タイミングと情熱を大切にしてください
M・Tさん
年齢 | − |
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受験回数 | 1回 |
職業 | 会社員 |
出身校 | 早稲田大学院 理工学研究科ナノ理工学専攻 |
受講講座 | 1年合格ベーシックコース+アウトプット完成コース、中上級者向け講座 |
- ※掲載年齢について…掲載している合格者の方々の年齢は、2014年度弁理士試験の最終合格発表日(2014/11/11)時点のものです。
弁理士を目指した理由
もともと「弁理士」という仕事については正しい知識はありませんでした。社会に出てからも、マーケティング、研究、海外営業など多種の職種に携わっておりますが、知的財産部での経験ありませんでした。
弁理士試験を目指したきっかけは、同じような時期に、知人から「あなたは弁理士に向いているから資格を取ってみたら?」と言われたことです。しかも、同じ時期に二人の知人からそのようなアドバイスを頂き、「弁理士」が頭に残るようになりました。さらに、同じ時期に特許事務所を経営されている方とお食事する機会もあり、弁理士と知的財産とがつながった具体的なイメージが沸きました。
実際に弁理士の仕事のイロハについて本を読んでみると、知的財産を守る専権業であり、大学で学んだ理工学を仕事に活かせることがわかりました。また、試験は難関でこの資格試験に挑戦してみるタイミングは今だ、と強く感じるようになっていました。
LECを選んだ理由
法律系の予備校の知識が無かったため、まずは検索サイトで見つけた近場の予備校2ヵ所に話を聞きに行きました。他方の予備校と比較して、LECでは、椅子に座ってゆったりと、弁理士試験の概要や、各講師の特徴など基本的なところから説明してくれました。また、受験から全く遠ざかっていた生活から受験生活に入ることに対する心配に良く耳を傾けて下さったと記憶しています。ですので、2つの予備校を回った後は、すぐにLECに決心がつきました。
コースは「1年合格ベーシックコース」を選びました。初心者にとって最もオーソドックスなコースだったので迷いはありませんでした。担当講師は直前まで悩みました。お試しWeb受講を何度か体験し、宮口クラスに決めました。
入門講座のカリキュラム・テキスト・講師について
私のように4月ごろから始めるならば、1年合格ベーシックコースの流れに沿って勉強を進めれば問題はないと思います。勉強の順番を示してくれる本コースはありがたいです。ただ、判例や口述対策は基本パックには含まれていないためオプション講座を取ることをお勧めします。論文対策も基本講座の内容以上に練習したいという方が多いと思いますので、オプション講座をお勧めします。どのオプション講座を取るかは、先生や先輩からアドバイスを頂いたり、勉強仲間うちで相談したりすれば自ずと分かってくると思います。
使用テキストの中では短答基礎力完成講座のテキスト、口述オールインワンテキストは良いテキストだと思います。また、宮口先生の入門レジュメは論文対策にお勧めです。H26年度の論文本試験のように、簡潔な問題に対して場合分けして切り開いていくタイプの問題は10年以上前の傾向です。また、青本以外の論点を求められることもあります。先生のレジュメはこうした「ここ数年の傾向とは違ったタイプ」の問題にも対応が可能な、普遍的かつ網羅的なレジュメだと思います。
宮口先生の講義は、冗談を交えた楽しい講義でした。また、声が大きくメリハリがあるので眠くなりづらく、講義中でも受講生に質問をするので良い緊張感があります。受講生からの質問をできる限り遮らないのでその場で疑問が解決することができます。そして門下の幅広い方からアドバイス頂ける機会があり、これらは全て、この難関試験を突破すべく長期間勉強していく上で大事な要素であると思います。
短答試験対策で気をつけたこと
平成25年度から、短答試験の難易度が飛躍的に上がり、また合格率も大きく下がりました。よって過去問題を繰り返し解くことだけでは受からないという危機意識は最初からありました。2014年3月ごろからは先輩方のアドバイス通り「条文の素読」を始めました。「直前期にもかかわらず問題から離れて条文を目で追っても、眠いし、条文が頭に入っているかも分からないし、そもそも本試験でどう役に立つのか」と不安ながらも試しました。今考えれば、これは正しかったと思います。本試験ではほとんどが新作問題ですから、結局は条文と対面した回数が多いほど点数につながると感じました。
また、私はいわゆる下三法もまじめに勉強しました。好きな条約は手続きフローなどを図にして楽しんでいました。一方、苦手な著作権法や不正競争防止法は、日を決めて集中してまとめを作成しました。理解を進めれば苦手科目も多少は楽しくなります。
論文試験対策で気をつけたこと
短答試験から論文試験までは1ヵ月強と、とにかく時間がありません。4月以降の直前期はほとんどの時間を短答の勉強に費やしていたため、時間内に答案構成をし、一定の分量を書き上げる感覚も無くなっていましたし、各規定の趣旨はまだ本気で覚えたこともありません。そのため、短答試験から論文試験の間は、全文書きは捨て、答案構成の作成と趣旨の理解に時間を使いました。比較的時間のある人ならば論文を一本書く練習もした方が良いと思いますし、実際にそういうアドバイスをされる方も多いです。しかし、平日3、4時間の中では勉強内容を取捨選択する必要がありました。
私がこのように絞ることができたのは、2013年の内から短答直前期の3月くらいまでの間に、論文オプション講座を取ったり、週1回の答練になるべく参加をしたりしていたことによる精神的な支えによると思います。その意味でも、比較的余裕のある年内から年明け以降のしばらくは論文答練を続けることは良いと思います。
通学講座のメリット・デメリット
通学のメリットは、勉強のモチベーションを維持しやすいことです。クラスに行けば先生にエネルギーを頂けます。先生に質問をして解決すれば、さらに勉強を進める意欲が湧きます。クラスの中には頑張っている受験生が周りにたく在籍し、自分の調子が良くないときでも仲間から刺激を受けます。私も志の高い勉強会仲間を得ることができました。彼らの中にはいつも明るい気持ちにさせてくれたり、有益な情報を持ってきてくれたり、お互いに質問しあって理解を深めたり、活用しない手はないと思います。
デメリットはメリットに比べれば微々たるものです。校舎が遠い人にとっては、移動時間をうまく活用しなければ時間を無駄にしてしまいます。講座の中には通信でも十分なものもあると思いますので上手に使い分けられれば良いと思います。また、1人で静かに考えたり、まとめたりする時間も必要だと思いますので。
仕事と勉強の両立の仕方
通勤時間が長いので、電車の時間をいかに活用するかがキーでした。電車は駅間隔が決まっているので、答案構成や目標問題数を管理するのに便利です。やや遠回りしてでも座れるようにしました。
仕事での出来事などは勉強にとても影響します。特に勉強中も仕事が気になってしまう場合は、なるべく他の仲間と一緒に勉強することです。こうすることで気持ちも集中できますし、気分転換もできます。1人の時間と仲間といる時間とを使い分けが大切だと思います。
今、合格して思うこと
正直な気持ちは「うれしい」というよりも「ホッと」しています。手放しに喜べないのは、これから控える実務修習と仕事との両立や、弁理士としての新しい道をどのように始めたらよいかといった漠然とした不安があるからだと思います。ホッとしているのは、ひとまず受験生活を終え一区切りが付いたことや、次のステップに向けて本腰を入れられるという気持ちからです。
これから弁理士を目指す方へのメッセージ
この試験を受ける動機は人それぞれだと思いますが、弁理士試験最終合格という共通の目標を持って一緒に切磋琢磨できるLECの環境や、仲間達は素晴らしいものです。また難関試験をやり遂げたという自信を得ることができます。試験に合格すること自体よりも大きな財産が得られると思いますので、是非楽しみながら邁進してください。