をしたくて、1年目には答練にわざと前半半分の時間遅刻していって、後半半分の時間のみで解くようにしていました。しかしこれだと回答は上がるものの、条文を参照する時間もあまりないので記載がテキトーになりすぎて成果は上がらず、「まず条文を読んでください」と添削でよくコメントされていました(笑)。
そこで2年目はわざと10〜15分くらい遅れていき、余裕のなさや焦りという本番に近い状況を作り出して、その状況下で速く解く訓練をしていました。
LECで受講したスポット講座について
私は佐藤先生の授業のなかではソクラテスゼミがいちばん好きでした。ゼミでは先生が問いを投げかけ、それに対して受講生が回答していきます。ゼミでほかの人が答えているのを聞いたり自分で答えたりすると記憶に残りやすく、知識の定着に役立ちました。
最初のうちは内容にまったくついていけず落ち込んだりしていましたが、ゼミを毎回録音して聞き直しているうちに徐々に自分でも答えられるようになっていました。ゼミは双方向の授業ですので、先生とコミュニケーションが取れるという醍醐味があります。
ソクラテスゼミに参加している先輩は非常に優秀で、先輩の受け答えを聞いて、こういうふうに簡潔にポイントをおさえて答えればいいんだと毎回参考にしていました。受け答えが上手な先輩はやはり非常に短期で合格しました。ゼミでは、この先輩のようになれば合格できるのだということが肌身で感じられたので、先輩のようになりたいといつも憧れていました。
私の場合は2年かかったものの、ロールモデルである先輩が目の前にいて、目指す地点が明確だったことが合格につながったと思います。
LECの教材や学習システムについて
初級コースのチューター制度が素晴らしかったです。広瀬先生の頭のよさとそれに伴う理解の深さには毎回衝撃を受けていました。しかも先生はそれに加えて努力も怠りません。先生のように目標をしっかりと見据えて努力すれば合格できるのだと思って刺激を受けていました。
先生には疑問点を質問することが多かったです。あるとき短答について質問していて出典が青本の問題がありました。先生に青本を確認したかと聞かれ、していないと言ったら「してください。確認することで記憶に残るし知識も深まる」というようなことを言われて、はっとしたことがあります。先生との会話のなかで、できる人はこういうふうに勉強するのか、という気づきがありました。
論文についても、「わからない問題について回答時間を短くするのは難しい」「その代わりに、29条の2などよく出る問題は考えなくても書けるようにして時間を短縮する」「パリ優先権主張の要件など、その場で考えているとすごく時間がかかる」「そういうポイントだけを10回くらい書いてピンポイントでおさえる」など、具体的なアドバイスをいただけたことで、論文の点数を伸ばすことができました。
佐藤先生と広瀬先生は補完関係に立っています。佐藤先生からは理論を学び、広瀬先生からは実践の方法を学びました。広瀬先生の具体的方法にもとづき佐藤先生の教えを具現化することで、うまくアウトプットができるようになりました。
また、広瀬先生は非常にバランス感覚に優れた方です。物事を一面からしか見られず回答に納得できない私に、こちらからのアプローチもあるというように多面的に物事をとらえて、選択肢を多く持ったり調和のとれた回答を導き出すことを教えてくださいました。
短答式試験対策でやって良かったこと
佐藤先生のアドバイスどおりに、まず短答アドヴァンステキストの基本問題を押さえて、それから過去問をひたすら回しました。
1周目は、どうしてこの回答になるのかという理屈まで徹底的に考えて、短答アドヴァンステキストや佐藤先生のテキストであるクレストをいちいち紐解き、該当ページと理屈をメモし…というふうに進めたので、なかなか進まなかったです。しかし、不完全な理解のままだと2周目もまた同じところで間違えると思ったので、焦りつつも我慢して自分のペースで進めました。
2周目も、メモしたはずの理屈が頭に入っていなくてまた同じ問題で間違えたりしていましたが、1周目のときのメモの読み直しが役に立ちました。
なお、2周目以降はできなかった問題だけやればよいという考えもあるとは思いますが、時間が経って知識がついてくると別の問題で間違えたりするので、何周かはすべての問題を解くことをおすすめします。何周目かで間違えた問題についても同様に自分なりのメモを残して見直しができるようにしました。過去問を何度も回していると、この条文の関連条文ではどのようになっていたか、特許ではこうだけど実意商ではどうか、条約ではどうか、など、派生知識がどんどん気になってきて、そのたびに短答アドヴァンステキストやクレストレジュメをあちこちひっくり返していました。私にとってはこのテキストを引く作業が籠を編むような作業でした。籠がだんだんと完成してくると網の目が縦横にひろがって、知識が有機的につながっていきます。そうすると試験委員の先生が投げた球を網でキャッチできて、球を取りこぼすことなく問いに回答できるというわけです。
だんだんと網がしっかりしてきて球を瞬時に取る瞬発力もつき、5月中だけで全問解き2、3周を含め5周くらいできました。短答式試験までに先生のおっしゃる10周はできませんでしたが、7、8周はしたと思います。
ただ、過去問は完璧にしたので短答突破はできたものの、本試験では過去問にはない問題も多く出ました。そのような問題には短答アドヴァンステキストのインプットで対処するしかないものの、直前期に過去問に注力するあまりに短答アドヴァンステキストの復習がおろそかになってしまったので、目標とする48点には届きませんでした。佐藤先生のおっしゃるとおり、直前期には短答アドヴァンステキストを1日で回すことをおすすめします。
論文式試験対策でやって良かったこと
先輩に過去問を暗記するように言われたので、模範解答の暗記事項のところに線を引いたりしてみたものの、頭に入りませんでした。そこで、過去問の問題文と模範解答を声に出して読んで録音して、通勤の道中で、電車の中で、食事中に、などひたすら聴きました。聴くときは、「画像が意匠法の保護対象になった理由を述べよ」などの問いのところでいったん一時停止して回答を頭に思い浮かべたあとで再開して答えを聴く、というふうにして、疑問→回答解決、疑問→回答解決を繰り返しました。なにを学習するにしても、疑問を持つことが出発点だと思います。疑問が解決された瞬間に頭に入るからです。
なお、自分にとって最適な学習方法を見つけることが大切です。私は目で学習するよりも耳で学習するほうが向いていることに気づけたのは、友達との自主勉強会の際でした。友達と問題を出しあっていて、私の答えに対して「そこまでまるまるよく覚えているね」と言ってもらえた問題があり、それは繰り返し聴いたソクラテスゼミで佐藤先生がお話していた問題だったのです。友達からの指摘で、私は耳で聴けば覚えられるんだということに気づくことができました。ちなみに友達は目から覚えるタイプでしたので、授業を音声だけではなく映像つきで復習したり、条文に書き込みをしたりして学習していました。
過去問は、佐藤先生のアドバイスどおりに平成14年から解きました。結果、令和5年の論文式試験では過去問に近い問題が多く出たこともあり、高得点を収めることができました。
口述試験対策でやって良かったこと
義村先生の口述2ndフェーズを受講しました。朝型の私にとっては夜の授業は本当にキツかったのですが、なんとしても合格したかったので必死に勉強しました。
義村先生の授業は、2年目の講座を受講していなかった私にとっては、同期となるはずの皆さんと知り合いになれるよい機会でした。論文を突破されている皆さんはさすが優秀で定義趣旨などもすらすらと答えられていて、よい刺激を受けました。皆さんと成長を感じつつ和気あいあいと最後の仕上げができたのはよい思い出になりました。
授業以外の学習方法としては、口述アドヴァンステキストと義村レジュメを音読録音してスキマ時間に聴きまくりインプットをし、各種練習会・模試に参加したり、ソクラテスゼミ仲間とZoomで問答を繰り返したりしてアウトプットをしました。口述アドヴァンステキストの音読録音という学習方法は、口述2ndフェーズと口述模試でもお世話になった広瀬先生に教えていただいたものです。
また、広瀬先生の論文についての「どこにどんな内容の条文があるかくらいは覚えておいてください。条文の見通しもよくなる」というアドバイス、幸谷先生の民法についての「条文を引く癖をつけてください」というアドバイスを応用して、論文必須試験で貸与された大きめの法文集(口述試験本番でも使用します)を自宅でも外出時スキマ時間でも引くようにしました。
学習時間を捻出するために工夫したこと
家で勉強するのが苦手だったので、1年目は、平日朝は山手線を1周し、休日は佐藤クラスの方が合格体験記で紹介していた大回り学習法で1日8時間くらい電車に乗って勉強時間を確保していました。電車に乗ると持ってこられる荷物も限られてくるので、誘惑事項がなくて済みます。時おり熱海まで行って車中で海を見ながら勉強してリフレッシュしていました。駅に着いたらすぐに帰りの電車に乗ります。合格したら熱海を楽しもうと思いながら、行き帰りの車中では勉強と景色を楽しみました。
電車に乗ると眠くなることもあると思いますが、眠くなったときは積極的に寝るようにしていました。また、ずっと座りっぱなしだと疲れるので、車中の大半は立って勉強していました。現代人の諸悪の根源は座りっぱなしにあると思っているので、2年目に家で勉強しているときもスタンディングデスクで勉強していました。
2年目は、先輩のアドバイスに従い答練でもらった回答用紙をコピーして、過去問を解くときもその解答用紙に記入することで、字の大きさ・きれいさ、書くとワープロより遅くなるので時間配分など、書くことから派生する種々のポイントに早くから慣れるようにしました。
また、超直前期には、「特許は時間との闘い」という広瀬先生のお言葉を思い出し、1時間で解くべき初見の答練の問題を45分ほどで解くようにするということを平日の毎朝出勤前にやっていました。出勤前だと時間がないので本番と同様の状態を作り出すことができておすすめです。
通学、または通信での受講を選択して良かった点や反省点
佐藤先生とその周りの方々とのつながりができたことが通学のいちばんのメリットです。
佐藤先生の教え子の方々は皆いい人達でした。
広瀬先生は私のナンセンスな質問も無視せず必ず回答をくださいました。
幸谷先生はあんなに頭がいいのに、「弁理士試験に合格できたのは佐藤先生のおかげです。佐藤先生は質問にも答えてくれました」と謙虚でした。
ソクラテスゼミ仲間は、古い年度の過去問を1年間も気前よく貸してくれたり、資料について、この資料は判例が足りないから補ったほうがいい等の的確なアドバイスをくれたり、口述練習に何時間もつきあってくれたりしました。
これも、佐藤先生がいい人だからです。優れた人格の佐藤先生が、いい人たちを周りに引き寄せているのだと思います。
なお、授業後の雑談で先生は重要情報を教えてくださったりするので、先生とお話するとよいことがあります。幸谷先生が佐藤先生の教え子だと知ったのも雑談のときでした。
今、合格して思うこと
いかに多くの人に支えられたかということを実感できた勉強生活でした。
弁理士試験について、「そんなに難しくないからね」と励ましてくださった佐藤先生。
先生の言葉を論文本試験の前にも頭の中で思い返して落ちつくようにしていました。
疑問だらけの私にとことんつきあってくださった広瀬先生。
先生がいなかったら合格していません。
2年目も自主勉強会を開いてくれて、勉強サイクルやスペースをつくってくれたゼミ仲間。
過去問を解いた答案の添削をしてくれて的確なアドバイスをくれた知り合いの先輩。
「君は大丈夫だ」「毎日祈っているよ」と言ってくれた亡き祖父。
毎週のようにスープやケーキをつくって応援してくれた祖母。
陰ながら見守ってくれた両親・弟。
勉強生活を通じて周りからのサポートに気づけて感謝をするようになり、人間としても成長できたと思います。
試験勉強で知りあった先生方・先輩方はみな優秀で、いかに自分が凡人かということを痛感し、落ち込んだりもしました。
しかし、あきらめずに勉強すれば道は開けます。「周りに感謝して進めば、必ず合格できる」という佐藤先生の言葉は本当でした。
これから弁理士になるにあたって、責任を感じています。
私が尊敬する先輩方は、合格後も勉強を続けていらっしゃる向上心のある方々ですので、先輩方のようになれるように卒業後も努力し続けたいと思います。
やっとスタート地点に立てました。