川阪 弘一 さん(36)
受験回数 | 7回 |
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出身大学 | 龍谷大学 法学部 |
受講講座 | 2016年パーフェクトローラー合格フルパック 2015年実践力PowerUp合格パック 2014年パーフェクトローラー合格フルパック |
司法書士を目指したきっかけ
私が司法書士を目指したのは転職がきっかけでした。
当時の私は新卒で消費者金融会社に勤めていたのですが、貸金業法改正による過払い金返還の影響で大手の会社ですら倒産するといった状況でした。幸い私が勤めていた会社は倒産することはなかったのですが、当時30歳だった私は、「本当にこの先この業界に居て大丈夫なのだろうか?転職を考えるなら今の年齢がギリギリなのではないか?」と考え転職を決意しました。しかし、いざ就職活動を始め面接に臨んでみると、全く違う業界の方にどれだけ自分がこれまで頑張って仕事をし、結果を残したか、どんな経験を積んできたかなどを説明してもなかなか伝わらず、思うように就職活動は進みませんでした。それでも運よく1カ月で仕事を決める事が出来ましたが、この転職で強く「一言で誰にでも分かる強みが欲しい」と思うようになり、資格取得を考えるようになりました。
法学部出身で、過払い金返還請求で司法書士とも何度か交渉をした事があった私にとって司法書士とは、中身は詳しくは知らないが何となく身近な資格という印象がありました。いろいろ調べてみるとLECに限らずどの予備校のカリキュラムもかなり充実していたので働きながら通信でも十分に合格を目指せると思った事が司法書士を目指すきっかけでした。
LECを選んだ理由と講座を選んだ理由
LECを選んだ理由は資格試験の大手であることへの安心感と合格実績からでした。合格した年はパーフェクトローラー講座を受講していましたが、普段の勉強で使用していたのは前年受講した実践力PowerUp講座のテキストです。2年目以降もLECを選んだのはいくつもテキストを変えてしまって全てが中途半端になってしまう事を避けたかったからです。
実践力PowerUp講座・パーフェクトローラー講座の良かった点
実践力PowerUp講座は基準点突破に必要な最低知識から上積みのための発展論点についてまで全科目網羅的に講義をしてくれます。テキストの内容はブレークスルーの初学者向けの解説文章を削って代わりに各分野についての簡単な解説、ワンポイント論点、発展論点が図解、解説、図表とともに記載されているといったもので主要科目なら2週間、マイナー科目なら1週間あれば各科目通読できる分量にまとめられています。また海野講師の講義ははとても歯切れのいいテンポで、所々で実務ではどのような取扱いがされているかを教えてくれるため講義内容のイメージを残したまま復習をする事が出来ました。特に会社法の株式、組織再編の講義は海野先生のおかげで理解する事が出来たと言っても過言ではないと思っています。
一方、最後に受講していたパーフェクトローラー講座ですが、テキストは全科目図表中心で必要最低限の解説しか載っておらず、また講義もポイント、ポイントに絞った講義なのでその分野の基礎知識を忘れてしまっていると全く講義についていくことが出来ない・・・なんて時もありました。ただ、不動産登記法、商業登記法では申請後の登記記録の図表がこれでもかというほど載っているので両科目の理解を深めるのにはとても役立つ講義内容とテキストになっていましたし、民法の契約各論の横断整理なども直前期とても役に立ちました。
思い出に残っている講座
私は主に実践力PowerUpとパーフェクトローラーを受講していましたが、ここ数年は海野講師、根本講師が大阪に来校されて単発の講義が開催される事が増えてきていると思います。合格した年の直前期は海野講師の「午前問題の35問目を取りに行く講座」と「マイナー科目これだけ聴いて点を取ろう!」を受講しました。
また、最後まで記述に不安があったので初学者向けの講座ではあったのですが、田中あゆ美講師の「記述式解法マスター道場」も受講しました。一から記述の解き方を解説する講義ですが、「徹底的に答案構成用紙を活用する」のコンセプトから答案構成用紙に落とすべき事実、注意事項の落とし方を教えてくださいます。私はそれまで事実関係しか答案構成用紙に落としておらず、注意事項を見落として判断を誤るといった傾向が強かったので、この講義は本当に受けて良かったです。
色々な単発講座がありますが、通信講座で受講されている方であれば講師に直接質問や学習アドバイスを受ける事が出来る貴重な時間になりますし、なにより生講義を受けるとやはりモチベーションのアップにつながるので苦手意識がある科目の講座であれば積極的に受講された方がいいと思います。
答練の良かった点・学習への役立て方
精撰答練は必須です。
最初の2年間、私はこの試験を過去問さえ完璧にやれば大丈夫と軽視していたため失敗しました。当然ながら本試験では見た事のない問題も出ますが、特に午後は分からないからと言って考えていたのではあっという間に時間オーバーになってしまいます。こういった状況に陥らないためにも本試験では出題実績がないが、問題を作れそうな判例や論点とそれを実際に問題にしたらどういう問題になるかを知っている必要があります。LECの答練はあまりマニアック過ぎる論点は外されているので効率よく未出の論点をつぶしていく事が出来ます。また、毎週答練を繰り返す事で問題文を読む力も付いてくるので必ず答練は受講して下さい。
海野講師・根本講師のここが良かった
講義はすべて通信を受けていましたので主にお世話になったのは海野先生、根本先生です。
講師との相性は人それぞれだと思いますが、私は海野先生の講義が非常に分かりやすかったです。講義自体も非常にテンポよく、そして多くの受験生が分かりにくいであろう箇所については積極的に板書で図解をしてくれるため、復習の際にテキストを読むだけでは分かりにくい部分も板書の図解がとても役立ちます。また、多くのガイダンスで仰っていますが、海野講師はたとえLEC以外の教材であっても合格の為に役立つものであれば積極的に教えて下さるため、その点でもとても信頼できました。講義の前半、後半冒頭でほぼ毎回受験界の最新情報や、ご自身の実務体験などを語ってくれるため、毎回勉強以外の新しい発見もあります。
一方根本講師の講義は徹底的なデータ分析に基づいて講義をして下さいます。本試験で分からない問題に出くわしてしまった場合の肢の切り方、午後の試験の時短方法など、多くの受験テクニックを学ぶ事が出来ます。講義自体は皆さんが挙げられている通り、ほぼ毎回寸劇が用意されているのでとても楽しい講義です。なかでも商業登記法の変態設立事項の添付書面の解説はおそらく一生忘れる事はないと思います。
難波駅前本校のここが良かった!
私がお世話になったのは難波駅前本校です。といっても通信講座の受講なので勉強はもっぱら自宅でしており、当初はほとんどLECに通う事はありませんでした。ただ、2年続けてあと3点で落ちてしまった時に、これまでと同じやり方では同じ結果しか出ないと感じたため、最後の1年間は休みの日はほぼすべてLECの自習室に通う事にしました。梅田駅前本校と比べると社員さんの人数も少なく、すぐに顔なじみになる事が出来るのでアットホームな感じで勉強をする事が出来ました。合格後LECに行った時に、「本当に自分の事のように嬉しいです!!」と言って下さった社員さんが居て、LECを選んで本当に良かったと思っています。
模試の学習への役立て方
公開模試は必ず、そしてなるべく会場受験で受けて下さい。
年明け以降、精撰答練[実力養成編]・[ファイナル編]とこなしてきて、初見の問題へ対処する力も付いてくる頃ですが、はっきり言って模試は本当に難しいです。直前期にボロボロの成績が出て泣きそうになりますが、本来そういう風に作られているものなので結果はあまり気にしなくていいと思います。合格した年に受けた田中あゆ美講師の単発講義の中で「模試は本番のように、本番は模試のように」と何度も仰っていましたが、本当にその通りだと思います。本試験を模試のように受けるには、海野講師もガイダンスでよく仰っていますが、他社の模試も活用して回数をこなす事が一番です。私は合格した年はLEC4回、他社2回×2社で8週連続模試を受けました。本当にもう二度とやりたくありません。LECには慣れていても、知らない予備校に行ってそこの模試を受けるというのは本試験と同じぐらいの緊張感を体験出来ます。問題用紙の紙質が違う、マークシートのマークの大きさが違う、たったこれだけの事でかなりのストレスを感じますが、この体験こそが他社の模試を受ける意味ですので同じく結果はあまり気にしなくていいと思います。
通信講座のメリット・デメリット
仕事をしながら、主婦をしながらなど、通信講座しか選択が出来ない方も多くいらっしゃると思います。そういった方でも勉強をする事が出来る事が通信講座の最大のメリットだと思います。通信講座は自分のペースで勉強が出来ますが、生講義と違って自宅では色々誘惑が多いので、しっかりと講義に集中するのは簡単なようでなかなか難しいです。
私の失敗をもとに通信講座を最大限活用するポイントは、「講義の再生中に裏でネットを見ない」、「前半、後半必ず同じ日に1つの講義を受ける」、「講義で進んだ部分の読み込みを行わないまま次の講義を受けない」、「倍速再生(1.3倍ぐらい)を活用する」ことです。特にネットの誘惑には絶対に負けないで下さい。これをやると講義がただのBGMになってしまいます。通信講座は講義を消化する事が目的になりやすいですが、平日忙しいからといって休日にまとめて1週間分講義を受ける事はお勧めしません。なるべく早い段階で平日1〜2日、帰宅後に受講する事が出来る生活環境を作ってください。
仕事と勉強の両立のコツ
私は学習を始めた当初から既に社会人として会社勤めをしていたので、勉強を始める前から、「仕事と勉強の両立が何より重要!!」と自分で意識していたはずなのですが、やはり仕事がうまくいかず勉強が手につかない時期があったり、今日は帰りが遅かったから・・・とか、明日は早いから・・・とか色んな言い訳をしてダラダラと勉強をしてしまっている時期もありました。
仕事と勉強を両立するには必ず前もって自分で学習計画を立てる事です。その際に注意するのは、あまり無理な計画を立てない事です。無理な学習計画を立てても履行出来なければすぐに嫌になって投げ出してしまいます。たとえば帰宅時間が早ければ8時、遅ければ10時前と私のように毎日決まった時間に帰れない方であれば、平日の勉強のスタートは11時からにして確実に消化しきれる内容で計画を立てる方が長続きします。参考までに私は平日11時から3時間で学習計画を立てていましたが、当然夜寝るのが遅くなってしまうので、お昼休みの1時間や通勤中の細切れの時間を計画に組み込む事はせず、気になった所を見返すぐらいにしてあとは寝るようにしていました。日々の計画の目安は年内であればインプット1時間半、アウトプット1時間半、年明け以降はインプット1時間、アウトプット2時間で組んでいました。また、答練を受講される方であれば基本的に土日は答練の演習と復習でつぶれてしまいますので、あまり土日に詰め込むような計画は避けた方がいいと思います。
これから司法書士試験合格を目指す方へのアドバイス
必要に迫られてこの資格を目指すという事はあまりないかと思いますので、ほとんどの方が自分で「司法書士を目指したい!」と決意して勉強を始めると思います。よく言われる事ですが、この試験は量が膨大なのである程度長期間の勉強を強いられますが、試験は知識をもとに考えさせられるというものではなく、単に知ってるか知らないかを聞かれるだけですので頑張れば、続ければ誰でも合格をする事が出来ます。大切なのは最初に自分で決めた「司法書士を目指したい!」という気持ちを持ち続ける事です。
あとは何年で合格するかという事だけです。私は講師のアドバイスを色々と言い訳をして守らなかった(または当時、その大切さに気付けなかった)ため少し時間を要しましたが、講師の皆さんは来年合格するために必要な勉強法を惜しみなく伝授してくれますので構える事なく司法書士を目指して欲しいと思います。