弁理士資格・試験制度について
- 知的財産権、産業財産権ってなんですか?
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知的財産権(知的所有権ともいいます。)とは、人間の幅広い知的創造活動について、その創作者に権利保護を与えるものです。産業財産権とは、知的財産権のうち特許権、実用新案権、意匠権、商標権という特許庁が登録を行う4つの権利の総称をいいます。
具体的に、人間の知的創造活動の成果としては、独創的なアイデアである「発明」や「考案」、ユニークなデザインである「意匠」、音楽や小説、絵画などの「著作物」などがあり、それぞれが特許法・実用新案法、意匠法、著作権法によって保護されています。一方、営業上の標識としては、事業活動を行う時に使われる名前である「商号」、自己の商品やサービスを示すために用いられる「商標」(いわゆるブランド)などがあり、それぞれ商法、商標法によって保護されています。
このうち、特許権、実用新案権、意匠権、商標権を指して、産業財産権(工業所有権)と称します。パソコンを例に説明しましょう。- 特許権(対象:発明)
- 画面の液晶の解像度に関する発明などで、技術的に従来のものより優れた発明に与えられる権利です。物に限らず、方法の発明も対象となります。
- 実用新案権(対象:考案)
- キーに突起をつけて打ちやすくするなど、比較的簡易な考案(小発明)に与えられる権利です。物品の形状等に関するものに限定されますが、審査が簡単なため早期に登録されます。
- 意匠権(対象:デザイン)
- 物品の美的外観(デザイン)に関する創作に与えられる権利です。ここでの美には、装飾美だけでなく、機能美も含まれます。平成10年の法改正により、物品の全部の意匠のみならず、物品の部分に関する意匠にも、権利が認められるようになりました。
- 商標権(対象:商品商標、サービスマーク(役務商標))
- 商品や、サービスの提供の際に使用するマークに与えられる権利です。更新手続きを行うことにより、半永久的に保有することが可能です。
- 関連情報:知的財産権制度
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21世紀は、知的創造時代といわれ、研究開発を発展させ、その成果を蓄積・有効活用することが重要な課題です。知的財産権制度は、技術向上、新規産業創出等に資するものとして、その強化を図ることの重要性が日増しに高まっています。
知的財産権(知的所有権ともいいます。)とは、人間の幅広い知的創造活動について、その創作者に権利保護を与えるものです。
具体的に、人間の知的創造活動の成果としては、独創的なアイデアである「発明」や「考案」、ユニークなデザインである「意匠」、音楽や小説、絵画などの「著作物」などがあり、それぞれが特許法・実用新案法、意匠法、著作権法によって保護されています。一方、営業上の標識としては、事業活動を行う時に使われる名前である「商号」、自己の商品やサービスを示すために用いられる「商標」(いわゆるブランド)などがあり、それぞれ商法、商標法によって保護されています。
このうち、特許権、実用新案権、意匠権、商標権を指して、産業財産権(工業所有権)と称します。
- 弁理士の業務とはどのようなものですか?
- 「拡がる弁理士の可能性」をご覧ください。
- 弁理士は都市部に集中していますが、都市部以外で活躍するのは難しいのでしょうか?
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弁理士の最大の顧客は大手メーカーであり、その本社の多くは三大都市圏にありますので、特許事務所や弁理士も必然的に都市部に集中することになります。
しかし、それ以外の地域でも、地元密着で活躍している先生も多くいらっしゃいます。そういった先生は知財のことのみらず、経営面についても中小企業の経営者と一緒に考え、行動することによって信頼を勝ち取られています。都市部の弁理士より色々なことをこなせなければならず大変ですが、逆に楽しさや喜びも非常に大きいという話を耳にします。
- 実務経験がないのですが、就職することはできるでしょうか?
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知財業界では、実務経験がもっとも重視されるといっても過言ではありません。したがって、実務経験が皆無の場合は、就職活動である程度苦労されることは覚悟しておいた方がよいでしょう。
とはいっても、語学力や理系分野の知識、研究開発歴などがあれば、一定の評価をされます。不況の影響もあり、弁理士の就職もそれほど楽ではなくなっていますが、他の士業と比べれば、まだ恵まれていると言われており、悲観的になりすぎるのもよくないでしょう。知的財産の情報サイトなどで、どのような求人があるのか確認されるとよいでしょう。
- 付記弁理士ってなんですか?
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付記弁理士とは、所定の研修後、特定侵害訴訟代理業務試験に合格し、特許権や意匠権等の侵害訴訟において一定範囲内で訴訟の代理業務を行うことができる弁理士のことです。
特許事務所内において、訴訟担当として仕事をしている先生や独立開業している先生については、特定侵害訴訟代理業務の付記を受けている弁理士の方が多いです。その一方、特許事務所内で、明細書の作成等の業務がメインとなっている先生にとっては、あまり必要とされていないというのが実際のところです。
ですから、業務内容によって、その必要性は大きく違います。ただ、勉強に慣れているうちにチャレンジした方が合格しやすいということはいえますので、弁理士に登録したら、あまり間をおかずに取っておくとよいでしょう。
- 弁理士試験制度はどうなっていますか?
- 「弁理士試験ガイド(試験制度について)」をご覧ください。
- 受験者数と合格者数はどのくらいですか?
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令和5年度の弁理士試験の受験者数は3,065人で合格者数は188人でした。
受験者数は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で4か月の延期となった令和2年度弁理士試験の受験者数2,947人と比較するとやや持ち直したようにも見えますが、
令和元年度の受験者数が3,488人、平成30年度の受験者数が3,587人であったことを考えると、依然として減少傾向にあると言えます。一方で合格者数と合格率の推移を見ますと、平成29年度の合格者数255人と合格率6.5%から微増を続けていたものが、令和3年度は4年ぶりに減少に転じ、 200人を切る数字となりましたが、合格者数が少ないということは、合格後にライバルが少ないということを意味します。
このことからも弁理士試験はより目指す価値の高い試験になってきていると言うことができるでしょう。
- 各試験形式の合格率は?
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- 短答式試験
- 令和5年度の短答式試験は短答受験数2,714人中、337人が合格となり、合格率は12.4%となりました。令和元年度から5年間の合格率を見てみると、多少の波はあるものの、10%付近で推移している印象があります。
- 論文式試験
- 令和5年度論文式試験の合格者数は179人、合格率は28.0%でした。令和4年度は26.3%、令和3年度は25.1%と、過去10年の合格率はいずれも20%台で推移しており、比較的安定した合格率となっています。
- 口述試験
- 令和5年度口述試験の合格者数は188人、合格率は94.3%でした。令和4年度の口述合格率96.4%と比較すると若干の減少となりましたが、平成27年度から9年連続で90%台の高い合格率が続いています。
- 社会人が、働きながら受験して合格はできますか?
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近年、合格者の社会人割合が多い傾向にあります。令和5年度は弁理士試験合格者のうち社会人割合が90.4%でした。
左の職業別合格者の割合からも明らかなように、学習時間をとりやすい学生等よりも、働きながら勉強して受験をされている方の合格率が高いのは、学習の効果や試験の合否が、就業の有無よりも「学習時間をいかに効率的に使うかにかかっている」ということです。社会人でも勿論合格が可能です。
- 在学中の合格は可能ですか?
- 学生は社会人と異なり比較的勉強時間が確保しやすいと思われます。早期からの勉強を開始することにより、短期間で合格することも不可能ではありません。また、弁理士試験に合格していれば、将来就職活動にも有利に働くこととなるでしょう。
- 出身系統(理系・文系)によって有利・不利はありますか?
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令和5年度弁理士試験合格者の出身系統は理工系出身者が76.1%、法文系出身者が18.6%となっています。合格者の絶対多数が理工系出身者であることは一目瞭然ですが、これは弁理士試験において法文系出身者が不利であることを必ずしも示すものではありません。法文系出身者は、論文選択科目の文系向け科目として、一般法である民法を選択できます。出題範囲は「総則」「物権」「債権」の3分野に限られており、難易度についても、他の法律資格と比較して、さほど高いわけではありません。また、知財四法とも呼ばれる特許法、実用新案法、意匠法、商標法は、一般法である民法に対する特別法という位置づけとなっており、民法を理解しておくことは、直接これら知財四法の理解をより深めることにもつながります。ここで深めた法律に対する知見は、合格後に大きな武器となることでしょう。
- 弁理士試験に合格をするとすぐに弁理士登録できますか?
- 現在、弁理士試験に合格してもすぐに登録をすることはできません。
弁理士登録をするためには、弁理士としての必要な技能及び高い専門的応用能力を取得させるための「実務修習」を受講して、すべての課程を修了する必要があります。
実務修習はインターネットで受講する講義と、指定された会場で受講する「集合研修(座学)」に分かれており、集合研修は社会人の方でも受講しやすいように、平日の夜間や土日のコースなどが設けられています。
同期合格者と一緒に学習をすることで交流を深め、今後の弁理士業務の人脈を広げるきっかけになる場としても活用してください。
- 弁理士登録後にすぐ独立開業することはできるの?
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制度上は、登録後すぐに独立することが可能です。ですから、企業の知的財産部や特許事務所で、特許技術者等として十分に実務を経験されていた方であれば、登録後すぐに独立開業することもできるでしょう。
しかし、多くの方は登録後、企業の知的財産部や特許事務所に就職し、数年間は実務を学んだ上で独立されることが多いのも事実です。弁理士試験に出題される内容を十分に理解していたとしても、実際に実務経験がなければすぐに実務を行うことはできないため、ある程度の準備期間が必要であるとお考えください。
- 理系・法律系学部の出身ではないですが、本当に一年で合格できますか?
- 弁理士試験では、特許法などの知的財産権に関する法律が試験科目になっています。特許などの専門技術に関する業務を行なうのが弁理士の仕事ですが、試験自体は法律知識の理解を問うため、技術分野からの出題はされることがありません。また、一般の法学部では、知的財産権に関する法律を専門的に学習する機会が少ないため、法律系出身だからといって有利とはいえません。よって、専門分野の有利不利はなく、理系出身・法律系出身者と同じ位置から学習をスタートすることができるので、努力次第で十分に1年間の学習で合格することができます。
- 年齢が気になるのですが、何回くらいで合格できますか?
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特許庁より公表されている統計では、合格までの平均受験回数は4〜5回とされています。しかし、効率的・合理的に学習を進めている方に限定すると、受験回数3回以内の短期合格を果たしている人が数多くいます。学習開始時から短期合格の具体的な計画を立て、実行することより、合格者平均受験回数よりも少ない受験回数で合格を果たすことができます。
- 学生向け
- 社会人よりも多くの時間を使うことができるため、このアドバンテージを活かしてください。
- 社会人向け
- 社会人は学生より自由な時間が少ないですが、時間の管理能力に長けているため、より効率よく時間を使うことができます。
- 合格後の就職・転職先は、ありますか?また、どうやって仕事を見つければよいでしょうか?
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弁理士資格を取得すると必ず就職や転職ができるということはありませんが、資格を有していることは就職・転職のセールスポイントになります。合格後は弁理士会や各会派が、合格者向けに合同説明会を実施したりします。このような説明会に参加することによって多くの特許事務所の求人を知ることができます。
また、個別に求人を行なっている特許事務所の場合は、直接応募をすることもあります。その他、知的財産専門の就職・転職情報が掲載されているWEBサイトなどがあります。