質実剛健
吉安 裕史さん
年齢 | 29歳 |
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受験回数 | 1回 |
職業 | 特許事務所 |
出身校 | 中央大学大学院 理工学研究科 応用化学専攻 |
受講講座 | 1年合格ベーシックコース+アウトプット完成コース |
弁理士を目指した理由・きっかけ
前職にて、知的財産権の重要性に触れる機会が何回かありました。一方で、長く働くことができる仕事を探しておりました。
以前から弁理士という資格は知っており、転職とともに資格を取得しようと思ったのがきっかけです。
英語に触れる機会も引き続きありそうなので、とても魅力に感じました。
LECを選んだ理由
『初回受験合格者の5人に4人がLECの出身者』という実績を知り、悩むこともなくLECを選びました。一応他の受験機関も見ましたが、LECは名古屋駅近くで通いやすいこともあり、自習室も綺麗でしたのでここに決めました。
主に受講したコースや講座の名称と受講した感想
大きく3つあります。①1年目の基幹コース(1年合格ベーシックコース+アウトプット完成コース)、②高橋先生の論文向けのゼミ(論文フォーマットゼミ)、③口述対策講座・模試を受講しました。
【①1年目の基幹コース(1年合格ベーシックコース+アウトプット完成コース)】
うまく構成されていると思います。短答試験は、このコースをしっかり受講し、努力をすれば受かります。通学の講師は高橋先生だったのですが、Webフォローは宮口先生の講義を受講できました。これはかなり自分にとってプラスでした。知的財産法は同じなのに、2人の講師が異なる視点、かつ面白い表現で講義をすることにより、1年目でも深く理解することができました。年明け頃から始まる答練もよく練られていると思います。
【②高橋先生の論文向けのゼミ(論文フォーマットゼミ)】
中部に住んでいる方で弁理士を目指すなら、受けない手はないです。高橋先生は、見た目とは反比例して超絶合理的主義者なので、素直に、高橋先生の言うことを聞けば、最短ルートで合格できます。ちなみに講義は筋トレのようなものです。
【③口述対策講座・模試】
模試では、東京まで遠征しに行って受けていました。特に口述乱取り講座は面白かったです。厳しい先生がいて、でも、何回もその先生のところで練習をしました。本番と同じホテルで行えるのはモチベーションが上がって、とても良かったです。口述対策までくると、カリスマ講師と沢山会えるので、そのことも私のやる気に拍車をかけてくれました。
利用して良かったLECのテキスト・過去問集等の名称と具体的な感想
体系別短答過去問、短答アドヴァンステキスト、口述オールインワンテキストが特に良かったと思います。
短答アドヴァンステキストについては、もはや弁理士試験においてこれに載っていないことはないんじゃないかってくらい充実しています。
口述オールインワンテキストは、青本、審査基準、改正本、基本書等の必要なところがうまく抽出されています(これをやれば、論文の趣旨対策にもなります)。
勉強開始〜最終合格までは法文集とLECのテキスト等を使っただけで、青本等は全く読んでいません。青本の通し読みは短期合格の上では非効率だと思います。
短答式試験対策で気をつけたこと
高橋先生が講義の初めのほうで、「一発で受かるには、このクラスで1番にならないといけない。」とおっしゃいました。一発合格しか頭になかったので、その言葉を頭に入れ努力をしました。そして、短答本試験ではクラスで1位の点数をとることができました。私は、理解するのが遅く、そのため、人一倍努力したつもりです。
勉強を始めた頃に、3年分の合格体験記を集め、1〜2年で合格した人に共通する勉強方法や考え方をマーカーで洗い出しました。短答に関しては多かったのは、10年分の過去問を7〜8回こなすということでしたので、私もそうしました。次に多かったのは講義音声を何度も聞くということでしたので、短答本試験までに、高橋先生の講義音声を3回、宮口先生の講義を2回、聴講しました。
年明けからの答練に関しては、全て時間通りに出席し受験しました。名古屋からは一発合格者が私を含め3人でましたが、今思えば、この3人は答練をしっかり出席して受けていたように思います。
短答の知識は、その後の論文試験、口述試験にもかなり影響します。また、短答試験さえ受かれば最終合格がぐっと近くなると思います。よって短答は45点以上を目標にして余裕で受かるべきです。
弁理士試験が、「1+1=?」の一問だけなら、確実に合格します。だとしたら実際の試験との差は何なのか、それは高橋先生が教えてくれました。
正直、本試で根詰めて考えてる時間はありません。「1+1=2」ということが一瞬に、無意識にでも解けることと同じように、短答式試験でもそういう状態にもっていかなければ、受からないと思います。
論文式試験対策で気をつけたこと
点数につながる文章を書くには、条文等から離れてはならず、条文等に則して論じなければなりません。題意把握も重要です。
高橋先生の論文フォーマットゼミでは、即時に題意把握を行わせ、同一・類似な作業を高速で回転させる講義構成となっています。もはや筋トレです。しかしこの筋トレを乗り越えると、勝手に文章が頭に浮かんでくるようになります。
また、ゼミではミニ模試のようなものがあり、受験者全員の名前と点数の公開&上位5名の答案のコピーがまわります。これは向上心(羞恥心)のある人なら、お尻に火がつきます。高橋先生の望むように勉強をすれば、合格せざるを得ない状況に勝手になります。
おかげで私は、本番では全科目で時間が余るほど余裕をもって書ききることができました。
口述試験対策で気をつけたこと
とにかく場数をこなすことだと思ったので、過去問(口述アドヴァンステキスト)を3回まわす、主要条文を暗唱する(35個くらい)、口述オールインワンテキストを7回まわす、ということを行いました。
さらに、各会派の模試で参加できるものは全て参加し、受験機関の模試も幾つか受験しました。すると、そのうち飽きました(それくらい慣れました)。
折衝は好きですし、本番では受かる自信しかなかったので、あまり緊張しませんでした。
実際に、特許も意匠も1ベルが鳴る前に雑談まで進み、その時点で最終合格を確信していました。
ところで、論文式試験が終わった後は、合格発表まで3ヶ月弱もあるのですが、その間でも毎日コツコツと勉強すべきだと思います。私は、もし論文がダメだったとしても、今の勉強は必ず来年への力になると思って、勉強し続けていました。
通学、または通信での受講のメリットとデメリット
通学だと、同じ目標に向かっている仲間がいることが非常にメリットです。ですがその反面、意識の低い人や明らかに短期合格とは方向性が違う人とも関わってしまう場合もあります。私は、合格から逆算して人付き合いをしていました。
また、先生に質問できるのはメリットです。分からないことが分かるということだけではなく、分からなくてもいいことも分かるからです。
一方、通信では宮口先生と義村先生にお世話になりました。通信では、聞き逃したり、理解できなかったところをすぐに巻き戻してみることができるので、時間はかかりますが、深く理解することができます。また、勉強終盤では、2倍速で聴講し活用しました。短答で特実と条約は鬼門だと思っていたので、その科目は宮口先生の講義を何回か倍速で聞いていました。
仕事や学業、家庭と勉強の両立のコツ・時間活用術など
どんなに集中しても、1時間半以上良い状態を保つことはできないので、こまめに休憩を入れていました。1日勉強時間が取れるときは、勉強→仮眠→勉強→仮眠…を繰り返して、全体としてひとつのまとまった勉強時間が確保できるようにしていました。よく、1週間のうち1日は全く勉強しない日を作るといいという話もありますが、私は勉強に関してはストレスがたまらなかったので、そのような日は特に作りませんでした。私は結婚もしていませんし、勉強中は真剣な交際相手も作りませんでしたので、比較的自由な時間は多かったと思います。
今、合格して思うこと
あっという間でした。いろいろな方の支えがあってここまでくることができました。少しずつお返しをしていきたいと思います。
宮口先生が「どんなにつらくても、合格すれば全部いい思い出になるから」と言っていたのですが、本当にそう思います。
ですが、まだ弁理士として何か金銭的な利益が発生しているわけもないので、これから知的財産法に骨を埋めて邁進したいと思います。
これから弁理士を目指す方へのメッセージ
努力することは必至ですが、私は何より気持ちが大事だと思います。受かりたい、誰かのためになりたい、親を安心させてあげたい…。
皆様のインセンティブは何でしょうか。強く願って望むことが合格への近道になると思います。
全般的な勉強方法など
私は転職期間があったこともあり、勉強時間は確保できた方です。毎日勉強時間を記録していたのですが、三次試験を受験するまでに約2,500時間の合計勉強時間となりました。でも、1年目だったら2,000時間くらいで受かる気がします。しかし、1,000時間以下では鬼才じゃない限り難しいと思います。何が言いたいかというと、おごらずに、方向性さえ間違えなければ、努力が必ず反映される試験だと思います。
とはいっても効率的に勉強することは大事で、私は一時期、脳の使い方の本(某メンタリストの…)や勉強方法の本を読み漁ったこともあります。たいてい最終的には反復練習に行き着くのですが、その人に合った効率的な勉強方法は必ず存在すると思います。
また、この試験は素直な人が受かると思います。性格もとても重要だと思います。
以上、辛口なところもあったかと思いますが、なるべく素直に書きました。
これを読まれている方のご参考になれば幸いです。