一石二鳥だった社会人の試験勉強
N・Dさん
年齢 | 36歳 |
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受験回数 | 1回 |
職業 | 会社員 |
出身校 | 国際基督教大学 教養学部 社会科学科 |
受講講座 | 1年合格ベーシックコース+アウトプット完成コース |
- ※掲載年齢について…掲載している合格者の方々の年齢は、2015年度弁理士試験の最終合格発表日(2015/11/12)時点のものです。
弁理士を目指した理由
知り合いの弁理士の話を聞いて、興味を持ったのがきっかけです。それまでは、知財とは関係のない仕事をしていて、文系出身ということもあり、開発等で特許に触れるということもありませんでした。興味を持ってから、他の士業も含めて色々調べましたが、現職で技術者のお話を聞く機会があり、技術の世界に近い弁理士の仕事がしたいと思いました。
LECを選んだ理由
ネットで調べて、最初に目についたLECのガイダンスを聞きに行きました。そこで、納冨先生の講座ではスケジュール表を頂けるので、勉強のスケジュール管理がしやすいのが特長と伺い、怠け者の私には先生の講座が良いと考え、選びました。
入門講座のカリキュラム・テキスト・講師について
納冨先生は論理的に説明してくださるため、理屈で理解することができました。法律の勉強を全くしたことが無い私でも、納冨先生のご説明は分かりやすかったです。この理屈で理解する勉強方法のおかげで、ただ漠然と暗記するのではなく、先生のご説明とともに頭に入っていくため、記憶に残りやすかったです。
また、納冨先生は、入門講座の復習方法として最低2回は音声データを聞くようにおっしゃいました(生講義と合わせて計3回)。納冨先生の口調ははっきりとしていて、重要なことは何度も強調してお話されるため、頭に残りやすいです。その時は、耳から情報を入れることにどれほどの効果があるか分かりませんでしたが、実際、論文本試でその効果が発揮されました。パリ条約の優先権の趣旨と、マイクロフィルムが刊行物かを問う問題は、論文試験対策としてはきちんと勉強していませんでしたが、頭の中で納冨先生の声が聞こえてきて、何とか書くことができました。先生が説明してくださったことが、記憶の奥に残っていたためだと思います。
短答試験対策で気をつけたこと
納冨先生は、2月に短答基礎力完成講座が終了してから短答本試までの勉強スケジュールをくださいます。基本的には、それに沿って勉強するようにしました。ただ、3月は仕事が忙しく、平日は1時間、休日も4時間ほどしか勉強できませんでした。そのため、予定スケジュールからかなりビハインドしてしまいました。それでも諦めずに、4月になってからできるだけまとまった時間を取って巻き返しを図りました。そして、重要でないところは思い切って手を抜くことにしました。手を抜くと言うと聞こえが悪いですが、言い方を変えると、重要なところは重点的にしっかりやるという意味です。
また、本試一か月前になると、あまり重要でない細かい点が気になりだしますが、我慢してそういったニッチなところには手を出さないように気を付けました。私の場合は本試一か月前の模試の成績も悪くて(最後の模試の結果は20点台)、合格点に達したことが一度も無かったため、余計なことに手を出す余裕が無かったことが、却って幸いしたと思います。
過去問は人よりもこなす回数は少なかったと自覚しています。その分、過去問を解く際には問題の出され方を意識するようにし、本試一か月前は過去問には手を出さず、ひたすら条文の読み込みをしました。どういう問題で出されそうか予想をしながら、意識して読むと、重要な箇所だけに注力することができました。
論文試験対策で気をつけたこと
【必須科目】
まず、諦めないことです。
一年目の人たちはやはり論文を書く回数も少ないです。短答試験終了後に趣旨などの暗記を始め、短答試験が終了した2日後には、中上級の方たちと一緒に論文直前答練を受けました。問題の難易度も高いため、試験中に帰りたくなったことが何度もありました。ただ、全然だめだった、途中で帰りたいと思った答練の結果が意外に良かったことがあり、相対評価ですし、諦めてはいけないと途中から思い始めました。論文直前答練、論文公開模試から逃亡したくなることがあると思いますが、全然分からなくてもとにかく逃げずに何か書いてください。
次に、論文試験の目的を見失わないことです。納冨先生はいつも、問いに答えること、とおっしゃっていました。論文試験は、どれだけ知識を知っているか披露するのではなく、知識の使い方を問う試験です。
配点も高い項目と低い項目があります。短答試験が終わってからの40日で、答練や模試を復習する中で配点の高いところ、低いところを何となく意識するようにしました。合格することが目的ですから、そういった訓練も必要だと思います。
【選択科目:著作権法】
選択科目である著作権法の勉強は、年末年始に少し短答の勉強も兼ねて行いましたが、それ以外はまったく勉強しておらず、必須科目試験終了後の三週間で集中して勉強しました。必須科目試験終了後に初めて論文を書いて、自信は無かったですが、あまり結果がどうなるか考えないようにしました。とにかく今できることをしようと思い、淡々とLECの著作権対策講座と答練を解きました。
また、書く量が少ない分、回答例を見て、できるだけ書き方のコツ、スタイル(知識部分ではなく)を体得するようにしました。
通学講座のメリット・デメリット、仕事と勉強の両立のコツ
【通学講座のメリット】
通学スケジュールが決まっているので、勉強のリズムが作りやすいです。強制力があるため、怠けやすい私には通学の方が合っていました。
【通学講座のデメリット】
仕事が忙しいと通うのが難しい点です。往復の時間も取られますし、通信であれば倍速で聞くこともできますが、通学の場合、時間の自由度は低いです。
【仕事と勉強の両立のコツ・時間活用術】
試験勉強を始める前に会社に人が増え、それほど忙しくなくなったこともあり、また、試験勉強を始めたことによって、仕事を効率的に行うようにしたことで、残業はそれほどありませんでした。そのため、家に帰ってからまとまった時間で勉強することが多かったです。ただ、短答直前期の入り口であった3月は仕事が忙しく、ほとんど勉強することができませんでした。それに伴いモチベーションも下がり、隙間時間を使う気力もなくなってしまいました。それでも、4月に仕事が落ち着いてから上手く仕事のスケジュールを調整して有給休暇を取り、まとまった時間で一気に取り戻すようにしました。
職場環境や人それぞれの性格によって違うと思いますが、私はあまり隙間時間を使うのが得意ではなかったため、その分まとまった時間が取れる休日は集中して勉強し、仕事を効率的に行って残業をしないようにしていました。
今、合格して思うこと
特許庁に合格発表を見に行き、自分の番号を見た瞬間は嬉しかったです。社会人になってから仕事の達成感とはまた違う喜びを味わえたのは、幸せなことだと思います。社会人の方が時間の使い方も上手でしょうし、試験勉強をすることにより、結果的に無駄なことをすることが減ったので、一石二鳥でした。
これから弁理士を目指す方へのメッセージ
勉強している間はいろいろなことが気になり、不安になります。また、私のように周囲に伝えずに勉強をしている方は、孤独を感じることもあると思います。そんな時はあれこれ手を出したくなりますが、先生はプロですから、やはり信じて進むことが合格への最短の道だと思います。特に、やるなと言われたことはやらない勇気が大事です。
何とかなると信じて、今目の前のことに注力してがんばってください。