試験勉強を振り返って
甲原 秀俊さん
年齢 | 28歳 |
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受験回数 | 1回 |
職業 | 特許事務所勤務 |
出身校 | 慶應義塾大学 理工学部 |
受講講座 | 1年合格ベーシックコース+アウトプット完成コース、中上級者向け講座 |
- ※掲載年齢について…掲載している合格者の方々の年齢は、2012年度弁理士試験の最終合格発表日(2012/11/9)時点のものです。
弁理士を目指した理由
私が弁理士を目指したのは、携帯電話業界における特許抗争を通じて特許権や意匠権といった知的財産権の重要性を実感し、これに携わる仕事をしたいと考えたためです。前職では携帯電話の開発に携わっておりましたが、国内メーカーにとって製品のグローバル展開が必須と言われているところ、海外他社による権利侵害訴訟や大規模な特許買収等などの事例も報道されており、今後、知的財産の重要性は一層増していくことは明らかであり、弁理士試験は難易度が高いという認識は当然持っていましたが、自分にとって新しい分野にチャレンジしたいという思いもあり、弁理士を目指しました。
LECを選んだ理由
弁理士試験合格者数の多いLECの講座を受けようと思い、4月末に宮口先生の講座説明会に参加しました。宮口先生は非常にフレンドリーであり、やる気を引き出してくれる方です。法律を学ぶにあたって理系出身の先生であるということも自分に合っていると感じ、この先生についていけば大丈夫だ!と即日受講を決めました。
入門講座のカリキュラム・テキスト・講師等について
まず入門講座では、テキストと宮口先生オリジナルレジュメの両方を使って試験科目の全ての法域を勉強していきます。テキストは制度の全体像が掴みやすい構成であり、法律知識ゼロの自分にとっても体系的に理解していくことができます。一方レジュメは論文対策を兼ねる程に深い(時にマニアックな)内容となっており、この両方をWeb講義と生講義で同時に進めていくのは正直なところ非常に大変であります。しかし、宮口先生は休憩時間や授業後のみならず、LECにいらっしゃる時はいつでも熱心に質問を受けて下さり、遅れた分はやる気さえあればカバーできる環境が非常に助かりました。
論文基礎力完成講座では、論文を全く書いたことがない自分でも確実に力をつけていくことができるような構成となっていました。この時期にいきなり過去問を見たりするとその問題の分量に委縮してしまいますが、テキストの問題はテーマを絞った短い問題を中心に構成されています。また論文の型等の書き方も、宮口先生の講義やレジュメ、答練の採点を通して学ぶことができました。
次に、短答基礎力完成講座は、テキストに全ての法域の全ての条文一つ一つについて、本試験レベルの細かい内容まで記載されており、非常に有用なものです。私は短答試験のみならず口述試験の準備でもテキストを読み直しました。実際、一度読んだ程度では内容を覚えることは難しいため、条文理解のために辞書的に使用すること多くありました。
通学講座のメリット・デメリット
通学の一番のメリットは、同じ講義を受けている同期と接することで、自分の勉強の進度をその都度認識できることです。やはりクラスの中でも勉強の進度、理解度は人それぞれであり、周りを見回して自分がどの程度の位置にいるのか把握することは、勉強のペースを調整するのに役立ちます。また、勉強の大枠のスケジュールが乱れないことです。Web講座では忙しさ等を理由につい後回しにしてしまうことがあります。もちろん通学講座でも欠席した場合はビデオで復習可能ですが、毎週コンスタントに講義に参加していくことが短期合格に繋がると思います。
逆に通学のデメリットとしては、特に平日の講義の場合、当日になって仕事の都合で受講できなくなるということがしばしばありました。
短答試験対策で気をつけたこと
年末が近づいてくると、講義中に宮口先生はこう仰います。「短答対策だけに絞るのか、論文まで見据えて勉強していくのか、そろそろ決めていく時期です!」。宮口先生に直接質問しに行くと口頭で条文のテストをして勉強方針を考えて下さるのですが、これは短答に絞ったほうがいいなあ、とのコメント。悔しさで一杯でしたが、これを機に短答の勉強の仕方を変えました。年末くらいの時期になると、普通に勉強していても新しく覚える量と忘れていく量が拮抗するようになります。これではいつまでたっても望みがないと感じ、短答過去問の特定分野毎に集中して2、3回こなしていくようにしました。初めは1問5枝で3時間くらいかかり、焦る気持ちもありますが、結果としてこの勉強方法が自分には合っていたと思います。また忘れていく量を少しでも抑えるために、携帯や単語帳等すぐに取り出せるものを活用し、気になった時にすぐ調べられるようにしておくことも効果的でした。勉強方法は人それぞれ向き不向きがあると思いますが、いずれにせよ、ただ時間をかけて勉強するのでなく、記憶に強く残るような実効的な勉強時間を意識することが大事だと思います。
論文試験対策で気をつけたこと
論文は一日にして成らず、と宮口先生は仰います。私は特に文章を書くのが苦手なので、コンスタントに論文を書いていかなければどうにもならないと感じていました。年末から3月辺りまでは短答対策に重きをおきつつ、山川先生の論文ゼミも含め週に2、3問を目標に問題を解くようにしていました。モチベーションを維持できなさそうなときは、新しいボールペンを購入して試し書きの感覚で書くことも一つの方法です。内容面としては、山川先生ゼミの問題や答練講座の復習を中心に、たまに過去問というバランスでした。短答試験直前期は論文の答練講座に参加してギリギリまでペースを落とさないように意識しました。短答試験後は、過去問を全て合格点がとれるまで書く、ということをしました。その中で、論文の問題を解くに当たって最も重要なのは、出題者が何を意図しているか、題意を正確に把握することだと思いました。私は、答案として必要最小限の部分をコンパクトに書くことを常に意識しました。そのうえで、自分の答案に物足りなさを感じるようになったら、他人の答案の書き方も参考にさせてもらい、完成度を高めるようにしました。
選択科目は電磁気学を選択し、必須科目終了後に西田先生のWeb講座を受講しました。過去問の解説が中心の丁寧な内容なのですが、年度により試験制度や難易度が大きく異なるため、問題を取捨選択する必要があります。また過去問だけでは試験範囲を網羅しきれないため、適宜、大学の授業で使用した教材等を開くこととなります。
合格して思うこと
この1年を振り返ると、私は非常に恵まれた環境で勉強をすることができたと感じます。まず宮口先生や山川先生の講義は素晴らしく、先生方には感謝してもしきれません。勉強会では宮口先生クラスの同期、先輩の方々に随分助けて頂きました。論文試験後に転職した特許事務所では、所長先生をはじめ、上司、先輩弁理士の方々からお忙しい中熱心にご指導頂きました。また、家族が協力してくれたおかげで私は好き勝手に勉強することができました。合格して改めて感じることは、一年前に掲げた目標を達成できたという喜びと、ご助力頂いた皆様方に対する感謝です。この場を借りてお礼申し上げます。
これから弁理士を目指す方へのメッセージ
既に上で述べていますが、弁理士試験は片手間に勉強して合格できるような試験ではありません。しかし、弁理士試験に合格したいという強い熱意を持って臨まれる方ならば、合格までの道のりは楽しくあっという間に過ぎてしまうのではないかと思います。これから苦しい試験勉強に耐えてという考えでなく、是非楽しんで勉強をし、最終合格を果たして下さい。