行政書士に司法書士の資格が加われば、業務の幅が拡がります。さらに試験科目では民法・商法・憲法等が重複していますので、ずっと有利な位置から学習をスタートすることができます。
ダブルライセンスのメリット
行政書士は会社の設立に際し、定款の作成ができますが、司法書士の資格を取得すると、法務局への会社設立の登記申請(商業登記)まで行えるようになります。
このように、業務の幅が拡がり、扱える案件が増えれば、より多くのクライアントの獲得につながります。
司法書士試験でのアドバンテージ
行政書士試験と司法書士試験では、憲法、民法、会社法・商法の3科目が重複しており、この分野では行政書士試験で培った知識を司法書士試験でも活かすことができます。
一から学習を始める方と比べ有利な位置から学習をスタートすることができます。
また、部分審査請求等の行政不服審査法の論点も出題されるため、この点でも行政書士の知識は司法書士試験でのアドバンテージになります。
行政書士講師の推奨メッセージ
横溝 慎一郎 LEC専任講師
行政書士試験で得た知識を活かして、次は司法書士試験に挑戦する。そんな人が実は少なくないことをご存知ですか。
というのも、あなたが行政書士試験で学んだ知識の多くを、司法書士試験でも活かすことができるからです。
たとえば、「憲法」。これは行政書士試験で学んだ知識で十分対応可能です。
また「民法」。こちらはあなたが得た知識を土台にして、司法書士試験で要求される知識水準までさらに積み上げることで合格レベルに達することができます。
つまり、全く初めて学習する人に比べて、不動産登記法や商業登記法、会社法などの他の科目の学習により時間を当てることができるようになる。
そう考えると、非常に大きなアドバンテージをあなたは持っているといえるでしょう。
これを活かさない手はありません。
そして、もう一つ忘れてはいけないのが、「合格経験」を得ているということ。
資格試験の合格に向けて「気持ち」の部分をどう整えていけばよいのか、そして本番ではどういった精神状態になるのか、それをどう乗り越えればよいのか。 これは経験した人でなければわかりません。あなたはそれを持っているのです。
「鉄は熱いうちに打て」という言葉もあります。
せっかくあなたが身につけた知識がさびつかないうちに司法書士試験に挑戦してみませんか?
司法書士×行政書士ダブルライセンスで活躍中の実務家の先生に聞く!
鈴木 聡子先生
(司法書士法人鴨宮パートナーズ)
前職で入管業務に関連した仕事をしていたが家庭の事情を機に退職。一度キャリアが中断してしまったので、社会復帰には国家資格が武器になるのではと思い司法書士を目指す。子育てと受験勉強を両立しながら2021年合格。 現在は司法書士法人鴨宮パートナーズにて不動産売買による決済業務を中心に、相続や商業登記等、総合的に担当するチームで活躍中。
行政書士から司法書士への
ステップアップについて教えてください。
- 行政書士を目指した理由
- 海外関連の仕事が長く、その中でも入国管理に関する業務にやりがいを感じていました。そして子育てを機に、退職した後で知人から行政書士資格取得を勧められ、いずれは独立して入管業務をしようと考えました。独立しなくても、資格があることで社会復帰に役立つかもしれないと考え、取得を目指しました。
- 司法書士を目指した理由
- 行政書士の勉強で初めて法律を勉強してそのおもしろさに目覚め、もっと深く勉強したいと思うようになったのが一番の理由です。
行政書士でも、許認可業務だけでなく相続や法人関連の仕事を手掛けることができますが、相続財産に不動産が含まれていた場合の登記、設立した会社の登記までは申請を代理することができません。また、司法書士の先生はより法的な考え方が深く身についていたり、改正に対する対応が早い印象があり、より顧客のためになり、かつ質の高い仕事ができるかもしれないと思いました。
司法書士は正直受かる気がしなかったですが、行政書士として仕事をしていくことになっても、勉強したことは無駄にはならないだろうと思い、挑戦することにしました。
勉強を始めてから、外国語のできる人が少ないことと、司法書士業界全体が人手不足であることを知り、子育て中でバリバリ働けない自分でも必要としてくれる職場があるかもしれないと思ってモチベーションを上げていました。
- 行政書士試験の学習が司法書士の学習に役にたったことを教えてください。
- 主に憲法、民法の分野で役に立ちました。
憲法は、行政書士試験の方が細かく判例に触れていたので、さらっと行政書士のテキストを読み返したり、統治分野の条文を読み返して忘れないようにしていたら点数が取れました。行政書士試験時代になじんでいたゴロ合わせもあったので、あまり時間をかけなくても済みました。
民法は、勉強を始めてから結果が出るまで一定の時間がかかる科目ですが、行政書士試験で基礎ができていたので、ひと通り講義を受けた後は、司法書士試験ならではの根抵当権や、改正部分の勉強に時間を割くことができました。
民法の講義の後にスムーズに登記法の勉強に入っていけたのは、行政書士試験で基礎を作ってあったからだと思います。
また、行政書士試験合格者は自分にとって効果の高い勉強法をある程度分かっている方が多いのではないでしょうか。個々人の脳の作りによって、自分にとって得意とする勉強法が少し異なる(聴覚タイプか、視覚タイプか、書いて憶えるタイプか、インプット/アウトプットタイプか、など)ため、自分に合うやり方を探して試行錯誤する時間を省けると思います。司法書士試験は自分でやることが非常に多いので、これらの差は大きいです。
- 行政書士と司法書士の勉強で違った点はありますか。
- 行政書士試験よりも、いろんな意味で自分が鍛えられ、人生を変えることができる試験なのが司法書士試験だと思います。
テキストの冊数からもわかる通り、範囲の広さや、暗記量が全く違います。記述式問題については、司法書士試験での記述量は膨大で、勉強の過程でたいていの受験生が腱鞘炎を発症しますが、合格する頃には、書き続けていてもびくともしない手になります。
行政書士試験の時以上に、合格にする強い気持ちが必要でした。試験で戦えるだけの知識がつくまでに時間がかかるので、何度も落ち込むが、その度に自分を鼓舞して這い上がっていくのでメンタルが鍛えられるし、自分のことを分析する機会が何度もありました。試験勉強を通じて、知識だけでなく司法書士の実務に必要な考え方も養われたと思います。
司法書士試験勉強中は「合格すると人生が変わる」と何度も言われたし、実際に合格後に「人生が変わった」と言う人は多いです。
行政書士・司法書士W合格した方の声
渡邊 紘正さん
私は行政書士試験からステップアップで司法書士試験の合格を目指しました。特に行政書士試験の模試で合格点を取れている方は、間髪入れずに司法書士試験の勉強をスタートすることをオススメします。
行政書士試験を合格していましたが、特に憲法や民法は初学者と比べれば有利な状態でスタートすることができます。他の受講生が憲法や民法を受講しているときに、+αで他の勉強をする余力はあります。私は早めに勉強を始めたので、司法書士試験は一発で合格することができました。ぜひ、ステップアップをして司法書士試験合格を勝ち取りましょう!!
樋口 剣聖さん
宅建士・行政書士と学習を積み重ねてきたため、既に学習していた科目における優位性は少なからずあったと思います。これは人によって評価が分かれるところだと思いますが、こと憲法においては行政書士の取得に際して学習した事項の方が量も多く、内容も高度だったと感じています。したがって新たに知識を取得する箇所は非常に少なかった為、完全な初学者の方に比べて他の科目に余分に時間を割くことが出来たと思います。
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