A・H さん(36)
10回の司法書士試験受験で知り得たこと
受験回数 | 10回 |
---|---|
出身大学 | 九州大学 法学部法律専攻 |
受講講座 | 2016年精撰答練レギュラーパック 2015年名古屋オリジナル中上級パック 2014年精撰答練直前強化パック |
司法書士を目指した理由
司法書士試験を受験しようと思ったのは、法学部に在籍していた大学の時でした。「登記は国民の権利を守る重要な制度」ということを、民法の講義で知ったことで共感し、司法書士を受験しようと考えたのがきっかけです。そこから20代で3回、司法書士試験を受験したものの、全く手も足も出なかったことで嫌気がさし、学習を中断してしまいました。それでも30歳になった時、自分の人生を振り返るまでもなく、常に、最後まで達成できなかったこと、途中であきらめてしまったこととして、司法書士試験があり、何事にも中途半端な自分に嫌気がさし、再挑戦しようと学習を始めました。
LECを選んだ理由
私がLECを選んだ理由は、合格率と、規模の大きさです。特に答練、模試においては、受験者数が多いことが重要であると感じていました。受験者数の母数の多い答練・模試を受験することで、本試験受験者の多くが持っている知識から、自分が持っている知識との差を大きく外すことがなくなります。その論点の難易度にかかわらず、本試験受験者の多くが知っている知識であれば、自分も知っていなければ、自分の思ってもみないところで、足元をすくわれることになりかねない、と考えていました。受験者数の多い模試では特に、出されたからには、受験者の多くが、もう本試験の時にはその知識はできるようになってくる、と思ってかからねばなりません。
新15ヵ月合格コースの感想
私は法学部に在籍していましたが、法学部の講義で習うような内容と、司法書士試験の受験のための学習には、全く乖離があります。司法書士試験は全11科目と科目数が多く、また各々の科目の、試験に出される知識の深浅には差があり、自分でその深浅と範囲を考察しようとすれば、そのことに時間がかかってしまいます。また、講師の方は分かり易く説明してくださいますので、私は、大学の講義で理解できなかった論点が、15ヵ月合格コースの講義を聴いて、すっと理解できたということも何度もありました。自信のある方でなければ、まず初級講座をしっかりとお聴きになり、毎回の、担当される講師が「やっておくように」と言われたことを、きっちりと消化していくことが、結局は合格までの時間の短縮になると思います。
カリキュラムの感想
私が受講した15ヵ月合格コースは、全体構造編から始まって、民法から司法書士法まで、週に2〜3回のペースで、文字どおり15ヵ月と長期にわたり講義が続きます。これを仮に、独学で11科目を、15ヵ月間で、ひととおり勉強しなければならないとなれば、よほど意志の強い人でなければ全うすることは難しいと思います。
講義に遅れずついていく、毎回の講義を、次回の講義までに消化するというスタンスで臨めば、長期にわたる学習のペースをつかむのに非常に良いと思います。
ブレークスルーテキストの良かった点
私自身、テキストに関しては様々なものを試しましたが、ブレークスルーは、最後まで読み込みのできるテキストだと思います。中上級講座を受講するようになってからも、分からない所があれば、ブレークスルーを見返していました。一度でブレークスルーの内容全てを理解するのは難しいですが、期間を空けて読み込んでみると、分からないままだった部分がすっと理解できるようになっていたりします。私自身、最近も口述試験の対策として、見返したのですが、分かり易く、改めて良いテキストだと思いました。
また、ブレークスルーの良い所は、当該論点について、過去問の肢の番号まで記載されています。これによって、どの論点が多く出題されているのかということと、その論点が、本試験になるとどのような聞かれ方となって出題されるのかを、簡単に調べることができます。
実践力PowerUp講座・パーフェクトローラー講座の良かった点
私は、9回目(昨年)の受験対策として、実践力PowerUp講座を、10回目(今年)の受験対策として、択一&記述パーフェクトローラー講座を受講しました。私は、全科目を受講するのではなく、科目単位で受講しました。本試験後の分析の結果、敗因となった科目、法改正の多かった科目、得点源とするべき科目を軸として受講する科目を決めました。15ヵ月合格コースを受講して、全科目のインプットをひととおり終えてはいましたが、初級講座から期間が空いてしまったり、法改正があったりする場合、中上級レベルのインプット講座を受講することはとても有効です。
中上級レベルの講座は到達度や、特にテキストの形式などが異なっていて(ご自分の頭に入りやすいテキストの形式というのがあると思います)、ぜひテキストを見て講座を選択されることをおすすめします。
思い出に残っている講座
- 名古屋駅前本校・伊藤善紀講師の「伊藤式記述徹底予想&総まとめ講座」(2016年)、「記述式特別講義」(2012年)
- 私は、特にこの2012年の「特別講義」を受講するまで、全く記述式の問題を解くことができませんでした。不動産登記法・商業登記法それぞれ初級のインプット講座を終えていましたが、インプット講座で学んだ知識を記述式試験の問われ方に応用させることができず、いざ、記述式問題を解くとなると、何からどう解いていけばいいのか、さっぱり分からず、答案用紙を前に手も足も出ないという状況でした。それが、この講義を受講することにより、初めて記述式問題を解く手順が分かり、目から鱗が落ちたようでした。この講座を受講しなければ、私は今でも記述式問題が解けるようになっていなかったと思います。
- 根本正次講師の「択一出題予想論点総まとめ講座」
- 直前期に開講されるこの講義で、根本講師がその年の本試験の出題予想をして下さいます。全科目にわたるこのような高精度の分析・予想は、到底できるものではありません。そして、直前期の時期に、根本講師の深く印象に残る講義によって、本試験まで記憶が強く残ります。さらに、このテキストは、大変使い易く、過去問や予想問題が肢レベルで一問一答形式で掲載されています。一問一答形式なので、自分が解ける肢、解けない肢を確実に洗い出すことができ、繰り返したり、見直したりするのに最適です。私は、こちらのテキストを本試験会場に持って行き、見直しに使いました。
通学していて伊藤講師・根本講師のここが良かった
名古屋駅前本校の伊藤善紀講師は、とても分かり易く、説明して下さいます。なかなか理解できなかった論点が、講師によって言い方を変えられるだけで、すっと分かることがありますが、そのような、今まで分からなかったことがすっと分かった!という経験が何度もありました。また、本試験直前には、本試験と、本試験までの心構えをお話し下さいます。本試験直前の、受講生一同、精神的・体力的に限界に近付いている時に、伊藤先生のお話は本当にありがたかったです。
根本正次講師の講義は、記憶に残ります。講義は笑いも含め受講生の期待に満ちていました。根本講師のお話は、本試験が終わってもなお強く印象に残る程です。
模試の良かった点
試験直前の時期に、本試験と同じ科目・時間進行で受験できる公開模試は、本試験のシミュレーションとしてできる限り多く受験するべきです。問題をどの科目から解くかという順番、時間配分、そして特に午後の試験において、択一式・記述式のどちらから先に解くのか、記述式のうちでも不動産登記法・商業登記法のどちらから先に解くのか、これを検討し、調整するために必要です。
私自身、午後の記述式問題については、精撰答練[実力養成編]から試行錯誤を繰り返していましたが、成績が芳しくなく、今年の模試もあと3回しか残っていないという状況になってから、午後の試験において問題を解く順番を完全に変えることにしました。そのことで本試験まで若干の不安もありましたが、結果として変えて良かったと思います。このような試行錯誤と調整は、公開模試でこそ、積み重ねることができるものです。
模試を外部会場で受験して良かった点
愛知県の名城大学、愛知大学で受験しました。本試験と同じ会場で、同じ時間設定で、受験できることは、何よりも一番のシミュレーションとなります。交通手段の確認、電車の混み具合、また、通常、下見に行っても、中に入ることはできないと思いますが、会場の中に入って、机や椅子の感じ、トイレの場所などを事前に確認できることはとても良かったです。
本試験会場と同じ場所での設定があるのであれば、外部会場で受験されることをお勧めします。
通学のメリット・デメリット
通学することのメリットは、その時間になれば校舎に行かなければならず、強制的に授業か開始されるので、その時間は必然的に授業に出て講義を聴くことになります。目の前に講師がおられれば、緊張感を持って聴くことができますし、何より記憶に残ります。
デメリットとしては、遠方の方だと通学に時間がかかってしまうことですが、それ以上のメリットがあると思います。
通信講座のメリット・デメリット
通信講座のメリットとしては、分からなかった部分や聞き取れなかった部分を納得いくまで聞き直すことができる点です。
デメリットとしては、メモを取るために動画を止めてしまったり、何回も聞き直せると思って聞いてしまうと、実際の講義より時間がかかってしまう点でしょうか。通信講座だと、いつでも聴ける半面、さぼってしまわないか、モチベーションを維持できるのかと思われるかもしれませんが、インターネットフォローのサポート画面で、自分の進捗率と他の受講生の方の進捗率を見ることができます。あまり周りと自分を比べ過ぎるのはどうかと思いますが、ただ他の受講生の大方から大きく外れてしまうと、その年の合格から遠のいてしまうので、通信講座だと、一人で学習している気持ちになる時も、こうして周りを意識することにより、自分に喝を入れたりしていました。
これから司法書士試験合格を目指す方へのアドバイス
私は、今年10回目の受験でようやく合格することができました。6回目の受験で初めて基準点を超え、昨年受験した9回目の試験では、あと1点足らずに不合格となりました。結果の出ない努力を続けることに、精神的に参ることもありましたが、ただ投げ出すことをせず、続けてきました。私のような者もおります。皆様の努力が報われますことを、お祈りしております。
受験10回目で合格した長期受験生の私が思う、短期合格の秘訣
私は、今年10回目の受験で合格しました。6回目の受験で初めて基準点を超え、7回目・8回目と午前科目を1問落として基準点を超えられない年が続き、昨年受験した9回目の試験では、あと1点足らずに不合格となりました。そのような長期受験生の私が考える、短期合格の秘訣とは、以下の3点です。
- 1.毎回の講義で、講師が指摘されたことを、素直に消化して、次の講義に臨むこと
- 毎回の講義で、担当される講師が「やっておくように」と言われたことを、素直にきっちりと消化し、次の講義に臨むことです。そして、「覚えるように」と言われた部分を放置することなく、しっかりと対応することです。
- 2.各科目ごとに何を学習の中心に据えなければいけないかを間違えないこと
- 司法書士試験の科目は、全11科目ありますが、それぞれ、テキストを中心とするべき科目、過去問が重要な科目、条文の読み込みが必要な科目、と異なっています。そのため、各科目ごとに何を学習の中心に据えなければいけないかを、間違えないことが重要です。私は、8回目の本試験を受験した後、敗因分析をするに当たり、間違えた肢、自信のなかった肢の全てについて、各科目,毎に何を使っていれば正解することができたのか(テキストなのか、過去問なのか、条文なのか、そのどれにも該当しないのか)を調べ、分類しました。具体的には、間違えた肢、自信のなかった肢が何に載っているかを調べ、「正」の字を書きながら数えていきました。そうすることで、私は、各科目毎に、何を学習の中心とすべきかをはき違えていたことが明瞭に分かりました。私のように、この、「この科目は○○を中心に学習する」という肝を外してしまうと、短期合格から遠のいてしまいます。これは実は、講師の方がガイダンスなどでもすでにおっしゃっていたことであり、やはり講師のおっしゃることを素直に消化し、実行していくことが、一番の早道であると確認しました。私はこの作業を通して、条文の読み込みを軽視していたことを自覚し、意識して条文を引くこと、時間を作って条文を素読することに努めました。その際、民法・商法・民事訴訟法については、LECの「司法試験・予備試験 完全整理択一六法」を使いました。こちらは、横書きで文字が大きく、難解な条文には読み替えもあり、非常に使い易いものでした。私は、科目によっては、条文を素読する際に、注釈や趣旨まで目を通しましたが、こちらはテキストのようにも使うことができて、理解がより深まりました。
- 3.曖昧な知識、混同してしまう論点を放置しないこと
- 司法書士試験では、学習が進むにつれ、似たような論点が多く、知識が曖昧になってしまったり、混同してしまうことが多くなってきます。私は、そこを放置してしまったため、合格までに非常に時間がかかりました。曖昧なことに対し自分に厳しくなることも、短期合格の秘訣であると思います。