自分に合った勉強方法で一発合格
森 良亮さん
年齢 | 30歳 |
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受験回数 | 1回 |
職業 | 会社員 |
出身校 | 東京大学大学院 工学系研究科 機械工学専攻 |
受講講座 | 1年合格ベーシックコース インプット+アウトプット一括 |
弁理士を目指した理由・きっかけ
新卒入社したメーカーで知的財産部に配属されました。特許事務所の業務とは違い、知的財産部の業務としては弁理士の資格は必須ではありません。その為、周囲で目指す人もあまり多くない状況でした。一方、知的財産に関する難関資格ということで、自分としては知財部配属時から少し関心はありました。そんな中で入社後2年が経過した2020年春、たまたまLEC名古屋駅前本校で弁理士講座が始まるタイミングで広告を見て、なんとなくやってみようと決心したことから受験生活がスタートしました。
LECを選んだ理由
勉強のペースを作りたかったのと、資格試験を通じて受験仲間を作りたかったので、通学講座にしようと決めていました。自分の住む愛知県においては、LEC名古屋駅前本校が唯一通学講座を開講していたことからLECに注目しました。合格実績も高く、初回の無料体験講義を受講し、納得したのでLECでの受講を決めました。
主に受講したコースや講座の名称と受講した感想
受講したコースは初学者向けの1年合格ベーシックコースでした。担当講師の高橋先生は非常に教えるのが上手で、講義の内容以外の人間的な魅力にもあふれておりました。講義のスタイルは、受験生がつまずきやすいポイントについて、受講生に頻繁に質問を投げかけてくれるスタイルでした。そのおかげで、12月くらいまでは講義でしか勉強していなかった私も、講義中にフルに頭を回転させて考えさせてもらい、知識が身について行ったように思います。
また、高橋先生は弁理士試験に留まらない気付きを与えてくれます。一例として残っているのは、反復学習の大切さについて、実例を以て教えてくれたことです。何度か時間を空けて講義の中で同じ問題を繰り返して出題し、「今皆さんは『もう分かったからいい加減にしてくれ』と思ったでしょう?今の問題は決して簡単な問題では無いはずですが、繰り返し学習するとその状態になります。試験当日までに、試験に問われる知識はその状態にしておくことが大事です。」という趣旨の話をしてくれました。その学びから、覚え難いにも関わらず重要な論点については、受験仲間と繰り返し確認し合って、定着させることが出来るようになりました。
利用して良かったLECのテキスト・過去問集等の名称と具体的な感想
圧倒的に支持したいテキストは、短答アドヴァンステキストです。このテキストは入門講座が終了した後の短答基礎力完成講座で使用します。非常に分厚く、受け取った際には面食らうと思います。このテキストでは、市販されている直近10年より古い過去問や青本の解説が条文毎に体系立って整理されています。このテキストは自分の短答試験合格に最も貢献したテキストです。論文・口述試験対策時においても、このテキストを参照する機会は多々ありました。
受講した答練や模試の名称と受講した感想
1年合格ベーシックコースにパッケージされている講座と模試を全て受講しました。
短答公開模試は本番と比較して難しい引っかけ方をしてくる問題が多く、知識を整理するのに役立ちました。自分は手ごたえ8割くらい出来たと思っていたのに点数は5割強、のような事態が頻発しておりました。間違えさせてくれることは貴重なので、間違えた問題を復習すればよいです。
論文に関しては、点数はそこまで気にしなくていいと思います。直前の模試でも手応えに沿わず全く点数が付かず、下から数えて数番目の順位となったりして凹みましたが、本番は全科目60点程度(全科目平均54点で合格)となり安定して合格となりました。論文模試の活用方法としては、解説を読んで自分が理解できていない論点が無いか、使える表現が無いか、を確認するのが良いと思います。模試を受けないという考えに到る人も居るかもしれませんが、論文は時間配分が大事なのでなるべく会場で受けた方が良いように感じました。
短答式試験対策で気をつけたこと
2020年12月くらいまではほぼ全講義に出席しておりましたが、講義中に高橋先生の問いかけに対して考えることしか出来ておらず、復習にも手が回らず、そのままの状況を継続すれば不合格となるのは明白でした。そこで12月中旬からは心を入れ替えて真剣に勉強をし始めました。自分の勉強スタイルは、科目毎に集中して1科目ずつ完成させていくものでした。クリスマスまでに意匠法、年末年始休暇は特許法、1月中に実用新案法…というように、順番に完成させていきました。条約は試験2ヶ月前のGWに、不正競争防止法・著作権法の完成は短答試験3日前くらいでギリギリになりました。
完成というのは、短答アドヴァンステキストを読み込む、体系別短答過去問集を解く、宮口先生の講義をすべて聞く(名古屋駅前本校は講義が収録されないので、他講師の講義をWebフォローとして受講する運用でした)、口述アドヴァンステキストを全てやり切って、解けない問題があってはいけない状態をいいます。
科目毎に完成させることの効用としては、完成した科目では間違えることは許されないので、間違えた問題に対する危機意識から、その問題が強く印象に残り、学習効率が上がることのように思います。
自分の勉強法の特殊な点としては、体系別短答過去問集10年分を1周しか回していない点に思います。回したくても時間が足りず出来なかったというのが実情ですが、今年のように難しい短答試験でも49点(合格点は39点)と余裕を持って合格出来ました。知識が定着するまで丁寧に1科目ずつ進めたことが功を奏したように思います。ただし、この方法は自分の場合意地で短答試験前に全科目完成させましたが、全範囲終わらなかった場合のリスクがかなり高いです。
論文式試験対策で気をつけたこと
論文試験対策は、短答試験前に短答アドヴァンステキストで短答試験知識の習得と、ある程度兼ねて勉強していました。短答試験対策においても、各条文の要件の文言理解や、要件の事例への当てはめを常に意識して解くことで論文試験対策にも役に立ちます。短答試験後は、論文試験用のアウトプット練習が不足していたので、問題演習と過去問理解が大事だと考えて対策を切り替えました。
具体的には、短答試験後は13日間あったお盆休みにしか勉強できなかったのですが、4日は論文公開模試と論文直前答練を受けてその復習に費やし、9日間は過去問1年分/日を解いてその復習に費やしました。やり方としては、過去問はLECともう一つ他の予備校の過去問集の解答を見比べて理解を深めました。解答内容が異なる点が多々あり、面白いと思いました。
論文は相対評価なので、誰もが書く論点を落とさないことが大事です。そこで、どの答案でも触れていることは書くようにする必要があることを意識し、自分の答案の書き方のバリエーションに加えていきました。典型的な問題に対しては、思考をある程度停止した状態でも筆が走るように自分の答案の書き方を作っておくことも大事です。
口述試験対策で気をつけたこと
口述試験対策は、弁理士試験対策の中でも最も対策を楽しめた科目です。上述したように、私は短答試験前から口述試験の過去問を使って勉強をしていました。口述試験の過去問の良いところは、受験仲間と一緒に取り組みやすいところです。短答試験前から毎朝30分〜1時間程度、少なくとも1問/日ずつ出題していきました。短答試験前に口述アドヴァンステキストを1周半程度解き終えていました。短答試験3ヵ月前くらいから論文試験が終わるまで一時中断しましたが、論文試験後は受験生同士でグループを作って毎日非常に楽しく勉強していました。最終的には4周程度テキストを解きました。
今年の口述試験は事前に聞いていた口述試験の難易度よりも難しかったように感じましたが、しっかり対策していたので全科目余裕を持って解き終えることが出来ました。
通学、または通信での受講のメリットとデメリット
通学コースのメリットは、まず皆さんも言われていることですが、学習のペースが作れることのように思います。それに加えて、受験仲間が出来ることも大きいように思います。自分は一人よりも仲間と勉強する方がモチベーションを維持できるので、通学コースは性に合っていました。特に名古屋駅前本校のクラスの場合は少人数なので、受験仲間が出来やすかったように思います。一方、デメリットとしては通学に時間が掛かることです。しかし、通学の電車の中で行うことを決めて習慣化すると、このデメリットもメリットに変わり得ます。
受講したゼミや道場、単発講座の名称と受講した感想
メインコース以外の講座は利用しておりませんでしたが、もし仮に今年論文試験を通過できていなかった場合には、Lゼミのような論文試験対策ゼミを受講していたと思います。一人でモチベーションを保ちながら勉強するのは難しい中で、定期的にアウトプット機会を得られるゼミ形式の講義は、勉強習慣を維持するのに有用だと思います。また、もし仮に口述試験を通過できなかった場合には、口述試験対策は一人では困難なので、受験仲間を作るために口述試験対策講座を受講していたと思います。
仕事や学業、家庭と勉強の両立のコツ・時間活用術など
平日は、朝7〜9時、夜22〜23時くらいに勉強していました。自分は在宅勤務で朝も9時過ぎから業務開始していたので、朝に多く勉強時間を確保し、土日もなるべく7時過ぎに起床し、ずっと勉強していました。世がコロナ禍の状況であったので休日も予定を入れずに過ごすことができました。この点は、受験時期が良かったのだと思います。
7時から勉強スタートするコツとしては、勉強仲間と7時にZoomで待ち合わせしていたことが良かったように思います。各自、自分の生活スタイルに合わせた勉強習慣を確立するのが大事だと思います。
今、合格して思うこと
試験に合格することで一定の知的財産に関する知識を身につけたという担保は得ましたが、試験で問われる知識と実務の乖離を感じる日々を過ごしております。合格後は、身につけた知識を実務に活かせるように、日々精進していきたいと思います。
これから弁理士を目指す方へのメッセージ
弁理士試験は合格者の平均受験回数も4回程度であり、一説には3000時間程度の勉強時間が必要とのことで、実際に、勉強量はかなり必要です。
短期間で合格しようとすると日常生活をかなり犠牲にすることになると思います。そうなると時間を掛けて受かるというのも一つの手のように思えます。しかし、試験範囲も非常に広く、時間を掛けると抜けていく知識の方が多くなってしまい、結果的にはより沢山の時間が掛かってしまうと思います。短期集中で合格すると決めてしまう方が、結果的に合格までに必要な勉強時間は短くなると思います。その為にも、1年間の合格カリキュラムを組んでいるLECで勉強するというのは、最適な選択肢の一つだと思います。