仕事をしながらの合格
S・Kさん
年齢 | 32歳 |
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受験回数 | 1回 |
職業 | 会社員 |
出身校 | 東京大学大学院 工学系研究科 物理工学専攻 |
受講講座 | 1年合格ベーシックコース+アウトプット完成コース、中上級者向け講座 |
- ※掲載年齢について…掲載している合格者の方々の年齢は、2013年度弁理士試験の最終合格発表日(2013/11/7)時点のものです。
弁理士を目指した理由
会社に入社以来、エンジニアとしてキャリアを積んできました。しかし、電機業界の先行きに対する不透明感や、純粋な技術者としてのみのキャリアに人生をかけることへ一抹の不安を感じておりました。そこで、エンジニアとしての経歴を生かしつつ、今後の人生におけるキャリア選択の幅を広げる為、弁理士試験の受験を目指すこととしました。
LECを選んだ理由
自分は2012年の秋から勉強を始めたため、他の受験生より勉強時間が限られていました。
そこで、①短時間に必要不可欠なINPUTが可能か否か、②入門→論文→短答と繰り返し説明をしてくれる授業はないか、③丸暗記よりも法律として理解させてくださる授業はないか、を主要な観点として講座探しをしました。
具体的には、幾つかの予備校のパンフレットを取り寄せ、体験DVD等を視聴しました。LECの講座は、①入門講座、短答速習講座講義、論文基礎力完成講座の3回をDVDと生講座の計6回繰り返し、②佐藤卓也先生の論理的な説明により、お話を聴講するだけで、理解が進み記憶に残りやすい、と思いましたので、LECを選択しました。
入門講座のカリキュラム・テキスト・講師について
正直、入門テキストと論文基礎力完成講座のテキストは余り使いませんでしたが、佐藤卓也先生の入門講座のDVDと生講義の授業が素晴らしかったです。
佐藤先生の入門講座でのお話は、短答試験に必要な知識を超えて、法律の内容、佐藤先生の言葉で言うところのコアを説明して下さっています。そのコアを理解する過程で、「この法律ならこう考えるはず」という考え方が習得できました。理解が進んだ後に、短答基礎力完成講座を聞く為、知識の定着が早かったと思います。お陰さまで、1通りの授業が聞き終わる頃には、1部の論文用の暗記事項以外は、他の方に引けを取らないところまで、知識を身につけることが出来たと思います。
通信講座のメリット・デメリット
メリットは、自分のリズムで聞くことができることです。とにかく数多く聞く必要がありましたので、隙間時間をみつけては、スピードアップして何度も聞くように心がけました。
デメリットは、自分は特にありませんでした。佐藤先生の授業が面白かった為、モチベーションの維持という点で苦労しなくて済んだのは助かりました。
短答試験対策で気をつけたこと
自分の中でポイントは4つです。
①問題をとにかく解くこと。②とにかく聞くこと、場面想定と妥当性がイメージできるまで聞くこと。③どうしようもない事柄は、完璧に暗記すること、④条約は捨てないこと、です。
①よく言われることですが、授業を聞いているだけでは、分かった気になっているだけで、身に染みて理解できていない場合が多々あります。知識がインプットされていても、アウトプットできなければ、人に説明できないことと同じで、この状態では他人(試験)からしてみれば、理解していても理解していなくても差が無い状態となりかねません。インプットした知識をスムーズに自分の思考の1部として使う訓練として、とにかくアウトプットは必要だと思います。
②全ての短答内容を所謂、丸暗記するのは大変だと思います。まずは、法律の言葉が自然な言葉として、暗記というよりも当たり前のことを当たり前に話していると、思える程度になるまで、佐藤先生の話を聞くことが大切だと自分は思います。極端な話、法律の言葉が日本語と同じぐらい、又は普段の仕事で話している言葉と同じぐらい自然な言葉に聞こえる場合を想像して頂ければ分かっていただけるかと思います。また、法律は非常識なことは書いていないはずですので、場面想定をして、妥当性を意識することも心がけました。
③とはいうものの、丸暗記が必要な部分もあるかと思います。1年に1度の試験で中途半端の暗記で賭けをするのは適切でないと思いますので、丸暗記する項目と決めたら、完璧になるまで暗記するようにしました。
④条約は最初のうちは理解しづらい部分もあったのですが、佐藤先生の下三法講座によって、条約もだいぶイメージができるようになりました。条約は10点もありますし、本年までの出題内容は難しくありませんので、捨てるのは勿体無いと思います。参考としまして、自分は10年分の過去問を解けない問題が無くなるまでつぶし、短答実戦答練も同様に全ての問題が解けるまで全てつぶしました。結果として、本年の試験では48点を頂きました。
論文試験対策で気をつけたこと
3つポイントが自分の中にはあります。
①自分の言葉で書かない。②覚えるものは覚える。③とにかく書くこと。
①論文試験という言葉に惑わされそうですが、基本的に自分の言葉で書くべきなのは事前の検討か、接続詞、助詞などのつなぎ言葉ぐらいなものだと思っています。趣旨を書くならば、基本書か青本に記載の論理やキーワードをで書くべきですし、法律的なことを書く場合は条文に沿って条文の言葉で書くべきです。また、事実関係を記載する場合は、問題文に記載されている言葉で書くべきだと思います。自分の言葉で曖昧に書くほど、根拠が弱い文章となりかねないと思います。
②判例や、青本記載の論理構成とキーワードは、丸暗記する必要があると思います。裁判所のの判決文や、専門官庁である特許庁の公式見解を勝手な自分の言葉で書き換えたりするのは、余りに心象が良くないかと思います。覚える必要があるものはきちんと覚える必要があると思います。
③書くスピードも重要だと思います。問題文を考える時間により多くの時間を割くことが可能になりますし、記載量が見劣りすることを防ぐ為です。これには、ある程度書き込む必要があると思います。参考としまして、以下のスケジュールで自分は取り組みました。年末までは入門講座と短答基礎力完成講座に専念、年明け1月から3月中頃は論文実戦力完成講座に取り組み、3月中頃以降は短答に再度専念をし、論文に再度取り掛かったのは短答試験後でした。その為、過去問は殆ど手付かずであり、変わりに短答後は毎日答練の論文を書いていましたし、休日は文字通り朝から晩まで論文を書いていました。ただ、その中でも判例と青本のキーワードは丸暗記するようにしました。また、短期でしたが書き込みをしたお陰か、本試験では記載量はそこそこありました。
合格して思うこと
ほっとしました。ただ、今は弁理士の人数が多い時代ですので、弁理士資格だけでは食べていくのは大変なのではないかと気を引き締めています。早速、実務書などを買い漁り、実務の習得や情報収集に精進して参りたいと思っています。
これから弁理士を目指す方へのメッセージ
自分は社会人をしながら受験勉強をしたのですが、隙間時間を見つけてとにかく勉強をするよう心がけ、仕事が忙しく勉強時間が取れなくとも焦らないようにしました。また、集中して勉強できる時間は本当に大切にするよう心がけました。皆様も是非、合格されて共に弁理士の同僚として働ける日を楽しみにしています。