入門講座を徹底復習
廣瀬 郁夫さん
年齢 | 31歳 |
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受験回数 | 1回 |
職業 | 特許事務所勤務 |
出身校 | 京都大学大学院 農学研究科 |
受講講座 | 1年合格ベーシックコース+アウトプット完成コース、中上級者向け講座 |
- ※掲載年齢について…掲載している合格者の方々の年齢は、2015年度弁理士試験の最終合格発表日(2015/11/12)時点のものです。
弁理士を目指した理由
物心ついた頃には弁理士を目指していました。幼少の頃、将来の夢は弁理士になることだと文集に書いた記憶があります。といっても、これは弁理士の父に憧れていたに過ぎず、弁理士が一体何者であるのか知ったのはずっと後のことです。
弁理士には、様々な分野の新しいアイディアや技術等に触れ、これを理解することが求められますが、モノを理解するということは非常に面白いと思います。そして、種々の研究開発の成果を世の中に適切に還元できるよう貢献したい、という思いから、弁理士を目指そうと考えるようになりました。
LECを選んだ理由
『一般初回受験合格者5人に4人がLEC出身』という圧倒的な実績を見た瞬間、LECで勉強することを決意しました。1年合格を志す私にとって、その数字は他の予備校等を検討しないのに充分なものでした。
本質的な部分からきっちり学習したかったので、パンフレットを見てピンときた佐藤先生の1年合格ベーシックコースを選択しました。
入門講座のカリキュラム・テキスト・講師について
佐藤先生は仰いました。1年合格するには一般的な受験生の2、3年分の分量をインプットしなければならない、そしてこのコースではそれをするのだ!これを聞くと、分量が多過ぎると不安に駆られるかもしれません。しかし、数年かかるのが当たり前の弁理士試験。歴戦の受験生相手に勝ち抜かなくてはなりません。これに正面から立ち向かえるということは、寧ろありがたいことでした。後はやるだけです。色々と不安な時に、この話をよく思い出したものです。
佐藤先生の講義は知的財産権法の面白さを味わいつつ、弁理士試験に必要な知識や考え方を余すことなく得ることが出来るものでした。私は特に入門講座を折に触れて何度も何度も聴き直しましたが、驚くべきことに、聴く時期によってその味わいが全く異なるのです。コースが進んで法律相互間の関係性が分かり比較が出来るようになった上で聴くと、最初の頃はそんなものかな、と思って聞き流していた話に深く納得をすることができ、感動すら覚えるほどです。
また、アドヴァンス通学等の口頭で次々当てていくゼミ形式は厳しいものでしたが、臆せず挫けず取り組み、徐々に自信を得られるようになりました。さらに、年明けには法改正部分まで念入りに解説して下さったおかげで、本試験でも改正関係は全く苦になりませんでした。
テキスト類は冊数が多く厚さもなかなかのものですが、それぞれ必要な情報がまとめられているので重宝しました。講義外では、必要に応じて参照するというように辞書的に使用していました。
短答試験対策で気をつけたこと
目標は60点!結果は54点でした。必要以上に高得点を取っても仕方のない面もありますが、満足いく点数をとれたことで弁理士試験に対する自信を得られ、論文や口述にも良い影響が出たと感じています。
短答では各枝の題意をとって趣旨から解く、1問を深く解くことが大事だと教わりました。初めは題意というものが良く分かりませんでしたが、少なくとも何条に書いてあるから○、条文の要件を満たしていないから×といった形式的な理由ではなく、何故こうなるのかといった実質的な理由から解答を出すことを心がけました。正誤の判断が困難な場合でも、出来うる限りの知識や記憶を頼りに検討し、自己の考えに基づいて結論を出して解答し、講義やテキスト等の該当箇所を即座に確認しました。これを続けるうちに、やがて出題者と対話するイメージで解答できるようになり、安定して好成績を収めることができました。
論文試験対策で気をつけたこと
短答は自信があった一方、論文は最後まで自信がありませんでした。まず、時間がシビアであるということと、自己採点が困難であるということ、そして本試験の採点基準や採点実感等も公表されておらず、情報も様々。手応えの薄い試験です。おまけに自分の字は見るに堪えず、苦痛との闘いでもありました。
気をつけたこととしては、過去問の入念な検討と、情報収集です。
情報収集については、とりわけ周囲の受験生がどういった答案を書くのかを把握しました。どの程度の知識があり、どの程度の記載量か。LECは受講生数が多いため、この辺りを把握するのに最適でした。ゼミ等は受講しませんでしたが、佐藤先生が唯一1年コースとは別で受けるべきと仰った、年明けから始まる論文実戦答練は受講しました。この答練を通じて自分の論文観が形成されて、論文の目標地点が把握できました。
最終的には、確固たる論文のスタイルは持たず、種々の情報や経験に基づいた様々な書き方から、場面や状況に応じて適宜選択しながら書き進めていきました。臨機応変と言える程の柔軟性はありませんでしたが、短期決戦の対策としては有効だったかと思います。
その他として、ボールペンでの筆記に限界を感じたため、本試験1月前に初めて万年筆に挑戦しましたが、これは正解でした。なんでも試してみるものです。
通学講座のメリット・デメリット
先生にお会いできます!これがまさに通学講座のメリットです。他にも、周囲の中で自分の位置を把握できることや、勉強仲間を作ったりライバル意識を燃やしたりできることも大きなメリットです。渋谷の街にも少し詳しくなれました。
しかしながら、いくら講義を受けるのが好きであっても、休日に1階の映画館を尻目にエレベーターに乗り込むのは時に辛いものでした。受かったら観に行く、と言い聞かせ我慢していました。受かったので行ってみようかと思います。また、講義に出席して時間を過ごすと、内容が頭に入っていないのにやった気になってしまうおそれがあります。わざわざ足を運んだ1回限りの生の講義、集中して最大限の成果を得られるよう努めました。
今、合格して思うこと
最高ですね。万々歳です!やるからには一発合格!と掲げて臨み、これを果たせた達成感は大きいです。紅葉を満開の桜に変えてしまいたいくらいです。それと同時に、一抹の寂しさも感じます。佐藤先生の講義を仲間と共に受けた日々はやはり楽しかったです。短い期間ではありましたが、LECに通い勉強したことは、大きな経験になりました。感謝の念は絶えません。
これから弁理士を目指す方へのメッセージ
弁理士というと特許のイメージが強く、私も初めは特許のことしか頭にありませんでした。しかし、知的財産権というのは想像以上に幅広く、奥深いものです。是非とも知的財産権法の面白さ、味わい深さを感得しつつ、合格してほしいと思います。勿論試験合格という至上命題がある以上、必要以上に入り込むことは得策ではありませんが、この面白さが分かると弁理士が一層魅力的に思えるようになり、結果的に試験勉強も効率的になると思います。
そしてそのためには、枝葉末節ばかりにとらわれず、根幹にあるものを会得することが大切です。私は基本書や判例集、民訴の準用やPCT規則等も含めて勉強しましたが、これが生きるのも入門講座等の基本の内容がベースとしてあってこそだと思います。
どうか瑞々しい気持ちを忘れず、合格できる自分の姿を思い浮かべながら、心に火を灯しつつ前向きな気持ちで勉強していってください。