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大久保流 知的財産の育て方「大学の研究を知的財産へと結びつけ、利益を生み出す」

大久保流 知的財産の育て方

大学のイメージアップ戦略として

完全養殖マグロ誕生の秘密について教えてください
『完全養殖マグロの誕生』というのは近畿大学の水産研究所の歴史からいくと、それほど画期的なことではなかったんですよ。 それまでにも16種類もの魚に対して世界で初めて人工種苗生産事業を成功させてきたわけですよ。だから達成時点では、それほど偉大な事だと思わなかったんです。でもブランド構築上のストーリー展開に大いに役立つと分かってからは、最大限に完全養殖達成物語をブランド構築に利用したんです。
『近大マグロ』ブランドはどうやって誕生したんですか?
ブランド化というのは、値段をとるというためだけじゃなく、近畿大学全体のイメージアップ、大学の名前のついた鉛筆とかのプロモーショングッズの様な役割を担わすために"商標登録"をしたと。消費者が『近大○○』の商品を買うたびに近大の名前が頭に入ってきて、それにより近畿大学全体のイメージアップにつなげていこうという展開をやったんですね。
『近大マグロ』のネーミングはどうやって考えられたんですか?
近畿大学のプロモーショングッズという意味も含めて『近大』という名前は外せなかったんです。かといって『近大マグロ』が『近畿大学マグロ』であったら、語呂的に長いな、と思ったんですね。しかも研究職の意味合いが強くなってしまうやろと。
『近大マグロ』に至るまでには色んな案があってね、研究者は、『近畿大学水産研究所産完全養殖黒マグロ』という名前を提案してきた。さすがにその名前だと消費者には覚えてもらえないわね(笑)。そのときに顧客の立場に立てているかどうかによって、名前の作り方も変わってくる。顧客の立場に立つと、誰もが知っていると思われる『近大』と『マグロ』を足して『近大マグロ』。商品を作るときにはシンプル性というのはこだわったつもり。
消費者に愛される愛称という形で、『近大マグロ』と呼びやすい名前をつけたんです。

大学研究と知的財産を結びつける

商標登録をしたきっかけとは?
ブランド化をしていこうというのもあったが、"商標登録"をすることで話題性を作ろうと思ったんですよ。それまで普通に近大産の魚を売っていても取り上げてもらうインパクトは無かった。そのストーリーの一環として"商標登録"をしました。そのくらい近大は入れ込んでまっせ!!という姿勢を一般の人にも見てもらいたかった。
大学の研究を知的財産として大学に利益還元することについてお伺いしたいのですが
インタビューの様子

当然、大学利益還元というのは、もちろん大事に考えないかんことやと思ってます。ただ、知的財産として"商標登録"してその結果、水産研究所の売上が上がったよと言うのは、なかなか結果検証はしにくかったんです。
「商標登録したからブランドとしての値段が上った訳じゃないよ」、って言われてしまったらそれまでやからね。

でも結果的に僕が意図していたのは、大学全体のイメージアップ。グランフロントにも出店して、最近でこそ大学の受験者数が日本一!大きな目に見える形でのプラスが出てるけど、近大マグロがブランディングされるのも3年くらいかかってる。
それがされてから徐々に、受験者数は上ってきた。それとて『近大マグロ』のお陰で上ったとは検証できてなかった。他にも、近畿大学はブランディングに貢献できるものを沢山やってきていたからね。結果検証は出来なかったな、というのは反省点です。

でも、今になってみると『近大マグロ』というのは、かなり大きく取り上げられ、近畿大学に貢献したのではないでしょうか
そうですね。"商標登録"をして世に出ている。そういう意味では、近畿大学に貢献した大きな成功事例になったと思います。
では、大久保さんの思う"知的財産の重要性"について教えて下さい。
たらればの話になるので、あの時に商標登録していれば、といっても仕方が無いことですが…、『近大マダイ』。ここまで遺伝子を辿れば全て近大マダイに通じるという、大きな研究成果があるにも関わらず、その当時に商標登録してなんだからか、『近大マダイ』という名前は近畿大学のブランドイメージにさほど貢献していない。
そういう意味では、"商標登録"は非常に重要。ある関西のベンチャー学会に所属している人に「ブランドってどんなもん?」って聞かれた時があって、色んな事を話していたら、その人が「簡単にいうと、ブランドって"商標登録"する事ですよね」って言ったのが、ある意味正しいなぁ、と。僕が考えるブランドというのは、"生産者の責任と消費者の信用"。この相互作用がマッチングしてちゃんと出来ている関係がブランドだと思っている。この関係をある程度"見える化"していくのが、"商標登録"に繋がるかもわからないですね。
『近大マグロ』が近畿大学にもたらした影響はすごく大きいと思うのですが?

今でこそ良く見えますね(笑)でも、近大マグロだけが素晴らしい研究ではないんですよ。もちろん素晴らしい研究には違い無いんですが。他の大学もいい物を持ってるにも関わらず、それに気づいていないだけ。

昔の近畿大学水産研究所の16種類の人工種苗生産の成功事例と同じように、今の他の多くの大学は素晴らしい事をやっていながらそれに気付いていない。近大マグロも「単なる養殖マグロです」って売ってたらそれまで。それを『近大マグロ』と"商標登録"を行い、ブランディングしたからみんなが注目してくれるようになった。すごいんだって気付く事。それを多くの人が気付いていない。

大久保さんの考える"弁理士"の役割とは?

大学の中に弁理士の知識を持った人が入り込んでくれていたら、と思いますよ。すごい研究や発明に対して、「これはすごいんや」って言って大学に気付きを与えてくれるというか。すごい発明を見つけ出して、特許申請や商標登録をしていくのがこれからの弁理士の役割だと僕は思っています。

以前も小割式網イケス養殖法というすごく画期的な養殖方法を生み出した。今でも世界で初の発明やって言われているにも関わらず、特許などもとってなかった。近くに弁理士がおらなんだし、特許をとるとかそういう知識もなかったから。もったいない(笑)

もし取ってたら、世界で行われている養殖法やから、『近大式養殖法』って近大の名前が世界に広まっとったかもね(笑)ちゃんと、"商標登録"もしてね。

大久保 良雄さん
大久保 良雄
近畿大学在職中に『近大マグロ』ブランドを企画・立案からプロデュース。
「企業は人なり」をモットーに独立。
株式会社キャリア特待館 代表取締役
一般社団法人日本実務者コンサルタント認定協会 代表理事

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