饗場 祐一 さん (50)一発合格
合格に才能も技術もいりません。必要なのは…
受験回数 | 2回 ※お試し受験含む |
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出身大学 | 京都大学大学院理学研究科 |
受講講座 | 2016年新15ヵ月合格コース<春生> |
司法書士を目指した理由
40代も半ばを過ぎ、残りの人生をどう悔いなく過ごせるのかと漠然と考えていたところ、個人で士業をされている方とお話をする機会があり、組織に縛られず個人の看板で仕事をされている境遇に大変惹かれるものを感じました。これまで全く法律とは関連のない仕事でしたので、相当無謀な決断ではあるとの自覚はありましたが、自分も個人の看板を背負って生きていこうと決断し司法書士資格の取得を目指すことになりました。数多い士業の中で司法書士を選択したのは、幅広く法律に関する業務を取り扱えること、また難関であるが故他資格と比較しても希少価値は大きいだろうということも、この年齢からの独立開業を目指すものとして魅力を感じました。
LECを選んだ理由と講座を選んだ理由
最初は独学でもよいかと考えていましたが、市販のテキストを読んでも全くと言っていいほど理解できず、本屋で立ち読みした記述過去問のあまりの難解さに衝撃を受け、早々に独学での合格をあきらめました。市販のテキストを読んでいた時、「これはどういう意味だろう?」「これは前に読んだところと矛盾しないのだろうか?」と無数の?マークを点滅させた経験から、講師の先生に、講義のあと直接質問することが可能なライブ講義を受けられることが予備校選択の絶対条件でした。札幌では該当するのがLECであり、以前から司法書士試験での実績が豊富とのうわさは耳にしておりましたので、すんなりとLECを選ぶことになりました。自分の性格を考えると、できる限り短期間、最大限の集中で目標に向かうのが良いだろうと思い4月スタートで翌年7月の合格を目指す新15ヵ月合格コースの春生を選択しました。
新15ヵ月合格コースの感想
週3回の講義は、復習のために割く時間も合わせるとかなりタイトでハードなスケージュールであったと思います。試験勉強に割ける時間が少ない時期もありましたので、講義に参加することだけでもしんどいこともありました。反面、常に一定の緊張感を持っての勉強が可能でしたし、次から次へと新しいことを頭に入れていくための集中力が自然と身についた感がありました。自分には合っていたと思います。
ブレークスルーテキストの感想
幸いにも短期合格できたことの大きな要因は、メインテキストのブレークスルーが素晴らしい内容であったこと、学習の早期からこのテキストの内容を一滴残らず吸い取ってやろうと決め、本試験までにある程度それを実行できたことにあったと思っています。ボリュームも多く、私の能力では独力で理解できなかったであろう難易度の高い部分もありますが、講義の録音を聞きながら何度も繰り返し読むことで必要十分な知識を身につけられたと思います。自分は不動産登記法が苦手で、春先の答練では惨憺たる点数だったことも多いのですが、ブレークスルーの細かく膨大な量の先例をひとつずつ理解、記憶することで、不思議と初見の肢の正誤判断を間違えないようになっていったように思います。おそらく思考の基礎のようなものが自然に養われたのではないかと思います。本試験の午後の択一も不動産登記法での失点は一問だけでした。
また、1年目での合格で最大のカギになるのはマイナー科目の攻略だと個人的には感じています。すべて合わせると膨大な量になるマイナー科目の攻略のために自分がとった戦略は「ブレークスルーに書かれていないことは、たとえ過去問、模試等で出されたものであっても軽くみる」でした。限られた時間で合格点に達するための苦し紛れの戦略ではありましたが結果的には成功で、憲法、民事訴訟法でのラッキーな正解もありましたが、本試験での失点は民事訴訟法の1問だけでした。これもブレークスルーの充実した内容故であったと思います。
思い出に残っている講座
新15ヵ月合格コース以外では、札幌本校の臼杵裕美先生の「合格必勝ゼミ」を受講しました。本試験直前に行われる講座でしたが、参加したことは大正解だったと思っています。特に、2年以上勉強されている受験生の実力を身近で知ることができ、自分の知識、記憶の「甘さ」を自覚できたことは大きな収穫でした。少人数でのゼミ形式は、なかなかの緊張感のある場でしたが、瞬時にかつ正確に記憶を引き出す訓練になったと思います。本試験まで残り3か月足らずから「甘さ」を消すための学習を死に物狂いでできたのも、この講座を受講したおかげで、これなしではおそらく今年度の合格はなかったと思います。
通学していて臼杵講師のここが良かった
臼杵裕美先生のライブ講座を受講させていただきましたが、膨大な量で、難解なところもあるブレイクスルーを信じられないほどわかりやすく解説してくれたと思います。実務のお話、ちょっとした雑談も時折交えて、長時間の講義ですがダレずに集中して聞くことができました。先にも書きましたが、講義の後、直接講師の先生に質問ができることが講座選びの絶対条件で、実際いろいろ質問させていただくことがありました。今にして思えば、よくこんなこと質問したなあ、という内容のものも多かったのですが、常に丁寧に回答していただけました。自分は講義の後なるべく時間を空けずに復習をすることを心がけていましたので、講義の時によくわからなかったところをその場で質問し理解しておくことで、講義の復習がもやもやした気持ちなしにスムーズにできたと思います。各科目をどのような方法で学習するのが有効かに関して常に明確に話してくれましたので、どのような勉強法をとればよいかなどと無駄なことを考えずに学習できたことも大変ありがたかったです。実際、臼杵先生にやれと言われたこと以外は全くと言っていいほどやらずに合格できたと思います。まあ、結構スパルタなので、やれと言われたことをやるだけで手いっぱいだったのも事実ですが…
これから司法書士試験合格を目指す方へのアドバイス
- 1.「毎日」の威力
- プロ棋士になろうとすれば毎日詰将棋を解くだろうし、プロの演奏家になろうとすれば毎日練習するでしょう。おそらく「今日さぼれば、これまでの積み重ねはゼロになる」という強迫観念と、なんとしてでもたどり着きたい場所があるのでそうするのでしょう。幸い司法書士試験の合格にはプロの棋士や演奏家に必要な特殊な才能も高度な技術も必要ありません。なんの才能も技術もない私が保証します。結局、必要なのは何としても合格して司法書士になりたいという気持ちと、長い人生のほんの一時、毎日の努力する覚悟を決め、それを実行するだけです。試してみてください。10の条文を毎日31分読んで記憶しようとするのと、3日に一度、1時間以上かけて記憶しようとするのとどちらが有効か。
- 2.「1冊×10」vs「10冊×1」
- 勉強を進めていけば必ずと言っていいほど出てくる不安は「たくさんいろいろな問題を解かないと実力が養われないのではないだろうか」「何年も勉強している受験生は自分よりもっとたくさんの知識を持っているだろうから、自分も今使っているテキストに書かれていない知識を少しは仕入れよう」といった、いわゆる「もう少し手を広げないと」という不安であると思います。当然自分もそのような不安に駆られた時もありましたが、短期で合格を果たすことができたのはこの不安に打ち勝って、限られた数の教材を何度も繰り返すことができたからだと思います。多くの受験生にとっては試験勉強に費やすことのできる時間はかなり限られたものであると思います。であれば、消化できる教材の数もごく限られたものになるのは必然です。司法書士試験の教科書はどの科目もそれなりの分量があり、一度読んだだけでものにするのは普通の人であれば不可能であり、どうしたって何度も繰り返すことが必要になります。「1冊を10回繰り返す」は「10冊を1回だけやる」に常に勝ります。繰り返しは苦痛かもしれませんが、いいこともあるんですよ。かけるお金は少なければ少ないほどよい、ということですから。
- 3.最後に、不安だらけだった元受験生から
- 偉そうなこともずいぶん書きましたが、私もほんの数か月前まで不安でいっぱいの一受験生でした。本試験前最後の2、3か月は「1年では絶対無理だ」という気持ちと「こんなの2年間できるわけないから絶対1年で乗り切ってやる」という気持ちが交互に頭をよぎり、精神的にも不安定な状態だったと思います。1年目での合格は私の能力を考えればできすぎで幸運であったと思いますが、「1年で乗り切ってやる」の執念がほんの少し勝ったことも要因であったかもしれません。不安で自信がないのはおそらく周りの受験生も、現在立派に仕事をされている元受験生も一緒だと思います。これを乗り越えた皆様と仕事仲間としてお付き合いできる日を楽しみにしております。