強い気持ちを持って駆け抜けた1年間
H・Nさん
年齢 | 31歳 |
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受験回数 | 1回 |
職業 | 会社員 |
出身校 | 京都大学大学院 理学研究科 化学専攻 |
受講講座 | 1年合格ベーシックコース+アウトプット完成コース その他学習経験者向け講座 |
弁理士を目指した理由・きっかけ
私は化学メーカーの研究開発部門に所属しており、自らの発明の出願について知財部門に相談する中で、知識不足のためか話の内容を理解できないと感じたことが特許の勉強を始めようと思ったきっかけです。最初は知財部門との相談を円滑に進める程度の知識があればいいかと考えていましたが、勉強が進むうちに興味が深まり、将来的に弁理士として働きたいと思うようになりました。
LECを選んだ理由
弁理士試験の難易度は高いと知っていたものの、何年も勉強に費やす時間は惜しいと考えていたので、予備校の利用は早期に決めていました。その上で自宅から通学可能かつ生講義を受講できる点でLEC名古屋駅前本校を候補としました。最終的な決め手となったのは名古屋駅前本校の高橋先生のガイダンスでした。ガイダンスの中で試験に受かるための知識だけなく、「試験に受かるための戦略」を伝えるという高橋先生の講義コンセプトに感銘を受け、ここなら合格できると感じ、LECでの受講を決めました。
主に受講したコースや講座の名称と受講した感想
1年合格ベーシックコースを受講しました。私は会社での研修程度でしか特許について勉強したことがない初学者でしたが、特許法・実用新案法・意匠法・商標法の基礎から講義を聴くことができ、短答式試験を突破できるだけのレベルにまで到達できました。また、通学を選択したことで、土曜講義のために残りの6日間で予習・復習を行う必要があり、計画的に学習する環境におかれた勉強習慣付けに役立ちました。
また、高橋先生の講義は単なる暗記ではなく、条文の構成や趣旨を理解することに徹底されていたため、論文式試験や口述試験にまで対応できる基礎体力を十分に培うことができるものでした。今振り返ると独学では習得が困難なものばかりだったと思います。高橋先生の講義自体も面白く、興味を失うことなく1年間受講することができました。また長い講義が終わった後でも親身になって質問に回答して頂け、受講生としては非常に安心感が得られる先生でした。
論文式試験の対策は高橋先生の論文フォーマットゼミのみだったと言っても過言ではないくらいです。論文式試験は時間との戦いであり、いかに『考えること』のみに時間を使い、時間の浪費を無くすかが合否の分かれ目となります。ゼミでは、問題を系統分けし各フォーマットに落とし込んでくれるので、文章構成を考える手間をなくすことができるようになり、真に考えることだけに注力することができるようになりました。特に文章構成力に自信のない私には大いに役立ちました。また、ゼミで取り扱う問題の範囲も多岐にわたり、試験前にはほとんど全ての重要判例に対応できようになっていました。定期的に実施される小テストも緊張感があるもので、論文式試験の準備にはもってこいでした。
利用して良かったLECのテキスト・過去問集等の名称と具体的な感想
短答アドヴァンステキストは、条文一条ごとに詳細な解説が掲載されており、初学者でも理解しやすいテキストでした。また解説だけでなく、その条文に関連した過去問も掲載されているため、短答式試験の雰囲気を掴むためにも役立ちました。趣旨や過去の法改正についても言及されており、口述試験対策としても重宝しました。短答アドヴァンステキストで各条文を深く理解し、四法対照で四法について横断的な理解をするだけでも、十分に短答式試験対策になっていたと思います。
受講した答練や模試の名称と受講した感想
論文式試験対策は高橋先生の論文フォーマットゼミでインプットし、論文実戦答練でアウトプットしたことで、学習の相乗効果が得られました。特に論文実戦答練は自分の作成した文章について第三者からの客観的な評価を得られる貴重な機会として大いに利用させていただきました。自分の文章が読みやすい文章となっているかは自分では判断がつきませんので、第三者の率直な意見として添削して頂けたので、修正すべきポイントが明確となりました。
短答式試験対策で気をつけたこと
短答式試験対策ではいかに合格点を取るための知識を、効率的に身に付けるかを意識して勉強に励んでいました。短答式試験は出題範囲が極めて広いため、1年間で全科目を隅々まで勉強するには時間が足りないと感じていました。しかし、私が受講した1年合格ベーシックコース(高橋クラス)では初学者が1年間で弁理士合格を目指すカリキュラムが組まれており、振り返ってみれば非常に効率的な学習をすることができたと思っています。特に四法(特許法、実用新案法、意匠法、商標法)の学習には短答アドヴァンステキストと四法対照が非常に役立ちました。
高橋先生の講義では四法対照も用い、特許法を勉強した後の他の三法(実意商)については特許法との差異に重点を絞って講義を進めてくださったおかげで、同じ内容を何度も繰り返さずに効率的に学習できたと思います。また、講義内容も頻出度に応じて詳細に説明されることもあれば、時には一章ほぼ丸ごとスキップするなどメリハリのある講義となっていました。
個人的には論文試験等でも出題される四法については広く深く、下三法については試験頻出の分野に絞って勉強を進めていました。四法は上述の短答アドヴァンステキスト、四法対照を使用していましたが、下三法は過去問を繰り返して、出題傾向を把握することに重点を置いていました。
論文式試験対策で気をつけたこと
論文式試験対策では条文集に記載されているものは条文通りに記載すればよいので、条文集に記載のない判例、制度趣旨について重点的に勉強することを心掛けました。前述した高橋先生の論文フォーマットゼミにて『条文集に記載のあることは、条文集を見ながら条文通りに記載すれば間違えはない』と教わり、まずはそれを愚直に実践していました。
論文試験の感覚をある程度つかみ、論文フォーマットゼミ内の小テストでも点数が安定してきた時期に、一度だけ実験的に条文集を見ないで解答しようとしたところ、書き出しに迷う上に記載したものにも誤りが多いと悲惨な結果になったことがありました。この結果から高橋先生が日頃から「条文集を使用できる試験なのだから、条文集を存分に活用しろ」とおっしゃっていた意味を体感できました。
判例の勉強については論文フォーマットゼミにて学んだ重要判例のみに絞り、判例について状況の理解および判決を徹底的に叩き込みました。上述した通り論文フォーマットゼミでほぼ全ての重要判例を取り扱っていたので、短答式試験前にはどの判例が出題されても問題無いだろうと思えるほど自信はついていました。ただ制度趣旨については弱いところがあったので、短答試験後から短答アドヴァンステキストを用いて本格的に勉強し始めました。
口述試験対策で気をつけたこと
口述試験対策としては条文通りの言葉で解答できるよう繰り返し練習していました。論文試験が終わった後仕事が忙しくなったこともあり、9月まで勉強が手につかない状況でした。正直なところ、論文式試験まで勉強を続けていたことで内心少し勉強をすれば口述試験への対応も簡単だろうと甘く見ていたところがありました。しかし、口述対策講座1stフェーズにて口述試験では条文通りの文言で正確に解答を要求されることがあると知り、口述試験のための勉強が必要であると気づかされました。
論文式試験では条文集に頼っていたあまり、条文通りの言葉はうろ覚えの状態でした。口述対策講座では条文中でも正確に答えるべきキーワードとそれ以外の部分とがあると学んだため、キーワードを意識して練習していました。実際の口述試験では商標法7条の2第1項各号のいずれかを条文通り答えるよう問題が出された際に淀みなく答えたことで、非常に和やかなムードの中で試験を終えることができました。
通学、または通信での受講のメリットとデメリット
通学の受講形態のメリットは3つあると思います。
1つ目は講師の先生に直接質問や勉強のやり方の相談ができ、試験についてのアドバイス等を受けることができることです。今年の論文式試験では貸与法文に法改正後の内容が掲載されるか否か微妙なタイミングだったのですが、高橋先生が特許庁に問い合わせをしてくださり、受験生としていらぬ心配をせずにすみました。
2つ目は同じ目的を持った受験生仲間がいることです。自分よりできる人が周りに何人もいたので、それだけで刺激になりましたし、勉強を続けるモチベーションになりました。
3つ目は勉強する習慣がつくことです。毎週末講義を受けていたため平日に予復習する必要があり、会社から帰った後はどれだけ眠くても2,3時間は勉強する習慣が付きました。
一方でデメリットは拘束時間が長いことです。特に私は通学に1.5時間ほどかかっていたため、余計に拘束時間が長く感じていました。少しでも通学時間を減らそうと土日連続で講義がある際には近くで宿泊するなど対策を打っていました。
受講したゼミや道場、単発講座の名称と受講した感想
論文式試験直前期に実施された「論文直前!高橋寛明の重要判例対策道場」は、重要判例を1冊の本としてまとめられており、最後の見直しに役立ちました。また論文式試験で時間に追われてしまった際の最後の手段として、最低限の意味が通る程度に短縮した判例の記載を伝授して頂き、論文式試験直前期にして心にゆとりをもてました。さらに出題可能性の高い判例については改めて講義もあり、直前期の見直しとしてはこれ以上のものはなかったと思います。
仕事や学業、家庭と勉強の両立のコツ・時間活用術など
この1年間勉強をしてきましたが、仕事との両立は中々容易ではありません。だからこそ弁理士試験を継続していくためには強い動機が必要だと思います。私自身にとって弁理士という資格は今後のキャリア形成に不可欠なものであり、試験自体は通過点でしかないと考えていたからこそ、最後まで継続することができたのだと思います。
時間活用術としては車での通勤時に授業の音声ファイルを流したり、口述試験の練習をしていました。また過去問を解く際に完全に解答できた問題をチェックし、次回からはスキップするなどと問題を厳選して学習の効率化を図っていました。しかし、上記の時間活用術はあくまで小手先のテクニックに過ぎず、仕事の状況によっては勉強時間の確保自体が厳しいこともあると思います。私は短答式試験の3ヶ月前に仕事で忙しい日々が続き、月〜木は午前2時、金は午前5時帰宅という状況に置かれて勉強を怠けようかと思った時期がありました。しかし、高橋先生がよくおっしゃっていた「時間がないは言い訳に過ぎない」という言葉で奮起し、朝日が見えるまでは勉強するようにしていました。この状況でも勉強を継続できたのは強い動機とともに周りの人の理解があったおかげだと思っており、本当に感謝しています。
今、合格して思うこと
この弁理士試験を通して人として成長できたかなと思っています。普段から怠け癖のある私でしたが、自分を律して1年間根気よく勉強を継続し、1年目で弁理士試験合格するという高い目標を達成できたことに喜びを感じています。またお世話になった高橋先生をはじめ、LEC名古屋駅前本校のスタッフの方々、弁理士試験に挑戦することに理解を示してくれた家族・友人には感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。
今のところはどのように弁理士の資格を活かしていくか具体的には決めていませんが、大・企業を通して研究に身を置いてきた立場として、大学の研究活動と企業の研究活動とを橋渡しする役割を担うことができるような弁理士となれればと思っています。
これから弁理士を目指す方へのメッセージ
弁理士試験は一筋縄ではいかない試験ですが、初学者でも1年目で合格できる試験でもあります。それぞれがいろんな理由で弁理士を目指していらっしゃると思いますが、その理由を大切にして最後まで諦めずに走り切ってください。LECの先生方を信じて努力を重ねれば、必ず合格を掴み取れると思います。