有限にして完成度を高める
Y・Iさん
年齢 | 28歳 |
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受験回数 | 1回 |
職業 | 弁理士事務所勤務 |
出身校 | 東京大学大学院 工学系研究科 システム量子工学専攻 |
受講講座 | 1年合格ベーシックコース+アウトプット完成コース、中上級者向け講座 |
- ※掲載年齢について…掲載している合格者の方々の年齢は、2013年度弁理士試験の最終合格発表日(2013/11/7)時点のものです。
弁理士を目指した理由
弁理士事務所に入ったためです。弁理士資格を取ることが半ば当たり前の環境であり、また試験制度が変わって将来取ることが困難になるという噂もあったため、早めに目指しておこうと考えました。
LECを選んだ理由
Webで情報収集をした結果、短答アドヴァンステキストなどの評価が大変高く、LECは教材の質が良いのだろうとの印象を受けていました。さらに、事務所の同僚の大半がLECに通っていたため、LECを選択しました。通勤経路の都合上、水道橋が最も便利だったので水道橋にしました。
水道橋は納冨先生ご担当でしたので、運よく納冨先生に教えていただくことになりました。
入門講座のカリキュラム・テキスト・講師について
入門講座に申し込んだのが2月で講義スタートが4月でしたので、講義がスタートするまでの間、1年前の特許法の入門講座をWebで受講できる特典を利用して勉強しました。週末に1コマWebで受講し、その音声を録音しておき翌週平日の通勤時間で5回ほど繰り返し聞いていました。
この予習によって、4月以降にスタートした入門講座にすんなりついていけたと思います。入門講座がスタートしてからも同様に、水曜と土曜に受講して、その音声を通勤時間で2回を下限として繰り返し聞いていました。音声を聞く際は、必ず講義の進行に合わせてテキストを見ながら聞き、聞き逃したところや分からなかったところ、違和感を覚えたところは巻き戻して聞いていました。
通学講座のメリット・デメリット
通学講座は、講師に直接質問することができます。直接質問をすると、分からないことを解消することができますし、ディスカッションしていくことで自分が分かっているつもりだったけど間違って覚えていたことが判明したり、講師の考え方を知ったりすることができます。メール等でも質問することはできると思いますが、ディスカッションできることは大きなメリットだと思います。
仕事と勉強の両立の仕方
自宅では集中できなかったので、決まった勉強場所と決まった勉強時間を確保したことで仕事と勉強を両立することができました。
私は事務所で勉強することが許されていたので、平日は始業2時間前に出社して勉強し、休日は1日中事務所で勉強していました。論文直前期は、さらに自宅近くの自習室を借りて勉強していました。
短答試験対策で気をつけたこと
短答試験対策としては、とにかく四法対照を読み込みました。読み込みは、条文ごとに要件、効果を把握して、条文を見ずに挙げられるようになるまで行い、挙げられるようになってからも繰り返し読み込みました。四法対照には、条文の要件ごとに番号を振って、番号順に要件を区切って覚えていきました。勉強が進むにつれて区切るところが変わるので、番号はボールペンで書かない方がよいです。
他にも、四法対照には、類似する条文をまとめた表を書き込んだり、テキストの時系列を転記したり、条文を模したオリジナルのイラストを描いたりしていました。蛍光ペンなどによる色分けは行わず、納冨先生にマーカーを引くよう言われた本当に大事なところだけにマーカーを付けていました。
また、過去問は、納冨先生に指示された領域を過去3年分に絞って行い、正解でも不正解でも必ず解説を読んで知らないことや間違って覚えていることが無いかを確認した上で、聞かれた以外の要件も含めて条文を見直しました。
年内に上記の方法で勉強を行い、年明けに1年前の過去問を解いてみたところ合格点に到達していたため、この勉強方法は正しいと確信し、以降も継続しました。
論文試験対策で気をつけたこと
自分がよく間違えるところや、採点者から指摘されたことをまとめたノートを作り、答練前に見直すことで、同じ間違いを2度と繰り返さないようにしました。年内に所属していた水崎先生の論文ゼミで教えていただいた内容、例えば構成のやり方もこのノートに書き込んでおくことで、1度定着したプロセスが抜けることを防ぎました。
答練後は、必ず構成を見直してプロセスを修正していました。例えば、チェックリストの項目に不足があれば追加し、公知行為に見落としがあれば時系列の書き方を工夫し、問題文に読み落としがあれば印の付け方や蛍光ペンを引く箇所を工夫しました。そして、正しく構成ができるようになるまで、またその後も忘れないようにするために、繰り返し構成を行いました。それでも間違う点は、チェックリストにして答練開始直後に問題用紙に書いて自分にリマインダしていました。
また、採点結果を見直して、採点者の指摘を確認したり、自分が書いたつもりだけど採点されなかった箇所の有無や、想定よりも点が低かった箇所を確認したりして、その都度プロセスを修正しました。例えば、採点者に分かりやすいよう項目分けを工夫したり、根拠条文を細かく入れたりするようにしました。
本試では答練や過去問と同じ問題が出ることはありません。よって、自分の間違いを積極的に見つけてどんどんプロセスを修正していくことで、どんな問題でも解ける解答プロセスを作り上げることが重要だと思います。
合格して思うこと
納冨先生は、「有限にして完成度を高める」ことを推奨されており、何をすべきで何をすべきでないかまで指導して下さったので、やるべきことの選択を先生に任せて完成度を高めることだけに注力しました。
納冨先生に言われたことをやらなかったこともありましたが、例外無く後で苦労して取り返すハメになりました。「有限にして完成度を高める」は真理だと思います。また、おそらく納冨先生に限らないことと思いますが、講師にやるよう言われたことを100%実行するようにすることが、合格の近道であると思います。
これから弁理士を目指す方へのメッセージ
今までずっと理系でしたので、法律という新しい物事を学ぶことが面白く、勉強することがあまり苦ではありませんでした。もちろん遊べないことは苦でしたし、弁理士試験のために犠牲にしたことも多々あります。しかし、弁理士試験のためにした勉強は、弁理士になってからの人生の大きな糧になると思いますので、迷うことなく自分の道を進んでいただければと思います。