楽しむことを忘れずに
里見 紗弥子さん
年齢 | 21歳(出願時20歳) |
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受験回数 | 1回 |
職業 | 学生 |
出身校 | 東京大学 理学部 生物化学科 在籍中 |
受講講座 | 1年合格ベーシックコース インプット+アウトプット一括 |
弁理士を目指した理由・きっかけ
初めて弁理士という資格の存在を知ったのは高校生の時でした。理系に進むことを決めていたものの、語学がとても好きだったため、理系の専門知識と語学、どちらも活用できる職業がないかと考えていたところ、偶然、高校の先生から「弁理士としてどちらのスキルも活かして働いている人を知っている」と教えていただいたことがきっかけです。その後その言葉はずっと頭の片隅にあり、大学2年生の時に、自由な時間が増えたのを機に勉強し始めました。
LECを選んだ理由
弁理士試験について調べ始めてすぐに、短期間で合格するためには予備校に入った方が良いこと、LECの合格率が高いことを知ったため、LECで学んでみようと決めました。情報を集め始めたのが4月末頃だったのですが、ちょうど2019年度合格目標コースの講座開始日が近かったこともあり、あまり迷わずに決めることができたと思います。
その後、Webで無料体験講義を受講したところ、マーカーでカラフルにテキストを色分けしていく宮口先生の講義スタイルが、法文などを初めて読む自分にはぴったりだと思い、宮口先生のコースを受講することにしました。
主に受講したコースや講座の名称と受講した感想
メインの講座として受講したのは、「1年合格ベーシックコース」の通信講座です。知財関係の知識は全く無い状態から勉強を始めましたが、このコースの最初に受講する入門講座では、様々な条文が系統立てて順番に説明されていくため非常にわかりやすく、スムーズに勉強に入っていくことができました。
宮口先生は、口頭での説明も、テキストの読み込みも非常に抑揚をつけて解説してくださったので、講義の内容が耳に残りやすく、テキストも綺麗に色分けされることで、とても理解しやすいものになりました。丸暗記ではなく、オリジナルの図や表を多く使って「なぜそのように規定されているのか」という考え方の部分から説明してくださったのも、初心者の私には良かったと思います。また、講義中に繰り返し口にされていた語呂合わせも、重要な条文などのエッセンスが凝縮されたもので、リズムが良く覚えやすく、口述試験で困った時にふと語呂合わせを思い出して何とか切り抜けたりといったこともありました。
「1年合格ベーシックコース」以外では、「口述完全合格ナビゲーションパック」で論文試験後の口述対策を行いました。この講座は条文を細かく確認していく1stフェーズと、実際に口頭で答える練習を繰り返し行う2ndフェーズに分かれていて、十分な知識と演習経験を身につけることができ、本番にも緊張せず臨むことができました。
利用して良かったLECのテキスト・過去問集等の名称と具体的な感想
コースを受講していく中でとても多くのテキストを使用しましたが、その中でも情報がよくまとめられているもの、知識が満遍なく網羅されているものを何冊か選んで、それらを中心に勉強するようにしていました。色々なテキストの内容を一元化できると、見やすいだけでなく頭の中も整理されて効果的です。特に宮口先生の最判道場のテキストは、重要な判例が網羅されていて、事件の内容と趣旨も簡潔にまとまっていたため、判例関係はこれ一冊を繰り返し読むことでほとんどの問題に対応できました。
また短答アドヴァンステキストは、非常に分厚く「これを全部覚えるのは絶対無理」と思いましたが、講座が始まってみると各条文の必要な知識が集約されていて、最後まで辞書のように使っていました。
講座外で自分で購入した問題集では、体系別短答過去問が、難易度・出題頻度・選択肢のどこが間違っているのか等が見やすく、使いやすかったです。
受講した答練や模試の名称と受講した感想
大学の講義が忙しくなって一度弁理士試験の勉強を中断してしまったため、受講した答練や模試は非常に少なく、模試は短答公開模試を一回受験しただけでした。そのためここに書けることは少ないのですが、何回か答案を提出した論文基礎力完成講座の答練の添削は、書けているポイント・書き漏らしてしまっているポイントが細かく分析されていて、フィードバックのコメントも論理的でわかりやすく、答案を書き直す際や次の答案を書く際にとても参考になりました。法律系の論文試験自体が初めての経験だったので、慣れないながらも自分なりに書いた文章を、客観的に採点してもらえることで、答案の書き方の方向性を掴めたのは大きかったと思います。
短答式試験対策で気をつけたこと
前年の秋頃、入門講座と論文基礎力完成講座を受講し終えたあたりから勉強を中断してしまい、2月半ばから短答試験に向けて勉強を再開しました。勉強方法は、短答基礎力完成講座を一通り聞き、その後はその復習をしながら過去問を2、3周解く、という感じです。とにかく時間がなかったため、必要最小限の勉強時間で最大限の効果を出さなければ合格できないと思い、講義は早送りで1日に数回分進める、講義で一度聞いたことは二度と忘れないつもりで集中して受ける、といったことを常に意識していました。
この他に、講義や過去問で間違えたり混乱したりした事項を書き溜めておいて、その日のうちに条文やテキストを参照して理解し、図や表、メモとしてまとめたノートを作っていたのですが、これは知識も整理されて、後で見返しやすくとても良かったです。
論文式試験対策で気をつけたこと
本格的に論文試験対策を行うことができたのは短答試験受験後になってしまいましたが、前年に受けていた論文基礎力完成講座のレジュメで、答案の基本的な組み立て方を教わっていたので、この時の知識が非常に役立ちました。「論文の型」を身につけておくことと、長く書くよりポイントを絞った簡潔な答案を書くことが大事だと知っておくことはとても重要だと思います。
勉強方法としては、過去問7年分の「構成メモ作り→全文書き→模範解答を見て構成メモ作り→解答を参照しながら全文書き」を一通り行い、2週目は間違えやすい箇所のみ書くようにしました。また、最判道場のレジュメで最重要とされていた判例についても、趣旨を書く練習をしました。
必須科目の試験から3週間後に選択科目(生物化学)の試験があったため、試験後はすぐに切り替えて選択科目対策に入りました。大学での専攻と同じ科目を選んだため、大学で使用していた教科書を読み込むことと、過去問10年分を3回解くことで十分対策することができました。生物の問題は、一定の範囲の、類似した問題が繰り返し出題されていたため、初めに10年分の問題にざっと目を通して、どこまで勉強すれば良いかを把握したのは良かったなと思います。
口述試験対策で気をつけたこと
口述対策は最も時間の余裕があり、9月頃から口述完全合格ナビゲーションパックを受講して、逐条の知識の確認と、それに続いて口頭試問の演習を行いました。特に、2ndフェーズの実際の演習は、本番の緊張感や時間感覚を前もって経験できたため、本番で緊張せずに済んだと思います。テキストの問題や、周りの受講生のレベルも高く、自分一人ではここまで確認していなかったな、という知識についても見直す良い機会になりました。
講座以外では、過去問10年分を2周解いて、問題を読んでパッと正しく答えられるようになるまで一人で練習しました。
通学、または通信での受講のメリットとデメリット
通学に時間がかかることや、アルバイト等との兼ね合いも考え、口述対策講座の後半の演習以外は、全て通信で受講しました。通信だとやる気がなくなりやすい、通学の方が合格率が高い、などの情報も耳にし、また実際しばらく勉強を休んでしまったこともありましたが、その後遅れを挽回できたのも通信だったからこそだと思います。
通信だと、講義を早送りにしたり、通学での数日分を一気に進めたりできますし、場所や時間を気にせず勉強できます。また、一人だと情報不足にはなりやすいですが、逆に多くの情報に振り回されず、自分が決めたシンプルな勉強方法をやり抜くことに集中できました。「最小限の勉強時間で最大限の効果を出す」という勉強方法は自分に合っていたかなと思います。
受講したゼミや道場、単発講座の名称と受講した感想
夏に実施された、宮口先生の最判道場のテキストは、短答試験から口述試験まで繰り返し読み込みました。この講座で判例関係はほとんど押さえられる、という充実した内容でした。
安西先生の短論口述184道場は、混乱しやすい特実の国際出願関係の条文がまとめて解説されていて、レジュメは表や図が多くてわかりやすく、こちらも184条関係でわからないことがある時には必ず見ていました。
また、納冨先生の論文最終ヤマ当て道場でいただいた出題テーマのチェックリストは、論文試験直前期に知識の確認をするのにぴったりで、重要なテーマを見過ごしてしまうのを防ぐことができたと思います。
仕事や学業、家庭と勉強の両立のコツ・時間活用術など
学生なので1日あたりの勉強時間はかなり確保することができましたが、それでも今年に入ってから勉強再開という、本格的なスタートがかなり遅れた状態から合格できたのは、集中して勉強することができたからかなと思います。
通学時間中にテキストやノートを読み返して、なるべく何回も復習することで定着させると同時に、講座を聞く時は「一度聞いたことは復習が一切要らない」ようにするつもりで没頭して聞いていたことで、速く多く知識を身につけることができたと思います。
今、合格して思うこと
2月に勉強を再開したときには、一発合格は無理かもと思うこともあったのですが、それでもきっとできると信じて勉強してきたので、純粋に良かったという気持ちが大きいです。短期で合格できたのは、いつも明快な講義をして下さった先生方や、この半年間ほぼ所構わず勉強していた私をそっと見守り励ましてくれた家族や友人のおかげです。ありがとうございました。
実務の経験もなく、まだ知財の世界の入り口に立ったばかりですが、これから様々な分野の勉強を重ね、経験を積んで、将来弁理士として活躍していくことができたらと思います。
これから弁理士を目指す方へのメッセージ
弁理士試験の勉強は、暗記が多く疲れを感じたり、時間の少なさに焦ったりすることもありましたが、それ以上に今まで全く知らなかった、新しい世界のことを学んでいくのは本当に楽しかったです!その気持ちがあったからこそ、集中し続けることができました。
自分にとってピンときた講座やテキスト、勉強方法を信頼して、最後まで諦めず、そして辛くなった時は勉強することの楽しさを思い出して頑張ってください!