1. 中小企業経営・中小企業政策の意義
「中小企業」が付くにもかかわらず、「診断士」の資格は大企業のビジネスマンに人気があります。「これって中小企業に必要な知識なのかな。大企業だけのテーマじゃないの?」と、悩んだり不満に思ってしまうような出題も多々あります。
でも、子供が大人になるように、育ち方によって中小企業も大きくなります。もちろん、時代背景や環境の違いから、悩みの種類はさまざまですが、それはそれで大企業が通って来た道なのです。ですから、大企業の抱える問題や現状を理解しておくことは、中小企業にとって役に立つことなのです。
2001年版から、診断士のためのバイブルである中小企業白書は、体裁・内容ともに大きく変わりました。そして、診断士によるコンサルティングの理念も、「指導」から「支援」に大きく変わりました。中小企業の実態や政策を始め、政府の見解と対応を理解するには、白書しかありません。白書がすべてです。
大企業の受験生も、中小企業の受験生も、まずは白書に聞く姿勢が大切なのです。
2. 中小企業経営・中小企業政策で学ぶこと
1999年に改正された「中小企業基本法」では、「中小企業を新しい産業を産み出し、市場競争を促進する存在として、日本経済のダイナミズムの源泉」と位置付けています。また、2013年の再改正では小規模企業を中心にすえた新たな施策体系が再構築され、関連する法律が制定されていきました。
ここでは中小企業白書にもとづき、中小企業を取り巻く環境と中小企業の現状(中小企業経営)について、(1)自己資本の充実、(2)新事業の開始と新分野への進出(創業促進と経営革新)、(3)経営資源(経営基盤)の強化といったさまざまな課題を学びます。さらに、こうした見方にもとづき、中小企業をバックアップする政府(中小企業庁等)の支援策(中小企業政策)について学びます。
3. 1次試験の出題例
- 令和5年度 第19問
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次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
中小企業基本法は、中小企業施策について、基本理念・基本方針などを定めるとともに、国及び地方公共団体の責務などを規定することにより、中小企業施策を総合的に推進し、国民経済の健全な発展及び国民生活の向上を図ることを目的としている。- (設問1)
- a 従業員数200人、資本金1億円の広告制作業
- b 従業員数500人、資本金2億円の建築リフォーム工事業
この法律では、中小企業者の範囲が定められている。中小企業者の範囲に含まれる企業に関する正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
- 〔解答群〕
- ア a:正 b:正
- イ a:正 b:誤
- ウ a:誤 b:正
- エ a:誤 b:誤
中小企業経営・中小企業政策 令和5年度 第19問の解答: ウ