運と環境のお陰で一発合格できました
入谷 健斗さん
年齢 | 26歳 |
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受験回数 | 1回 |
職業 | 特許技術者 |
出身校 | 大阪大学大学院 理学研究科化学専攻 |
受講講座 | スマート攻略コース |
選択科目 | 免除あり(修士号) |
弁理士を目指した理由・きっかけ
私は、大学院修士課程の途中まで、博士課程に進学して博士号を取得し、アカデミア又は企業で研究を続けたいと考えていましたが、金銭的な事情等により進学を断念しました。研究の道には進まないこととしましたが、サイエンス自体は好きでしたし、他人の研究の話を聞いたり論文を読んだりしてディスカッションすることが自分にとっては楽しかったので、科学や技術には何らかの形で関わり続けたいと考えていました。
そうしたときに、たまたま知り合いが特許事務所に就職したと聞いて、弁理士という仕事に興味を持ちました。研究者・発明者のアイデアを言語化・整理して、ビジネスに活用可能な権利に仕立て上げる、という弁理士の仕事につき、「面白そう、自分の志向や性格に合っているかも」と思い、速攻で特許事務所への就職を決め、そこから弁理士試験に向けた勉強を始めました。
LECを選んだ理由
LECを選んだ理由は、長年にわたって多くの合格者を輩出しており、安心感があったからです。また、(過去の合格者も含め)合格者の多くはLEC出身であるため、合格後にタテヨコの繋がりを築きやすいだろうと考えたことも理由の一つです。
LECで受講した初学者向けコースとその担当講師について
スマート攻略コースの良かった点は以下の3点です。
第1に、自分のペースで勉強を進めることができたことです。スマート攻略コースは、通学なし・Webのみの通信講座であり、どちらかと言えば各人の自学自習に重きを置いたコースでした。マイペースに(ゆっくりという意味ではありません)勉強を進めたかった私にはぴったりのコースでした。
第2に、隙間時間で効率よく勉強を進めることができたことです。Web配信形式の講座でしたので、通勤中にスマートフォンで講義を視聴して隙間時間を活用することができました。また、青本等の記載や過去問で不明点が生じたときに、Xを通じてオンラインで馬場先生に質問することができたので、LEC本校まで講師やチュータの方に直接質問しに行く手間を省けたのも良かったです。
第3に、比較的手が届きやすい価格で質の良い講義・テキストを享受できたことです。弁理士試験の受験を決めた頃はまだ学生でしたので、お金がなく、講座にあまり費用をかけることができませんでした。さりとて、安価でも質の低い講座を受講して、合格まで何年もかかったのでは安物買いの銭失いですし、むしろ長期的に見ればよりお金がかかる可能性があります。この点、スマート攻略コースは、比較的安価な価格であるにも関わらず、講義・テキストの質が大変良かったため、大変満足しております。
馬場先生は、まず『わかりやすくて面白い』という点が良かったです。「まず制度・規定のイメージをつかんでもらう」ということを重要視なさっていて、講義では図をふんだんに使用し、例え話を交えて説明してくださいました。また、説明一辺倒ではなく、時たま雑談を交えて、面白い動きを入れながら、緩急をつけてお話してくださったので、飽きずに楽しく勉強することができました。
合格に向けた方針が明確であった点も良かったです。馬場先生は、「最初は短答これ問を用いて四法対照に落とし込みをする」、「年内に四法を終わらせる」、「並行で論文や口述の過去問をやる」、「下三法は年明けから」、などなど、各時期にすべきことを明確かつ具体的に示してくださいました。ですので、勉強計画が非常に立てやすかったです。また、Xで質問した際に、試験の観点からは重要度・優先順位が低い事項を示してくださったので、枝葉末節の部分に割く時間をかなり削減できました。
LECで受講した答練について
- 論文直前答練
- 私は、通信でゼミ等も受講していなかったため、論文の演習量が圧倒的に足りていませんでした。この点、論文直前答練を受講したことで、実践的な演習をすることができました。また、答案の添削もしてくださったので、自分の答案のどこが駄目でどこが良かったかを把握することができました。
LECの教材や学習システムについて
私が受講していたスマート攻略コースでは、学習コンパスといって、毎月、馬場先生から勉強方針についてのお話がありました。学習コンパスでは、各受講生からアンケートを取り、そのアンケートの回答に対して馬場先生がコメントくださいました。スマート攻略コースは通信講座のため、他の受講生の様子は基本的に把握できないのですが、この学習コンパスを通じて他の受講生の勉強の進み具合や悩み等を知ることができました。
短答式試験対策で気をつけたこと
最初の時期は、過去問集として馬場先生の短答これ問を使用し、四法対照への落とし込みを行なっていました。この落とし込みのやり方は人それぞれみたいなところがあるようですが、私が意識していたのは、条文の文言(規範)と過去問の文言(具体的事例)との対比です。もう少し具体的には、「この問題(事例)のこの事実が、この条文のこの要件に当てはまる/当てはまらない」ということを確認していきます。これを繰り返し行うことで、各条文の適用場面を理解することができ、且つ各条文を要件・効果に整理して自然と記憶するようになります。
また、落とし込みと並行して青本を読み進めていました。各条文の趣旨や語句の意味が解説されていますので、条文の理解に役立ちました。各要件と(青本の言葉での)趣旨とを紐づけて理解することは論文・口述においても重要ですので、早い時期から青本を読み込んでいて良かったと思います。見た目が分厚く敬遠されがちなようですが、実際読んでみると意外と読みやすいのでオススメです。
落とし込みが大体終わったあとは、確認的に何回か過去問を回しました。それと並行で条文の素読を行いました。この過去問周回と条文素読の合わせ技で知識の精度がより高まったと思います。その結果かどうかはわかりませんが、例年と比べ難易度が高かった今年の短答試験でも高得点を取ることができました。
ちなみに、下三法に関しては、馬場先生の指示通り、年明け2月頃から勉強を始めました。これくらいの時期にスタートしても何とかなりますので、短答試験における点数のウェイトが高く、且つ論文・口述でも必須の四法を直前まで重点的に勉強する方が個人的にはオススメです。
論文式試験対策で気をつけたこと
論文試験対策としては、ひたすら過去問の答案構成をしました。短答試験が終わった時点では、論文答案を殆ど書いたことがない状態でした。また、スマート攻略コース以外にゼミ等を受講しておらず、スマート攻略コース付帯の論文向けオプション講座も受講していなかったため、ほとんど右も左もわからない状態でした。しかし、短答が終わってすぐに受けた模試の添削結果を見ると、意外と書けることがわかったので、本番までとにかく過去問の答案構成をやり込むこととしました。短答試験終了後に突貫工事で論文対策をする場合、本当に時間がありませんので、「答案を書きまくる」(形式を詰める)よりも先に「答案構成をやりまくる」(実質を詰める)方が合理的であると思います。
口述試験対策で気をつけたこと
論文合格発表までは、通勤中に過去問集(口述アドヴァンステキスト)と青本を使って、細々と口述に向けた勉強していました。論文合格後は、とにかく場数を踏んでいかなければと考え、模試をいくつか受けるとともに、他の受験生の方と対面又はオンラインで口述練習をしました。そのお陰か、本番は思っていたより緊張しなかったので良かったです(むしろ一番初めに受けたLECの口述模試が一番緊張しました)。
学習時間を捻出するために苦労したことや工夫したこと
通勤時間が2時間弱とかなり長かったので、この通勤時間の長さを有効活用することを意識していました。電車の中では、講義動画の視聴や、条文やテキスト、青本の通読を行なう一方で、机に向かうことができるまとまった時間には、過去問演習等を行なっていました。月並みですが、隙間時間を無駄にしないことが大事だと思います。
通学、または通信での受講を選択して良かった点や反省点
通信での受講で良かった点は、前記したように、マイペースに進めることができた点です。一方で、通信では、他の受験生と関わる機会が殆どないため、不安と孤独感を抱えながら勉強していました。ただ、勉強のペースや方向性については、馬場先生が適時ご指示くださったので、そこに関してはあまり心配していませんでした。
今、合格して思うこと
私はたまたま一発合格できましたが、運と環境が良かったおかげだと感じています。特許事務所で特許実務を叩き込まれ、論理的にものを考える力や表現力が向上したことも合格に大きく寄与したと思います。同時に、弁理士試験を通じて身についたことが、日々の仕事にも活きているなと最近感じています。早期に合格できたというこのチャンスを活かして、一日でも早く専門家として一人前になれるよう研鑽していきたいと思います。