組織内司法書士〜未開のターゲットを狙え!〜
早川将和先生 企業法務 組織内司法書士
日本組織内司法書士協会幹事/司法書士/リスクモンスター株式会社 人事総務部 部長代理/与信管理士
組織内司法書士と活躍できるフィールドとは?
「組織内司法書士」とは、組織に所属する司法書士を指す言葉ですが、現行の制度上はまだこのような司法書士は認められていません。私のような司法書士は、あくまで兼業の一つと整理されています。私たちは、弁護士や会計士と同様に、組織内司法書士を制度として認める活動をしている任意団体です。
私のような司法書士資格者が組織内で活躍するフィールドは、やはり法務関連の職種になると思います。とはいえ、企業法務では、登記は業務のほんの一部に過ぎず、受験勉強では学べない分野のことに挑戦しなければなりません。しかし、協会のメンバーの話を聞いてみると、はじめての分野の法律でも読みこなすのにさほど苦労することはないようです。
それは、試験で基本法を徹底的に勉強してきたことで、法律の読み方を体感的に知っていることが大きいのだと思います。司法書士はそういう点で大きなアドバンテージがあると思っています。
組織内司法書士の優位制
企業等に所属してサラリーマンとなるなら、最初から司法書士資格を取る必要はない、と思われる方もいるかもしれませんが、私はそうは思いません。たとえば私の場合、司法書士会の会務や登記六法の編集委員をさせていただいていますが、そのほかに、司法書士として書籍や雑誌への執筆を行っています。このような活動により、会社としてではなく、個人として社会に発信していくことができるというのは、私は司法書士という資格の持つ力だと思っています。
企業等に所属している方々にとって、司法書士の資格は、自分の持つ力を大きくする梃であり、所属企業から転職等の形で外に出る場合には、難関国家資格ホルダーの法務職として、どこにでも通用するスキルを証明するものにもなります。
司法書士は、企業の中にいても外でも十分に活用できる素晴らしい資格だと思います。
組織内司法書士の今後
すでに内部に司法書士資格者を有する企業等は、一定数存在していますが、残念ながら司法書士会はこのことを把握できていません。経営法友会の調査においても、調査に回答したたった1,000社の中でも56名の司法書士有資格者が存在することがわかっています。日本組織内司法書士協会においても、現在46名の司法書士有資格者が企業等に所属していますが、これらの方のほとんどが法務関連職であり、半数以上は管理職であることからも、司法書士有資格者が法務のプロフェッションとして一定の評価を受けていることがわかります。
これらの有資格者の方々が現在第一線で活躍している状況を司法書士会がきちんと把握して発信し、社会的な認知が広がっていけば、組織内での司法書士有資格者の活用に企業側ももっと目を向けていきますし、司法書士業界自体の底上げにつながっていくと思っています。